よく採用で重視されるものの一つに「コミュニケーション能力」というものがあります。

私は、普段から採用面接に関わることが多く、やはり「コミュニケーション能力」は重視しているのですが、この「コミュニケーション能力」はしばしば漠然と捉えられがちではないでしょうか。今日の記事では「コミュニケーション能力」とは何か、について考えてみます。


エンジニア組織におけるコミュニケーション能力とは

エンジニア組織において「コミュニケーション能力が高い」ということは「二者間の情報の共有が迅速かつ効率的であること」であると、私は捉えています。

この「迅速」かつ「効率的」をコミュニケーションにおいて実現できる能力には7つの要素があると考えています。

コミュニケーション能力の7つの要素

話しかけやすさ

コミュニケーション能力の重要な要素として「話しかけやすさ」があります。会話以外のコミュニケーションですと「気軽に連絡できるしやすさ」とも言えるかと思います。これはコミュニケーションを始める際のコストが低いことを意味し、情報伝達を迅速に始めるためには有利に働きます。しかし、当然話しかけやすさ単独だけでは、コミュニケーション能力が高いと言うには不十分です。

情報処理能力の高さ

コミュニケーションにおいては、一度に多くの情報を処理できる能力も重要です。多くの場合、大量の情報を受け取るとそれを精査するための時間とコストを払うことになりますが、個人の能力として大量の情報を適切に整理し、重要な部分を自ら抽出できる能力があれば、コミュニケーションの効率が向上します。

想像力の高さ

少ない情報量から、重要な部分を正確に理解し再現する能力は、コミュニケーションにおいて非常に有効です。少ない情報伝達量やあいまいな表現に対して、知識と推測で補完できる能力があれば、情報伝達の効率を高め、全体的な伝達のコストを削減することにつながります。

知識の豊富さ

多くの知識を有することは、コミュニケーションにおいて理解力に直結します。様々なトピックに対して適切な理解が可能であれば、コミュニケーションの効率が高まります。知識があれば、無知のために聞き返すコミュニケーションコストを減らすことができ、また理解が曖昧のまま話が進んで、結局半分も理解できなかった、ということにはならないでしょう。

思考パターンの多様性

これは思考の瞬発力とも言えると思います。新しい問題や未知の事象に対して、経験や知識を基になんとか返答をひねり出し、対応することができる能力は、コミュニケーションを円滑に進める上で欠かせません。

適切な情報量と伝達速度

ここまでは、自身の能力の高さがすなわちコミュニケーション力である要素を上げてきましたが、「適切な情報量と伝達速度」は他の項目とは異なり「相手に合わせる能力」になります。
人には情報処理能力が最大化する適切な情報量と伝達速度があり、そのスイートスポットに合わせてコミュニケーションすることで最大の効果が得られます。これはちょうど、帯域幅に合わせて動画の圧縮率を変える制御に例えられるでしょう。これを実際の会話における、相手の理解度に合わせた言葉選びや、話す速度、表情などのノンバーバルな補完ができる能力、と言いかえることもできるでしょう。

礼節

最後に、直接コミュニケーション能力と関連しないものですが、適切な礼儀を守ることは重要です。人間同士のコミュニケーションにおいて、プロトコルとしての礼儀は、相手を不快にさせることなく、スムーズなコミュニケーションを行うには必要不可欠です。

おわりに

コミュニケーション能力には多様な要素が関わっています。言葉でのキャッチボールが難しい場合、今日取り上げた要素のどれが影響しているのかを慎重に分析する必要があります。これらは生まれつきの特性であるものもありますが、学習によって身に付けられる要素も多くあります。

コミュニケーション能力とは、ただ自然に身につくものではなく、意識的な努力と継続的な向上によって磨かれるものです。この記事をきっかけに、あなた自身やチームメンバーがそれぞれのコミュニケーションスキルを見直し、円滑なコミュニケーションによる生産的で快適な環境作りの一助としていただければ幸いです。

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