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SDGs・ESGと独占禁止法(Business Lawyers)

牛島総合法律事務所 パートナー弁護士 猿倉健司

「温室効果ガス削減の基準を満たさない事業者との取引の打ち切り - SDGs・ESGと独占禁止法」

  1. 事業者によるSDGs・ESGへの取組み

  2. 令和5年独禁法ガイドライン(グリーンガイドライン)

  3. 温室効果ガス削減を推進することを目的とした取引の拒絶

  4. 取引拒絶が独占禁止法に違反する場合(単独の拒絶)

  5. 優越的地位の濫用が問題となる場合

それが自社の社会的責任を果たすという目的により行われたものであれば、独占禁止法上問題なく実施することができるものとされています。しかし、独占禁止法上の違法行為の実効を確保するための手段として取引を拒絶する場合や、競争者を市場から排除するなどの独占禁止法上不当な目的を達成するための手段として取引を拒絶する場合には、独占禁止法上問題となることがあります。


「温室効果ガス削減の基準を満たす流通業者のみへの商品供給 - SDGs・ESGと独占禁止法」

  1. 事業者によるSDGs・ESGへの取組み

  2. 令和5年独禁法ガイドライン(グリーンガイドライン)

  3. 温室効果ガス削減の推進を目的とした流通制限(選択的流通)

  4. 選択的流通が独占禁止法に違反する場合

商品を取り扱うために設定した基準が合理的な理由に基づくものと認められ、かつ、当該商品の取扱いを希望する他の流通業者に対しても同等の基準が適用される場合には、通常、独占禁止法上問題とならないとされています。しかし、市場における競争を実質的に制限する場合や公正な競争を阻害するおそれがある場合には独占禁止法上問題となることがあります。


「温室効果ガス削減のための商品仕様の変更と価格据え置き - SDGs・ESGと独占禁止法」

  1. 事業者によるSDGs・ESGへの取組み

  2. 令和5年独禁法ガイドライン(グリーンガイドライン)

  3. 温室効果ガス削減を目的とした仕様の設定と増加コストの負担

  4. 取引対価の決定が独占禁止法に違反する場合(優越的地位の濫用)

 新たな仕様に基づいて発注する際、コストが発生・増加するにもかかわらず、対価の決定にあたって明示的な協議を行わないことは、一方的に価格を据え置く行為として、独占禁止法上問題となる場合があります。


「温室効果ガス削減のための自主基準の厳格運用と競争制限効果 - SDGs・ESGと独占禁止法」

  1. 事業者によるSDGs・ESGへの取組み

  2. 令和5年独禁法ガイドライン(グリーンガイドライン)

  3. 温室効果ガス削減を推進することを目的とした自主基準の設定

  4. 自主基準の設定が独占禁止法に違反する場合

自主基準の設定が、競争手段を制限しユーザの利益を不当に害する場合や、事業者間で不当に差別的であるなどの場合には、競争制限効果が生じるため、自主基準の内容や実施の方法によっては独占禁止法上問題となる場合もあります。


弁護士  猿倉 健司  Kenji Sarukura

牛島総合法律事務所  Ushijima & Partners
E-mail: kenji.sarukura@ushijima-law.gr.jp
TEL: 03.5511.3244 (直通) 


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