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2020年とこれから。

noteを始めてから、一年を振り返るようにしているので今年も振り返ってみたい。


今年関わらせていただいた最初のイベントは4/18(土)『DOMMUNE × ニコニコネット超会議2020 Presents 「リモート超テクノ法要 × 向源」 〜新型コロナウィルスと緊急事態宣言が産み落とした突然変異的コラボレーション!!!!!!!』」でした。ここ数年は幕張メッセでVJを担当させていただいている超テクノ法要ですが、今年はコロナの影響でリモートで実施することに。配信が始まると、あれよあれよと視聴者数が伸び、気づけば9万人に。途中、あまりの急激なアクセス数の増加に伴い、サーバーも落ちかける盛況っぷりで配信イベントの可能性を感じたイベントでした。


このイベントを通じて自宅にいてもできることは多いという気づきを得て、次に着手したのがステイホーム下にあって、自分自身の身の回りを変えてみようということでした。そこで、スピンバイクをワクワクする体験に変えようと作ったプロトタイプがコレです。スピンバイク自体は電気を使わないアナログ機材ですが、足にスマホを付けることで、スマホの加速度センサーの値をコンテンツに反映させ、3D空間を滑走しているかのような体験を作るという仕組みです。モノづくりをするとき、「まずは機材をそろえてから」「スキルを身につけてから」みたいに考えがちですが身近にあるモノや、現時点のスキルでも、組み合わせることで思いの他いろいろな事が実現できるものです。まずはクイックにカタチにしていくという技術との向き合い方って非常に大切だと思っています。


次に実験したのがCloud Speech-to-Text APIを使った自動翻訳です。これは技術面では大したことをしていないのですが、テクノロジーで言語の壁を越えられるという可能性を感じたプロトタイピングになりました。


その勢いで音楽との掛け合わせにもチャレンジしました。音楽は、そもそも言葉を超えますが、歌詞をリアルタイムに多言語で可視化することで、さらに深いレベルで多くの方にメッセージを届けられるのではと考えたのです。この方向性はどこかのタイミングで実際のイベントでも試してみたいなと思っています。

credit:
Lyrics&Poetryreading : hugvilla
Sound: Ikuko Morozumi
Visual: Ken-ichi KAWAMURA
3D Character: ともだち初号機


このように業務外でいろいろと手を動かしていたのですが、僕の中で一つの課題感がありました。一つ一つのアクションが「演出」にとどまっているということです。「コロナ禍の今、解決すべきことは他にもあるのではないか?」という気持ちが芽生えてきました。

そうして、次にアクションしたのが、3密、不要不急という逆風下にあったアート・エンターテイメント業界に貢献できる「コト」を起こせないか?ということでした。世の中が下向きになっている今こそ、本来、アート・エンターテイメントが社会に希望を与える時だと思ったのです。

そこで生まれたのが"日本中のデジタルサイネージを使って街をアートで彩れたら、世の中を少しでも明るくできるのではないか?"というインサイトでした。

試行錯誤の上、実現したのがNEXT WORLD EXHIVISIONです。こちらはdavid watts 竹川さんやLIVE BOARD 神内さんを始め、組織を超えて、多くの皆さんの熱意のもと実現できたプロジェクトで、僕自身、感謝しか無い仕事となりました。

このプロジェクトでは、普段、沢山コラボさせていただいている音楽家 IKUKO MOROZUMIさんとのユニット「INT」としても参加しました。「モノとコトを通じて社会に貢献する」、自分が本当にやりたいことの答えを見いだせたプロジェクトとなりました。

Seasons / INT
四季、それは、私たちに多くのドラマをもたらしてくれる、かけがえのない存在です。
そこには、美しい情景があり、温もりと、時には厳しさもあります。
コロナ禍により、私たち人類は大きな試練を経験しました。
ですが、時は季節のように巡るもの。 未来に向けて、自分なりの道を描き続けて欲しい。
それが本作品のメッセージです。


次に、電通グループに向けた計8回のTouchDesignerのオンラインワークショップを行いました。「プロトタイピングを通じて、広告表現の拡張を目指すこと」をテーマに掲げて行いました。

技術が中心となるワークショップだったわけですが、僕自身、一番伝えたかったことは「技術を自分ゴト化して欲しい」という一点でした。

広告業界に限らず、世の中全般に言えることですが、AI、xRのように、その時々に技術自体が独り歩きしてしまうタイミングがあります。本来、目的を達成するための技術のはずが、なんだか良く分かっていないけど、とりあえず、流行のテクノロジーに乗っかっとけ、みたいな流れって実際あるのです。多くの場合、そのような現場からは魂のこもった企画はもちろん、制作者へのリスペクトも生まれず、誰も得しない結果になってしまいます。そのようなケースを無くすためにも、多くの人に技術の自分ゴト化を進めていきたいというが僕のテーマでもあり、ここでは102名の方に参加いただくことができました。

オンラインということで、参加者の皆さんの顔が見えず、進め方が非常に難しかったのですが、運営メンバー、参加いただいた多くの皆さんの熱意がシンクロし、素晴らしい時間となりました。

そこでは、以下のようなモノを計8点制作していきました。


次に世の中に出せたのが、誠文堂新光社より発売された『ビジュアルクリエイターのためのTOUCHDESIGNERバイブル』です。

雑誌やネットメディア等への寄稿は100回以上経験があるのですが、本一冊に関わることは初めてでした。

本書は、元同僚の松岡くん、ベースドラムの森岡さんと3人で執筆したもので、およそ1年半ほどかかりましたが、得意分野が異なる3名の力を出し合えたことで、これからTouchDesignerを始める方から中級者にかけての良い実践本にできたのではないかと思っています。

出版後、amazonでは3つの部門でベストセラーに。TouchDesignerという、国内での知名度はまだまだこれからというツールにも関わらず、沢山の方に購入いただけたことは本当に嬉しく思いました。

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また、自宅近所の本屋さんでも書籍を発見。東京ではなく埼玉というロケーションでも売っているという事実に、ようやく世の中に出たのだなと実感した瞬間でもありました。

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紙面の関係で紹介しきれなかったテーマが沢山ありますので、順次、noteにもまとめていこうと考えています。本と合わせてチェックいただけると嬉しいです。


最後に関わったのは2020年12月9日から13日にかけてMUTEK.JPとMUTEK.MXにて共同開催されたvirtual exhibitionでした。メキシコからお声がけいただき参加したのですが、数年前からコラボしているメキシコのアーティストTransgresorcorruptorさんと、世界が遠く感じるコロナ禍のタイミングで国境を越えてコラボでき、素晴らしい機会をいただけたなと思っています。



この文章だけ見てると「この人、仕事してるのか?」と思われそうですが、本業ではDXや配信等のプロジェクトにも関わっているので、2020年は会社から課せられた粗利目標に対して148%の数字貢献を行うこともできました。

会社のプロジェクトでも多くの気づきがありました。そこでの気づきは以下にまとめているのですが、端的にまとめると「スキルとは、人に影響を与えるためにあるのだ」という気づきです。もちろん、学ぶことは成長の過程でとても重要なのですが、人に影響を与えて初めてスキルは世の中に生きてくるのだと痛感したのですね。僕自身、そのようなマインドで、今後も取り組んでいきたいと思っています。


2020年は、とにかく自分の非力さを実感した年でもありました。同時に、日々の小さな積み重ねが、次の結果につながっていくことを実感した年だったともいえます。変化を拒むのではなく、変化を受け入れ、一つ一つ着実に歩んでいく先に自分が理想とする未来があるように思うのです。

今、世の中は新型コロナ 第3波の真っただ中で先が見通せない状況です。この困難を、いつか笑って振り返れるよう、2020年に得た様々な気づきを活かし、悔いのない時間を過ごしていきたいと思っています。

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