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分散か集積か

 最新号のWedge、「逆境に克つ人事戦略」。コロナ禍によって加速した働き方や人事の変革に関する諸々の議論が網羅されており、よい振り返りができました。

 特に印象に残った記事はGAFAM(シリコンバレー)で進むリモートによる『分散化』と、中国のTech企業の『集積(と長時間労働)』へのこだわりとのコントラストです。

 シリコンバレーにおける極端な知の集積は、高騰した人件費に、高騰した不動産価格が更に転嫁される異様な状態を招いていますが、Facebookは今後5〜10年で社員の半数がオフィス以外の場所で勤務するようになることを想定して「オフィスの分散化」を進めます。

 一方、記事で紹介されたアリババやファーウェイ社員の談話を見る限り、中国のIT業界では「1ヶ所に人が集まることで生産性を高める」という考え方が主流です。

 中国では、「996(朝9時〜夜9時×週6日)」と言われるような慢性化した長時間労働が社会問題となっており、一方でそこには「頑張ればその分だけ見返りがある」という高成長国ならではの背景もあります。

 どちらが正しいか、という問題ではなく、どちらがより高いアウトプットを出すかだ、という記事の結びは「働き方は"手段"に過ぎない」という大事なことを改めて思い出させてくれます。

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