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時代を読むフランス語メモ【4】

今回ご紹介するフランス語の表現は、コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛期間の終わりくらいから時々聞くようになった単語です。

vélorution

vélorutionという単語は造語なので、おそらく辞書に載っていないのではないかと思います。実はこの単語は、révolution「革命」のアナグラム、つまり文字を入れ替えてできた単語です。

知らない単語を見たとき、ほとんどの人が接尾辞や接頭辞などを外して分解することで、単語の意味を知ろうとするはずです。そうでなくても、この単語を最初に見たときにvélo「自転車」に関係する言葉なのかなと思った方もいるのではないでしょうか。

vélorutionという単語は1970年代に生まれた言葉で、起源自体は諸説あるようですが、自転車利用の推進活動する人たちによって使われ始めたようです。その当時はフランスでは高速道路の整備が各地で行われ、その反動がvélorutionだったわけです。

さて、ここで例文を一つ見てみましょう。

Rennes fait sa “vélorution” (Franceinfo)

これは記事の見出しで、2020年5月30日のもの。「レンヌが自転車専用レーン化している」ということです。

レンヌは私が住んでいるブルターニュ地方の街ですが、もともと現在の市長がエコを推進しているため、中心街に自動車の利用を制限する傾向がコロナ前からすでに見られました。

コロナの外出自粛期間が終わると、感染を恐れて公共バスの利用を避ける人が多くなり、通勤に自転車を使う人が増えました。そういう流れもあり、自転車専用レーン(フランス語ではpiste cyclable)のスペースが期間限定で決定されました。

これはレンヌだけでなく、パリなど他の街でも同じ傾向です。地球温暖化の深刻化が叫ばれていたコロナ以前の伏線があって、この措置が取られたわけですが、これにはもう一つ政治的アピールも絡んでいる気がします。

というのは、延期になっていたフランスの市町村選挙の第2回投票が6月28日に行われることが決まったからです。

選挙後に、各都市に一時的に設置された自転車専用レーンが常設化されるかも注目すると面白いかもしれませんね。

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