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脂質が高い。何を食べれば。

 保健指導に来院される方によく聞かれることのトップ3に「何を食べたらいいの」というご質問があります。
 今回は、健康診断で脂質が高いと言われた方へのお食事についての指導例をお話ししたいと思います。

事例

 中性脂肪とLDLコレステロールが基準値よりも高かったのですが、治療を始めなければならない程高くはなく、先生から「食事に注意してね」と言われたAさん。

普段の食生活を書き出して頂くと下記のような内容でした。

朝食:6枚切りトースト(バター)、コーヒー
昼食:会社の食堂でラーメン
夕食:ビール350mlを2缶、とんかつ、キャベツ、キュウリとレタスのサラダ、豆腐の味噌汁 

自分もこんな感じだな。と思われる方も多いのではないでしょうか。

アドバイスの例

 もちろん、毎日同じものを召し上がるわけではないので、私たちもあくまでこの日に出来そうなことを、と心がけてアドバイスをさせていただいています。

 まず、血中の脂質を抑えるためには「体に入れる脂」がどの食べ物に入っているかを知る必要があります。

 食事内容を見ながら、どこに脂がいるかを一つずつ、探してみたいと思います。
 朝食ではまず、トーストにのせたバターが脂質になります。ですがさらにもう一つ。実はパンを作る過程でもバターを使うことが多いです。1斤作るのに約15~20グラム程、加えて牛乳など脂質を含むものも加え作り上げるものが多いので、実はトーストにバターということは脂質を含む食品にさらに脂質を加えて食べているという形になるのです。

 しかし、朝食ですのでこれからエネルギーを消費するチャンスはたくさんあります。そういった面では気にしなくても良いかもしれません。ですが、今日はデスクワークだしあまり動きそうにないな。夕飯は外食でたくさん食べる予定があるな。といった時には、同じ主食でも脂質の含有量が少ないご飯に変えてもいいかもしれません。

 次にお昼ご飯です。食堂のラーメンはいつも大人気です。お昼休みが限られているのでサッと食べられて、満足感が高いものというと麺類はダントツの人気なのも頷けます。ですが、脂質を気にされる方は、少しだけ周りを見てみてください。ラーメン以外にもメニューはありませんか?

 会社の食堂であれば最近ではカロリーを抑えたヘルシーメニューを取り入れている所も多いですし、コンビニで食事を選ぶ方であれば1日分の野菜が取れる商品やパッケージにカロリーが表示されているものもたくさんあります。外食であれば麺類のお店以外にもお店がたくさんありませんか。

 ラーメンを選ばれる方に脂質についてアドバイスをする際、注意して頂くことは2点あります。まずラーメンのスープの脂質です。「スープを残せばいいのでは」とおっしゃられる方も多いのですが、麺に絡んでスープはしっかり体に入ります。さらに中華麺は小麦粉と卵を練り上げて作るものが多いのでコレステロールも摂取することになります。すでに朝食で卵を食べてたな・・・といった方であれば多めにコレステロールを摂ることになる人もいるかもしれません。
 さらに、麺類を選ばれる方は注意が必要なのが、ゆっくり食べられないということ。どうしても早食いの傾向になってしまいがちです。理由は麺が伸びてしまうことや、お店でも早く食べる人が多く、早く食べて早くお店から出ないとという心理になることが多いことが挙げられるのですが、早食いも血中脂質に対しては好ましくありません。
 できれば、主食、主菜、副菜、汁物などがセットになっているようなメニューがある定食やさんをえらぶことや、栄養バランスのよさそうなお弁当を選んでみるといったことができるといいですね。

 さて、最後に夕食です。夕食ではお酒を飲むのでご飯を食べないようにしているといった工夫が見られていますね。これは糖質の対策として実施されている方も良くお見掛けします。
 脂質の面では、アルコールの高いカロリーは脂質を悪化させますので、ご飯を食べてお酒を控えて頂くことが望ましいです。ご飯とお酒では栄養価、体への影響が全く異なりますので「ご飯の代わりにお酒」という考えはやめておいた方がいいのかもしれません。
 ご飯をしっかり食べてそこに含まれるミネラルやビタミンも補給してくれた方が体にとっては嬉しいことと捉えていただくといいかと思います。

 次に主菜のとんかつです。脂質を気にする場合は肉より魚という話を食べてと保健指導でもよく聞くと思います。もちろんそれで十分ですが、お肉を食べる日もありますよね。その時にはどうしたらいいでしょう。

 肉類の調理方法はたくさんありますが、代表的なものでは揚げる、焼く、炒める、蒸す、茹でる、煮るなどが挙げられるのではないでしょうか。その中で油を使う調理方法を見て行きたいと思います。揚げ物は油を利用しますね。焼く、炒めるといった調理もフライパン等に油をひいて・・・といった調理方法をすると考えられ、脂質を追加して調理をしています。脂質を使わずに調理するのであれば、茹でる、煮る、蒸すといったものの方が、同じ食材でも脂質の摂取量が変わってきます。同じ豚肉を調理することでも、とんかつにするのか、豚しゃぶにするのか、肉じゃがにするのか・・・といった形で脂質の摂取量は変わってきます。是非、脂質が気になる方は調理方法に気を配ってみて頂けると良いのかもしれません。

まとめ

 さて、色々とお話をしましたが、脂質が気になる方のお食事のポイントは以下のようになるかと思います。

・ご自身が食べているものの脂質に注目する
・調理方法に注目する

 もちろん、今回挙げた食べ物にも栄養素はたくさん含まれています。脂質の数値が気になる方が食べる際には、頻度に気を付けて頂いたり、多めに脂質を摂った時にはその分運動などカロリーを消費するような行動をとっていただけたらと思います。

  お食事は毎日のことです。日々摂られるお食事に注目するだけでも、積もり積もって改善の効果がでますので、是非意識してみて頂けたらと思います。


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