対話によって生まれるナラティブなストーリー

ユニクロのアルバイト面接に臨む18歳の若者に対して筆者(※)が行なった対話によって、真の「志望動機」が原木から彫刻物が削り出されるように明らかになっていく様が、軽やかなタッチで記されています。

 もともと履歴書に記されていた"志望動機"は、「シンプルで合わせやすいユニクロの服をたくさんの人たちに知ってもらい、着ていただきたいと思ったから」。

 これに対して筆者は、次のような対話を始めます。

「飲食とかコンビニじゃないのは何でなん?」(筆者は関西出身の方みたいです)
「服が好きだからっすね!」
「いつから好きなん?」
「高2くらいかな。俺むかし、めちゃくちゃダサかったんですよ」

着るものに頓着がなく髪もボサボサ伸び放題だった彼は、ある時、彼女が欲しくなって"ダサい"自分を変えようと思い、そこで飛び込んだのがユニクロだったのです。

 結局、彼女は出来なかったようですが、「でもなんか、ちゃんと選んだ服着るだけでこんなに自信つくんや、って思って。そっから服スゲーってなって」という原体験をしたのです。

 筆者が行なった一連の対話(詳しくは筆者のnote記事をご覧下さい)は、若者が気付いていなかった、しかし確実に彼の中に存在した"ユニクロで働く理由"を可視化(言語化)したのです。

 翻って、「面接対策」を行なうキャリアコンサルタントは、内定を取るための話し方など自分の中にある答を伝えようとしがちです。

 一方、このエピソードが教えてくれるのは『答は相手の中にある』というコーチングの原則です。

 そして、キャリアコンサルタントや面接官にとって、相手に内在するナラティブなストーリーを引き出す"質問力"の鍛錬に終わりがないことに気付かせてくれます。

※筆者の島田彩氏のことを私はよく知りませんが、是非一度お話をお聞きしてみたいです。https://www.linkedin.com/in/%E5%BD%A9-%E5%B3%B6%E7%94%B0-036746181






 

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