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人生100年時代のキャリア設計を考えてみた①

人生100年時代。社会の変化スピードが益々速くなる中で、どのくらい先までを見通し、計画するべきなのでしょうか。

 今年、企業に対して70歳までの雇用機会を確保する努力義務を課す法律が施行されました。
 政府は75歳まで引き上げることを視野に検討を進めていることから、私たちは現実的に75歳まで働くことをイメージしておく必要があるのではないでしょうか。(それが生き甲斐となって長く心身の健康を保つことに繋がる可能性もあるため、肯定的に捉えて考察を進めることにします)

 まず、最も単純なモデルとして、ビジネスパーソンのライフサイクルを15年(60歳→75歳)伸ばしてみます。
 現状、大手・準大手クラスの企業では、管理職(課長)になるのは平均的に35歳くらい、そこから役職定年(55歳)までちょうど20年です。
 これまでは、ここで一仕事終えて定年(60歳)を待つのが我が国のビジネスパーソンでしたが、これに15年を加えると、まさにそれまで管理職として仕事をしてきたのと同じ期間(20年)だけ"残りの期間"があることになります。

 人生100年時代(75歳定年時代)に備えるとは、この20年の働き方を考え、準備することに他なりません。

 私が考える、"この20年"に見舞われることは次のようなことです。

(1)多様性ギャップ
 当然のことながら、ともに働く仲間には様々な年代が存在します。
 これまでは"異質な少数"であったデジタルネイティブ世代が組織の中で多数を占めるようになり、中枢を担います。
 また、多様な働き方が拡がり、外国人材が増えるなど、否が応でも職場における多様性は高まります。
 それに伴い、これまでは"阿吽の呼吸"で通じていたことが伝わらなくなり、組織はローコンテクスト化していきます。

(2)ジョブ型
 政府が導入を進めようとしているジョブ人事制度が我が国全体に普及するのにはまだまだ時間がかかるかも知れませんが、専門家は、役割や報酬を決める上で合理的であるとの理由から、シニア層の再雇用の場面で先行して導入が進むのではないかとしています。

 すなわち、自身のミッション、具体的な役割と期待される成果(実際に産み出した成果)を明確に可視化することが求められるようになるということです。

(3)環境や技術への適応
 これまでの30年、PCの導入や電子メールの普及、ペーパレス化、リモート化など、仕事の環境は大きく変化してきました。今後は、その内容が予測できないものも含めてさらに大きく、速く変化するのではないでしょうか。
 あるアンケート結果で、今の50代の社員のデジタルツールを用いる力は、若手による評価が自己評価よりも大きく下回っていることが判りました。

 ITが急速な進化を続ける今日、自分では”できているつもり”のITスキルは気付けば全くの時代遅れになってしまっている恐れがあるということです。

(4)物理的制約
 75歳まで働くとなると、多くの人が物理的に働く時間や働く場所に制約を受けるような、そんなライフイベントに出くわします。親または配偶者の介護や看病などです。
 リモートワークの普及によって柔軟な勤務ができるようになったとはいえ、仕事内容の変化や環境への適応を余儀なくされることは間違いありません。

(5)経済的制約
 雇用延長によって雇用自体は守られたとしても、多くの人がどこかのタイミングで給与ダウンの危機に見舞われます。運よく転職によって現状を維持することができる人でも、それが必ずしも真に希望する仕事でない場合には「カネか仕事内容か」という決断を迫られることがあります。

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 これら、(1)~(5)に対して、私たちは予め何を準備しておく必要があるのでしょうか。(続く)


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