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作家ポートレイト6(ミランダ・ジュライ他)

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チャック・パラニュークさんは『ファイト・クラブ』の原作者ですね。
消費生活への皮肉とか、悪ふざけの延長のテロとか、趣味の良さと反比例する中身の無さとか。ひとつひとつの言葉がボディブローにように効いてきます。20年近く前の作品だけど全然古びてない。

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オルハン・パムクさんはノーベル文学賞を受賞していますね。
『雪』しか読んでませんが傑作です。
トルコのある田舎町で少女たちの集団自殺が発生。記事を書くためにやってドイツからやってきたルポライターは元はトルコ人。その町は実は故郷で、かつて好きだった女性が美しい人妻となって目の前に現れる。町は大雪で外部との交通が遮断され、テロが発生し・・・というスリリングな物語。

ラブストーリーとしても読めるけど、猛烈にやるせない。運命の不条理を感じるというか、もっと別の判断はなかったのかと考えてしまう。

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ミランダ・ジュライさんは作家であり映画監督ですね。2020年のユニクロの冊子にも登場してました。
『あなたを選んでくれるもの』が素晴らしいです。
ネットとつながっていない人たちに会っていくルポです。メルカリのペーパー版みたいなものに「譲ります」という記事を書いている人たちを訪問。登場するのが変な人たちなので、他人事のように読み進めていくとやられます。中盤から一気にドラマチックな展開。
ネット上に存在してなくても世の中には存在している、人とのつながりってなんだろう、ということを考えたくなります。

それともうひとつ。

読後、誰かに親切にしたくなりました。善人であるということはとても大事なことではないのかと。

というわけで、と唐突に飛躍しますが、電車内で妊婦さんを見かけたら席を譲るキャンペーンを始めました。キャンペーンといってもひとりでそうしてるだけです。開始したのは2年以上前で、今も続けています。最近、妊婦さんを全然見かけなくなりましたが。

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ハサン・ブラーシムさんはイラク出身の作家で映画監督ですね。フィンランドに亡命。日常の中に入ってくる暴力が生々しく描かれます。まったりとしたゆるい時間の中にシュールに唐突に暴力が発生。紛争地ならではの空気感にヒリヒリします。
読んだのは『死体展覧会』という短編集でしたが、一編ずつがずっしり重い。


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