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小劇場界隈プロデューサー→カメラマンへの依頼方法(トラブル事前回避) 第二話 具体的な依頼方法編

さて、次に具体的な依頼方法ですが。

まず依頼する際に、
①この公演にデザイナーさんがいるかどうか。
②予算はいくらなのか。
③具体的なイメージはあるのか。
④納期はいつなのか。
⑤何に使う写真を撮るのか。

こちらを明確にしてから依頼に臨みましょう。

①はいたらベストなのですが、いない場合や、そもそもチラシなどを作らない場合もありますよね。なので無理にとは言いませんが、いるかいないかをはっきりしてあげましょう。
それによって、カメラマンは自分の仕事範囲がどこまでなのかを想像できます。
ここで言う具体的なところは、ライティング(照明)プランを自分が0→1で考えるべきなのか、それとも相談できる人がいるのか。ということです。
デザイナーさんがいる場合はその方のデザインプランに従ってライティングを決めることが多いです。(例えばチラシデザインが合成で外設定なのに、明らかにそれとは違うライティングだと違和感が出てしまうため。)

②予算がいくらなのか。これは小劇場には常に付きまとう問題なので、恥ずかしがる必要はありません。カメラマンもそこはわかっております。
ただ、カメラマンも生活していかなければならないので、予算によって、自分の時間をどこまでその公演に注ぎ込めるか決めます。これが決まっていないと、めちゃくちゃ時間かけたのにお金が払われない。と言って、トラブルの元になったり、遺恨が残ったりします。大体でもいいので伝えてあげましょう。ちなみに、カメラマンにとって一番時間がかかるのが所謂『レタッチ』という作業です。これにどれだけ時間をかけられるかが予算によって変わります。レタッチの具体的な内容は後述します。

③具体的なイメージはあるのか。これはもしあるならネットの拾い画像でもいいので提示してあげてください。クリエイターならわかると思いますが、0→1の作業はとても難しく、時間もかかります。そのため、意見が通らなかったり、イメージ共有ができていなかった時の落胆もひどくなってしまうので、予めイメージ共有のためにもサンプル写真を送ってあげましょう。もしぴったりのイメージ画像がなかった場合は、台本を共有したり、プロットを送ってあげて、世界観の共有をしましょう。そして、なるべく具体的に、背景の色や、影の濃淡、写真の色味(あたたかい系、爽やか系)などを伝えてあげましょう。

④納期ですね。これはグッズ制作があるなら、逆算すれば出てきます。よくあるパンフレット入稿で本番1週間前がデッドライン、ブロマイドが3日前くらいがデッドラインでしょうか。これは業者にもよるので調べてくださいね。
そして、これはあくまで入稿のデッドラインなので、パンフレットだったらデザイナーさんの作業時間を含めると2週間前くらいになると思います。そして、昨今は事務所確認などが必須になりますので、3週間前くらいを納期にしておいた方が安心かと思います。これを設定しておかないと、カメラマンがいつ『レタッチ』作業をするかを考えることができません。これもトラブルの元になります。

⑤何に使う写真なのか。これはもっと具体的に言うと、何に何カット必要なのか。が知りたいということですね。例えばパンフレットにアップ1枚、全身1枚。ブロマイドに3枚使用します。とかです。これを提示する理由としては、やっぱりカメラマンもこの撮る枚数で足りるのかな?というのを気にするわけです。そして、ちょっと専門的な話になると、この解像度で足りているのかな?というのを気にしてライトを組んだり、カメラの設定をするわけです。条件が良い場所での撮影(明るい、広い、天井が高いなど)なら特段問題ありませんが、皆様【稽古場】で撮影などしていませんか?もっと言うと、区民センターの〇〇室みたいなところで撮影依頼をしていませんか?なかなかの悪条件ですよ、それ。ただ、カメラマンも予算がないのはわかっているんです。なので、その条件下で一番良いパフォーマンスを出すことに尽力しているんです。そうすると解像度を落とさざるを得ない状況が生まれたりします。その時に、ブロマイドサイズなのか、パンフレットに必要なのか?によって、諸々考慮しなければならないポイントが変わってくる。というわけです。

これら(気にしないといけないこと多いですね)を踏まえて依頼してみてください。トラブルが起きにくくなります。

そして、よくあるトラブル事例として、”御法度”なことがあります。
ただ、依頼する側の気持ちもわかるので、事前に注意しておきましょう。

それは

【本来の目的以外の撮影を組み込むこと】

です。

例えば、劇団だったら、ビジュアル撮影のついでに
・劇団のプロフィール写真を撮る。
・主催の紹介写真を撮る
・新劇団員の宣材写真を撮る

これらは基本的に御法度です。
これは事前にスケジュールに組まれていたらまだ良いです。指摘できるから。
当日ちょっとした空き時間に急に
『今時間あるしさ、ちゃちゃっと数枚でいいから撮ってくれない?』と依頼されることがよくあります。

わかります。とっても気持ちわかります。
だって、せっかくスタジオ押さえて、カメラマンを押さえて、大体カメラマンのギャランティって1日拘束でのギャランティだし、ついでに撮ってもらえるなら実質無料だし、そっちの方がいいですよね?

はい。
きっとその気持ちがわかるから、なんか嫌なんですよね。

恐らく当日急に言われて『いや、無理です』と断るカメラマンの方が少ないと思います。
完全にサービスの範疇ですが、数枚ならいいか。と思う人の方が多いと思います。
空気悪くしたくないし。

ただ、あくまでそれは本来の目的『外』のことだと主催側が自覚する必要があります。

時間に余裕を持って撮影スケジュールが組めているのはとても良いことです。
ただ、そこに本来の目的以外の撮影をねじ込むのは違うんです。
これはカメラマンとしてはいい気がしません。

それはなぜか。
・先述した通り、依頼側が得をしようという魂胆が透けて見えるから。
・得をしようとしている撮影にも通常はお金を払ってくれている人がいるから。
・一見休憩しているように見えて、データ整理をしていたりするから。
・カメラはシャッターを切れる枚数に制限があり、消耗品なので、こちら的には摩耗するから、無料ではない。コストがかかっているから。

などが理由として挙げられます。

もし慣習的に上記のことをお願いしてるプロデューサーがいるなら、それは一度見直した方がよいかと思われます。

はい。また長くなってきたので、第三話に続きます。
次は『レタッチ』について掘り下げます。

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