ACL損傷を予防したくて読んだ論文まとめてみた

膝靭帯


http://www.irasutoya.com/2017/04/blog-post_764.html

初投稿です。

どうも初めまして、兵庫でATやってる気分の中尾です。
初っ端の記事から文献まとめですが、自分のフィードバックとして書いていこうと思います!

さて、女子のACL損傷が多く、なんとか予防する方法がないかと思っていたら、入っている某アカデミーの授業ですごく興味深い文献が紹介されていたため、内容をまとめてみようと思います。

Gilchrist J, Mandelbaum BR, Melancon H, Ryan GW, Silvers HJ, Griffin LY, Watanabe DS, Dick RW, Dvorak J. A randomized controlled trial to prevent noncontact anterior cruciate ligament injury in female collegiate soccer players. Am J Sports Med. 2008;36(8):1476-1483. doi: 10.1177/0363546508318188

こちらが今回の文献になります。題名のみ日本語訳すると、

「大学生の女子サッカー選手の非接触型前十字靭帯損傷予防のための無作為化比較試験」

内容を大まかに要約すると、
練習前のウォームアップを工夫することで、ACL損傷を予防できる可能性があり、それは特にシーズン後半やACL損傷の既往がある選手に有効である。
とのことでした!素晴らしい!!

気になるウォームアップの内容は、
1体温を上げるメニュー
 (ジョグ・シャトルラン・バックヤードランニング)
2ストレッチ
 (下腿後面・大腿四頭筋・ハムストリングス・内転筋・臀筋群)
3筋力トレーニング
 (ウォーキングランジ・ロシアンハム・シングルトゥレイズ)
4プライオメトリックス
 (ラテラルホップ・フォワード/バックホップ・シングルレッグ   
   ホップ・垂直跳び・シザースジャンプ)
5アジリティー
 (シャトルラン・ダイゴナルラン・バウンディング)

という内容でした!(細かく載せたらまずいかもですよね笑)
実際に12週間の介入を行い、練習中・試合中・その他に分けて結果が書いてあります。
全ての膝の怪我で多かったのは、MCL損傷(35%:介入群1000AE0.398とコントロール群0.838)が最も多く、次に半月板や軟骨損傷(介入群35%、コントロール群25%)だったようです。若干半月板と軟骨損傷での介入群が多いのが気になるような…

さて!ACL損傷の割合です、介入群では7件、コントロール群では18件のACL損傷の報告があり、なかなかすごい差だなと思ってみていましたが、ここに統計学的な有意差はなかったようです。(臨床的にはかなり意味がありそうだが…)
しかし、この数字を変化させ、非接触型ACL損傷で2群を比べると、介入群では2件、コントロール群で10件であり、この数字は統計学的には優位でした!!
10件と2件の試合と練習の内訳では、
練習中に発生したACL損傷 コントロール群6件 介入群0件
試合中に発生したACL損傷 コントロール群4件 介入群2件
練習中の数字のみ有意差がありました。
この先は細かい数値は省きますが、ACL損傷の既往がある選手では、介入群に比べてコントロール群の損傷率が5倍に跳ね上がってました!
さらに、12週間の介入のうち、効果が見られたのは後半の6週間であり、前半の6週間は2群間で差がなかったことから、プログラムを使用して、神経筋への介入を行う場合数週間に渡って実施しなければ変化は起きないと筆者は記述しております。
つまり、プレシーズンからしっかりとこれらの内容を踏まえてウォーミングアップを構成できれば、シーズン中のACL損傷の確率をかなり下げることができるのです!!


他にもこの研究では、練習内容についても記述されており、コントロール群のチームでは日常的にプライオメトリックス・アジリティー・ドリルなどのトレーニングを日常的に行なってはおらず、介入群のチームも今回のプログラム以外に日常的にそれらを行なっていることはなかったと書いてあったため、日常的にはウォーミングアップでのみ、これらの能力向上を目的とするメニューをこなしていたことになります!
以上がフィードバックです!!

面白い文献でした!
このデータを早速活用して、ウォーミングアップの構成を変更していこうと思います!!

初めての投稿でしたがなかなかの文字数を書いたように感じていますが、読み直すと浅いですね笑
次からはもっと上手くフィードバックできるように頑張ります💪

トレーナーとして、予防は一番大切な仕事だと感じており、この文献は大変勉強になりました!
ぜひ皆さんもご賞味あれ!!

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