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時代を読むフランス語メモ【6】

先月末のジョージ・フロイド事件をきっかけに、フランスでは6月に入ってから「Black Lives Matter」運動に関連する報道が随分と増えました。

この問題はフランスにも飛び火し、人種差別の問題や警察の暴力など様々な問題が絡み合って収束の糸口が見いだせていません。

そこで、今回はここ数日ニュースをにぎわしている単語です。

étranglement

「étranglement」というのは「絞め技」という意味で、動詞は「étrangler(絞め殺す)」となります。「clé d’étranglement」と言う形でもよく見聞きしますが、これはいわゆる「ヘッドロック」というやつです。

ジョージ・フロイドが「息ができない」と言う衝撃的な映像によって、フランスでは4年前に起きたアダマ・トラオレという黒人男性の死が再び注目されるようになりました。

彼の死は鑑定によると病死とされましたが、職質を拒んだ彼を取り押さえた際に使った絞め技が窒息死に追いやったのではないか、と遺族は主張しています。

今回のジョージ・フロイドの死は、アダマ・トラオレの職質に関わった警察官の再審理を求める家族を中心に大規模なデモへと発展しました。人種差別だけではなく、警察の過度な暴力に異議を唱える声を集め、コロナ禍においても声をあげる人たちの数は増え続けています。

警察の暴力という点でいうと、フランスでは少し前の「黄色いベスト運動」の際に、警察や機動隊の対応が行き過ぎだと問題視されていました。

そのため、「警察のボス」でもある内務大臣のクリストフ・カスタネールは、騒動を収束するために、取り押さえのために使われていたヘッドロックを禁止しました。

ところが、相次ぐデモや過激な壊し屋の取り締まりのために、常に危険に晒される警察官たちは見捨てられたと感じ反発。禁止の撤回を求め、デモという形で、地べたに手錠を捨てて抗議をしました。

その結果、取り押さえのための新しい方法が見つかるまでの間、内務大臣はヘッドロックの禁止を撤回することを6月15日に表明しました。

さて、この事態は終息に向かうのでしょうか。

では、最後に例文を3つどうぞ。一連の流れを時系列に沿って並べています。

Malgré la colère des policiers, la technique «d’étranglement» sera bien interdite(La Voix du Nord)

Menottes à terre, clé d'étranglement... : les policiers se sentent "lâchés"(Midi Libre)

Police : la technique dite de « la clé d’étranglement » maintenue provisoirement(Le Monde)

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