見出し画像

「動く」ことで見えてきた自分だけの新しい景色【サッカー日本代表戦観戦取材】

その知らせは突然やってきた。

仕事も大きな山を越えた2月下旬、ここから新たなチャレンジの一年にしようという想いを固めていたタイミングで一通のメールが届いた。

送信者名は「SAMURAI BLUEの中の人」。

もちろんSAMURAI BLUEは知っている。サッカーのことはそれなりに知っている。

アドレスには「jfa」の文字。

日本サッカー協会か……ってどういう種類の詐欺!?

日々頻繁に届く詐欺メールとは一線を画す送信者名に戸惑うこと数秒。

文面を見てようやく謎が解けた。

12月に以下の記事を投稿するにあたって、noteと日本サッカー協会の共同企画に軽い気持ちで応募していたのだが、その記事が優秀作品に選ばれ、日本代表戦の観戦取材に招待していただけるとのことだった。


かくして「多少の葛藤」はあったものの、行ってきました初の国立競技場!


幼少期からスポーツを観るのが好きではあるものの、現場観戦の経験はそこまで多くはない。今回はおそらく27年ぶりの観戦。

サッカー観戦は市原臨海競技場でのジェフ市原(現ジェフ千葉)の試合、もしくは万博記念競技場でのガンバ大阪の試合以来。

そして代表戦を実際に観戦するのは初めてのことだった。

今回の試合はワールドカップ後初の代表戦。そして競技は違えど記憶に新しすぎるWBCの直後。注目度は高い。さらに三年半ぶりにホームで全席声出し応援が解禁となった。

このようなタイミングで観戦できたのは本当にラッキーだった。

試合前にはピッチレベルで選手たちのウォーミングアップを間近で観ることができた。

観戦のため記者席に戻ろうとした頃、会場では選手紹介があり、選手への歓声を全身で浴びることとなった。

それはそれは凄まじいもので、エンターテインメントを生業にする方がファンからの歓声を快感に思う気持ちがよくわかった。

試合が始まり普段とは違う視点から試合を観ることとなったが、よく考えるとスタジアムが一体となって盛り上がる場は初めてだった。

野球やサッカー等の通常の試合は、双方のチームのファンが均等ではなくともそれなりの配分で存在するわけだが、ホームの代表戦となると話が違う。

チャンスとなれば悲鳴にも聞こえるような歓声。人の持つエネルギーの塊のようなものがそこにはあった。

これだけ多くの人の心を動かしていることを目の当たりにして、スポーツの価値を再認識した。日常では出せない感情、押し殺している本能のようなものを吐き出す場としても機能しているのだろう。


試合後にはウルグアイ、日本両国の監督の会見を見学。

私自身も教育業界においては指導者という立場。森保監督が語った内容に私の想いと重なるところがあった。その内容は長く堅苦しくなりそうなのでまた改めて書こうと思う。


会見の見学後にはミックスゾーンでの選手達への取材を見学。

ウォーミングアップの時よりも間近で選手達を目にすることとなったが、「顔ちっさ!」「スタイルやばっ!」という感じで、個人的には最も記憶に刻まれた瞬間だったかもしれない。

こんな表現では教育業界の指導者として恥ずかしいので、落ち着いた文体で書き直してみる。

代表選手は皆格好良かった。日々の鍛錬が垣間見える体つき。ごまかしの無い目力を感じた。

体全体から自信と覚悟が滲み出ていたように思う。厳しい勝負の世界で生きてきた人間の凄みだと言える。

そんな中、上田綺世選手の周りには柔らかい空気が漂っていた。勝負の世界に生きていても醸し出されてしまう本質の部分なのだろう。

結構な至近距離でずっと観察していたが、終始和やかに丁寧に取材に応えていたのが印象的だった。個人的に代表での活躍を願っている選手なのでちょっと長めに見てました。笑


これで今回の観戦取材は全て終了。

一日を通して視覚、聴覚、会場で伝わる肌感のようなもの、全てにおいて情報量が多かった。

試合当日の帰り道は様々な意味での感動が詰め込まれすぎていて、感情が整理できなかった。

神経は高ぶっていたはずだが、一日の疲れからか久しぶりによく寝られた。


一日経って頭の整理が進んだ。

まず思ったのが、スタジアムが空間として美しかったこと。スタジアムで過ごす時間が贅沢なものに感じられた。

それはこれまでの三年間と比較するとなおさら。

私自身、三年前の今の時期から大きく仕事のフィールドを広げるはずだったのだが、多くの人と同様、感染拡大により活動は制限され、始めようと計画していたことは立ち消えとなった。

そしてそれまでは敬遠していたオンライン指導を本格的にスタートさせ、それ自体は完全に軌道に乗ったものの、感染予防を最優先にして行動した結果、生活上の活動量が極端に減ってしまった。

健康を維持できるよう、睡眠や食事にはかなりの注意を払い、筋トレやストレッチ、ヨガ的なことも実践し続けた。

しかし外に出て活動する機会がめっきり減ったせいで、外に出た時に疲れを感じる度合いが非常に大きくなった。体力が低下してしまったことは間違いない。

仕事で求められるクオリティも年々高くなり、精神的な疲れも大きくなっていた。

この記事の序盤で綴った観戦に行くことへの「多少の葛藤」もそこから来ていた。

しかし、一歩踏み出してみて本当に良かった。

優秀作品に選ばれることとなった記事も書いてみて本当に良かった。

つまり……動いてみて良かった

これが現時点での最もシンプルな結論。


私は今回の経験を様々な意味で自らを開放していくきっかけにできればと思っている。

企画のお題であった「新しい景色」に対しては、仕事における新しいフィールドのことばかりを意識していたが、仕事だけではなく適度に息抜きをするためのヒントにも出会えたのかもしれない。

先に述べたように、スタジアムで見た景色は美しかった。そこにいるだけで非日常の良さがあった。

また、スタジアムに存在する人々もその景色の一部だと思う。

実際にプレーする選手だけでなく、選手を支える関係者、試合を運営するスタッフ、より多くの人に情報を広めるためのメディア関係者、そして一つの試合を観に集まった人達、それぞれにとっての新しい景色がそこにはあった。

私にはその様子が、人の真剣な営みが美しく見えた。

そして普段の生活との落差が大きい人ほど、ここで見た新しい景色が新たな人生のきっかけになるのではないか。

私も含めた普段観戦に行かない人、初代表の選手、様々なスタッフの中の新人、これらの人はこの試合がきっかけとなり日々の心持ちが変わっていくことだろう。

同じ試合を観ていてもその先に広がる景色は人それぞれ。私以外に今回観戦に招待された方は四人いらっしゃったが、それぞれの今後の生活、人生にこの体験がそれぞれの形で影響していくはずだ。


日常の中で本当に偶然出会う新しい景色もあるだろうが、何かに対して自発的に働きかける方が新しい景色に出会える確率は格段に上がる。

頻繁にそうする必要はないだろうが、仕事においてもプライベートにおいても日常に変化を加えたければ、動いてみることが重要なのだとあらためて実感することとなった。

私は代表戦の観戦という形で新しい景色を見たことにより、自分にとっての次なる新しい景色のバリエーションが増えていくことになるだろう。

そこから生まれた他者への働きかけが、自分以外の人の新しい景色を生むことにつながっていくはずだ。

その繰り返しで世の中も、各人の人生もより豊かになっていくのだと思う。


今回の観戦招待においては、様々な方のおかげで新しい景色を見ることができました。この貴重な経験をサポートしていただいた全ての方々に深く感謝いたします。

そしてここでの経験を自分なりの形で世の中に還元していくことが、私に新しい景色を見させていただいた方々への感謝の表れになるのではないかと思います。

世の中への還元の第一歩がこの記事の執筆ですが、仕事柄最終的にはカタい話になりました。

実際の私は仕事に対して真剣ではあるけれども、人との接し方はカタいという印象とは真逆に近いため、そのあたりの姿も見せていくのが今年の課題。

これぞ私が見せるべき新しい景色の一つ。

そういえばたまたま来週あたりにプロフィール写真を変える予定になってます。これまでの写真は私のことを知る保護者の方々からえらい評判が悪くて。笑

文章以外で私のことを知るのにプロフィール写真は重要ですが、この写真から漂う印象のせいで指導の依頼をするのを躊躇された方もいらっしゃるのではないかと思います。

私が見せる新しい景色の第一歩はかなり小さな一歩になるかもしれません。

でもその写真変更という小さな一歩のおかげで私が提供する新しい景色に出会える方がいらっしゃるなら、価値としては大きな一歩と言えるものになることでしょう。


上田選手のように写真でも柔らかい空気が出せたらいいな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?