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特別の寄与とは?長男のお嫁さんは知っといて!

特別の寄与とは、相続人以外の者の貢献を考慮するための方策です。


😍長男のお嫁さんは、ぜひ理解しておいてください。

こんな事例を考えてみてください。

長男のお嫁さんが、自分の夫(長男)の死後、義理の母の老後の面倒を見ていたとしましょう。

この義理の母が亡くなり、その相続人は自分の夫の弟と妹でした。

弟は近くに住んでいましたが、年に数回顔を見を出す程度で、ほとんど義母の面倒は見ていませんでした。

妹は嫁ぎ先が他県であったため、やはり日常的な義母の面倒は物理的に不可能で、私任せです。

長男の嫁としては、義母の面倒は私の務めだと思って夫の死後も続けてきました。

しかし、いくら義母に「療養看護その他の労務の提供」をしてきたとしても、相続権はなく、義母の財産及び居宅を承継することはできません。

これでは、あまりにも長男のお嫁さんが気の毒ではありませんか。


🤣相続法の改正により、このような事態への救済が図られました。

❤民法第1050条1項

被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第891条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。

特別の寄与料の請求が認められるための3要件は以下のとおりです。

(1)相続人以外の親族であること

特別寄与料の請求が可能となる方は、相続人以外の被相続人(=亡くなった方)の「親族」に限られます。

通常「親族」とは、6親等以内の血族、配偶者、3親等以内の姻族を指します。

(2)被相続人に対して無償で療養看護や労務などを提供したこと

被相続人に対して、対価を受け取らずに介護していた、事業の手伝いをした、などの事実が必要です。

報酬を受け取って介護や事業を助けていた場合は、特別寄与料の請求は認められません。

(3)療養看護や労務を提供したことにより、財産が増加したもしくは維持されたこと

特別寄与料の請求が認められるためには、療養看護や労務を提供したことによって、財産が増えた、もしくは維持された事実が必要です。

たとえば、長男の嫁が、被相続人の介護を自分で行っていたため、介護施設に支払うべき費用を支払わずに済んだため、財産が維持された場合です。


😎留意すべきこと

特別寄与料は特別寄与者(長男の嫁)と相続人(長男の弟と妹)との協議により決定するため、話がまとまらないケースも考えられます。

また、特別寄与料の請求は、「特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6か月」とされてます。

「金目当てで世話をしていたと思われたくない」ということで長男の嫁からは、なかなか請求できないことも多いかと思います。

そのうちに、義母の死亡後6ケ月以内という請求期限が経過してしまうかもしれません。

😊対応策

生前に特別寄与料が発生している状況では、特別寄与料相当額を以下のような方法で事前に準備する方法も考えられます。

・遺言書を作成して特別寄与者へ財産を与える旨の記載をしてもらう

・暦年贈与などの生前贈与により特別寄与者へ現金を贈与してもらう

・特別寄与者を生命保険の受取人とする生命保険に入ってもらう

いづれにしても、生前に十分な話し合いをしておくことが重要です。

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