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森林学修士課程で取得した単位:スウェーデン農科大学アルナープ校

前回記事の続き。

修士2年目は昨年9月から。
スウェーデン農科大学アルナープ校(SLU Alnarp)の南スウェーデン森林研究センターで取得した単位は以下の通り。

◎Sustainable Forestry in Southern Sweden
Silviculture(造林学)が7割、Ecology(生態学)が3割の構成。
スウェーデンの林業はスプルースとスコッツパイン、というのが定番だけど、キャンパスのあるスウェーデン南部は他のスウェーデンと気候条件が異なるせいで、オークやブナといったドイツでよく見られるような落葉広葉樹も十分育つ。それらを織り込んだ当地での持続可能な森林経営を学ぼう、というもの。
グループワークに慣れるのにだいぶ時間がかかった。組む相手によって、レポートの進行度合いがだいぶ違う。打ち合わせをすると、初めにお茶を飲んで、いろいろ話をしてから本題に、というやり方を好む同僚もいれば、時間がもったいないから早く議論しようよ、という同僚もいて、そういう差が面白かったり。
後、生態学を初めてきちんと学習できたこともポイント。

◎Planning in Sustainable Forest Management
一年目にすでに学習した範囲と重なっていることもあって、最初のモデュールよりは負担が少し軽かった。とはいえ、9日間の合宿や、森林計画のレポート提出など、かなりハードであったことは間違いない。

SLU Alnarpの図書館棟(たぶん)

スウェーデンの授業の特徴は、グループワークが多いこと。課題(レポート+プレゼンという形が一般的)に取り組むためのチームメートが最初に決められる。私が受けたコースでは、先生が講義の冒頭でチーム決定の為のエクセルマクロベースのプログラムを走らせてランダムに決める(実際は同じ国出身者同士にならないように等、多少の調整はあったようだが)というパターンがほとんどだった。

このやり方の利点は、チームでの仕事の進め方を実地で学べるということ。特に僕の所属していた修士課程は留学生対象のものなので、それぞれの学生が持つバックグラウンドが相当異なっている。そういう仲間たちと同じ目標に向かって、期間内に、どうやって期待されているレベルの成果物を作り出すか、というスキルは、実際に経験しながら身に着けていくしかない。スウェーデンは移民を多く受け入れているし、また、海外で働くスウェーデン人も多いことから、少し大げさだけど、異文化の中で仕事を進めるやり方を学生に学ばせることに重点を置いているように感じている。

授業構成は、日本とドイツは全く同じ。毎週、90分を1コマとしていくつか別の授業を受け、学期末に試験が受講した授業の分だけあるパターン。一週間に5コマとか10コマとかいう表現をすることができる。一方、スウェーデンの大学は、一年間が(正確に言うと9月から6月上旬までが)4つに分けられ、それぞれの期間を1モデュールとして同じ科目を履修する形をとる。月曜日から金曜日まで同じテーマの授業や演習を受けることになるのが、前者との大きな違い。そのため、1つのモデュールがドイツの科目構成よりも大きな枠組みになっている。

こういった形で定期的に講義を受講するというのは今後はおそらくないだろう。これからは自分の関心の分野を深く掘り下げていく時間になる。ようやくここまでたどり着いた、というのが正直な感想。
修士論文を書き始めるこれからが、研究者としての本当のスタート。さらに気合を入れて取り組みます。


オリジナル記事公開日:2013年1月27日

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