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責任と権限の所在

週末の日経MJから『サンリオ「第二の創業」へ 〜32歳社長、本気で変える』。

昨年、創業社長である祖父の辻信太郎氏(現会長)から社長職を継いだ孫の辻朋邦氏(32)が取り組む経営改革。同氏は改革の3つの柱をそれぞれ担う執行役員を外部採用しました。

  1960年創業の同社はこれまで、ハローキティに代表されるキャラクターを中心に、物販や映像、テーマパーク運営など多角的なビジネスを展開してきました。
しかし、コロナ禍によってテーマパークや販売店の売上が伸びず、昨期は12年ぶりの赤字決算となりました。

しかし朋邦氏は、業績不振の原因はコロナ禍ではなく、長く硬直化した経営にあったとして改革に乗り出しました。
改革の柱は次の3点です。

①組織風土改革
朋邦氏は現状の風土を、部署ごとに縦割りが進み会社全体の利益を考える共通認識が欠落している、とし、危機下で会社全体の目指すべき計画を共有できず、苦しい状況を乗り越えるための計画を立てても今の組織ではとても実行できない、とシビアに認識しています。

②体質転換
長く売上の主力であったキャラクターグッズ販売(物販業務)は、トップラインに重きが置かれるあまり、毎年大量に発売される新商品が在庫の山を産み出して利益を圧迫していました。

③成長戦略
高齢化や人口減少に見舞われる日本に比べ、アジアには今後の成長が見込まれる巨大市場があります。一方で現地に適応したビジネスモデルやパートナー選びが重要となります。

朋邦氏は、この3つの改革を確実に進めるため、中塚 亘 氏(①組織風土改革)、大塚泰之 氏(②物販改革)、斎藤陽史 氏(③海外事業)といった担当領域に関するコンサルタントなどを長年務めた経験者を採用して経営チームを刷新、自らが改革の陣頭指揮を執っています。

経営改革のために外部人材を登用することは決して珍しいことではありませんが、今回の人事は、解決すべき課題と責任の所在が極めて明確になっているという点で注目に値します。

永く創業オーナーが実権を握り、その側近役員も数多く存在する中で新経営チームがどのような成果を打ち出すことができるか、注目です。


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