BFF ベタ・フラッシュ・フォワード[6]飯岡 陸 インディペンデント・キュレーター【先に後から 振り返る、亀たち】
*『建築ジャーナル』2019年6月号の転載です。
誌面デザイン 鈴木一誌デザイン/下田麻亜也
ポストモダンを所与のものとして生きる上で、念頭におく情報・歴史のデータベースが複数並ぶことはもはや前提であり、それを並べる手つきこそが問われている。
私たちが実存を見いだすのは、抽象的な物事をも操作する身体性にほかならない。抽象とはもはや透明なものではなく、そこには私たちの肉体が潜んでいる。
駅からしばらく歩いた静かな道沿いに、CAGE GALLERYは姿を現す。
奥行きの浅い二つのショーウィンドウ、一つの窓には大きく印刷された文章と小さな地図が、もう一つの窓には小さなキャンバスの絵画が展示されている。
文章は展示のステートメントのようだが、読んでみると展示解説というよりは、絵画のモチーフとも外の風景ともいえる描写が続く。
地図を見ると、周囲の窓辺にいくつか作品が点在しているようだ。
「凍りつく窓:生活と芸術」の第二期・鹿野震一郎の展示はこのように始まった。
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