五十肩note用

よくある不調なのによく分かられていない四十肩・五十肩。(前編)

【写真】私の整体院での四十肩五十肩クライアントさんの改善例。
※写真の使用許可は頂いています
左:他動においての肩関節外転動作の疼痛発生による可動域限界点。 
右:施術後の、肩関節180度完全外転の改善模様。

四十肩・五十肩にかかられた方はかなり多くいらっしゃると思います。
ある日突然、何かしらの作業などの最中に肩が痛くて上がらない・・・そんな感じで気づかれる方が多いでしょう。

さてこの四十肩・五十肩ですが、よくある不調なのに実は意外とよく分かられていません。

まず、この四十肩・五十肩は正式な疾患や傷病名ではなく、この状態を特定する明確な基準もありません。
肩関節の動作には、屈曲、伸展、外転、内転、外旋、内旋、水平屈曲、水平伸展という8動作がありますが、このどれか、もしくは複数の動作で痛みにより可動域制限がある時にこう名づけられます。かなりアバウトですよね。
急に腰が痛くなったからギックリ腰という名づけ方に似ています。
(ちなみに英語圏では、Frozen shoulder:凍り付いた肩、と呼ばれます)

他に、よくある間違った認識を挙げていきましょう。
・四十代、五十代になる特別な肩の症状で、他の年代だったら違う疾患。
・四十肩より五十肩の方が重い症状。
・肩こりがひどくなるとなる。
これらは全部間違いです。

前述の通り、四十肩五十肩には明確な基準がなく、肩関節に強い可動域制限がかかった時になんとなく名付けられる通称です。ですので、もちろん十代でも二十代でもかかる可能性は十分ありえます。
ここまで上がったら四十肩でここまで上がらなかったら五十肩といった具合に何故か症状の重さで分けられる事もあったりしますが、当然のごとくこれも間違いです。

そして、これが専門家ですら結構間違っている方がいらっしゃるのですが、肩こりのひどくなったものが四十肩五十肩というのも実は間違っています。
肩こりと四十肩五十肩は共に上肢帯の肩部の不調ではありますが、その原因筋は全く異なります。

肩こりは主に肩甲挙筋の硬結が原因であり、これは肩甲骨の挙上という動作に作用する筋肉です。(肩甲骨の動作は、挙上、下制、外転、内転、上方回旋、下方回旋、の6動作)肩関節の前述8動作には、肩甲挙筋はほぼ作用しません。

対し、四十肩五十肩で一番障害となりやすい肩関節外転動作は、主動作筋として棘上筋と三角筋(中部繊維)、協力筋として上腕二頭筋(長頭)を少し使います。加えて、この動作には肩甲上腕リズムといって肩甲骨の動作も関与するのですが、この肩甲骨の動作は上方回旋であり、前鋸筋と僧坊筋が作用しています。
肩関節外転以外の動作についても、肩甲挙筋が作用する事はほぼありません。

書いていたら結構長くなってしまったので、前後編に分け、次回はこの四十肩五十肩の病理的な部分について触れていきたいと思います。


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