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問いを作る力と問いに答える力

NHK大分の二宮先生の番組「小さな肖像」が20周年を迎えたそうです。おめでとうございます。
二宮先生は高校生当時、美大受験のために通ってたアトリエ「大分美術研究所」の先生。
東村アキコさんの漫画「かくかくしかじか」の先生のような存在です。
あの漫画の先生とタイプは全然違ってて時々奇声を発したりと個人的にはいまだに掴めない所もある人ですが僕が大きな影響を受けた人でもあります。
アトリエ時代に「あなたにとって○○とは何ですか?」という問いを何度かいただきました。その後自分でも小さなクロッキー帳に問いと答えを書いたりしてました。
おかげで「問いを作る」や「問う力」を身につけたと思っています。その辺りを考える癖がついたのは間違いなく先生に会ってからであり、今の仕事でも欠かせない力となっています。

あなたにとっての幸せとは何か?

この番組で「人生で一番嬉しかった事は何ですか?」という質問をしているのですが、僕も仕事でお客さんの話を聞く上で「幸せとは何か?」を問うようにしています(質問を変えることもあります)。
その人自身が歩んできた背景によって求める幸せには違いがあります。 
デザイナーは基本的に商業的な成功のお手伝いをする仕事です。でも中にはお客さん自身の幸せの軸がありそれを望んでいる場合もあります。
(この部分にどう応えていけるかのバランスに関しては今だこれといった答えが見つからずです。)
その人の幸せ軸を無視して商業的な成功だけにフォーカスした仕事だけ受ければ良いのですが、個人的にはその人自身の積み重ねの先のお手伝いが出来ればとも思っています。
ビジネスでもあるのですがコミュニケーションでもあると考えてます。
単体の広告ツールを依頼された場合でもその人や企業について多くの事を理解し知ったうえで広告を作るのと、言われたままのものを作るのでは全く出来るものが異なります。
※どちらも見た目の形としては体裁が整います。

デザイナーの仕事とは?

Wordのビジネス文書を綺麗に作る程度の延長作業として言われたものを作るのがデザイナーの仕事だと思ってる人も多いですが大きな間違いです。
※中には言われたものを作る作業しかしないデザイナーもいるのでややこしいのですが。
今チラシが必要だからチラシ作りたいと目先のツール作りの事しか興味ない人の依頼を受けていないのは理由があります。
そもそもチラシを作るのが正解なのか?
そもそもの解決したい問題はどこにあるのか?
沢山売るのではなく業務の改善もあるのではないか?
等、チラシを作る以前の問いを作り解決していかなければ意味がない事もあるからです。
これをやるには予算もかかりますが、逆に言うとこの辺解決せずにツール作りを行ったところでたいした成果は出ないとも言えます。
代理店のお仕事で散々そういうのを見てきたので断言できます。(代理店の中にも素晴らしい人もいますが確率でいうと5%もいません)。

考えるは面倒くさい

人は考える行為を面倒くさいと感じます。
問いを作るのも問いに答えるのも面倒くさいと思います。
でも「なんで○○なんだろう?」「自分は○○についてどう考えてるんだろう」を繰り返して行えば自己が確率できると考えます。
楽して儲かる、毎月自動で○万円入ってくるみたいな怪しい商売が後を絶たないのはみんな考えたくないからです。

意見や価値感は自分のもの?

テレビで聞いた、人から聞いた内容を個人の意見として言う人も少なくなりません。人から聞いた話を自分の意見だと思い込んでる人も大勢います。
自分で考える事の重要性にフォーカスしているこの番組は素晴らしいと思います。
「人生で一番嬉しかった事」とはその人自身の中への問いなので誰しもが純粋に答える事の出来る質問です。
静かな中で淡々と会話しながらその人自身にフォーカスする番組は他にはなかなか無い気がします。
「ちょっとはみ出している人」に興味があるというのも先生の視点ならではだなと感じます。
面白くないという人でも、実は誰でも面白いという所も共感します。
2拠点生活を始めた10年ちょい前に大分で久々にお会いして「小さな幸せを見つける事に注目してる」という話で意気投合して盛り上がりました。
その辺りの感覚は少し似ているのかななのか先生の影響なのかとも思います。
ピンと来ない人には全くピンと来ないお話を長々と書きましたが、あらためて20周年おめでとうございます。

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小さな肖像 20年 | NHK大分放送局 https://www.nhk.or.jp/oita/chiisana/index.html

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