物理学とは関係のない天文のトリビア

以前、「宇宙の謎々」を作った。天文・宇宙の勉強をしていないとちょっと難しかったと思う。蛇足ながら今年(2023年)の大学入試で文系を受験した知り合いのお嬢さんは半分できたそうで、かなりいい成績である。知らないことでも若い人の方が感性よく直感で当てられるのかも知れない。人生を重ねた人は逆に考えすぎか?
https://note.com/kengoken21go/n/n2e81b85778b2

さて、今回は天文・宇宙の中であまり理論的でないところからトリビアをアットランダムに取り上げる(クイズにはしない)。ラッキー7で7題。

1.太陽の絶対等級
所謂「○等星」というのは見かけの等級(視等級)で、全ての恒星・惑星・その他を含めて一番明るいのは勿論太陽で-27等星である。では絶対等級ではどうかというと5等星でありふれた輝度の恒星。日本で見られる次回の皆既日食は2035年9月2日。金環日食は2030年6月1日。

2.月の凹凸
誰でも経験しているとおり、満月に近い時は、白黒ははっきりする=日本で言えば兎の餅突きつきがよく見えるが、明る過ぎてクレーターは殆ど見えない。満月と半月の間位の時、陰ができて見やすい。双眼境で観た人、或いはカメラで撮影した人は経験しているだろう。どっちが好きかは好みの問題。

3.冬のダイアモンドとオリオン座
冬は特に星がよく見える。中でもオリオン座は形がわかり易い。冬の大三角形は有名・・シリウス(おおいぬ座)、プロキオン(こいぬ座)、ベテルギウス(オリオン座)・・だが、「冬のダイアモンド」は多分あまり知られていないと思う。シリウス、プロキオン、ポルックス(ふたご座)、カペラ(ぎょしゃ座)、アルデバラン(おうし座)、リゲル(オリオン座)を結ぶと六角形となることをいう。ついでにいうと、オリオン座のリゲルは源氏星(青白いからだろう)、ベテルギウスは平家星(赤いからだろう)と日本では古から呼ばれていた。
https://www.astron.pref.gunma.jp/gallery/winter_diamond.html

4.西郷星
明治時代の錦絵で登場するので知っている人も少なくないと思う。西南戦争で西郷が自決した年、火星が怪しい赤色で異様に大きく見えたので西郷の霊が宿っているのではと当時の人が驚いた。この時地球と火星が大接近したからである。尚、最接近した時の距離は約5,500万kmで、西郷星の時は5,630万kmである。太陽・地球・火星が一直線に並び(衝という)火星の楕円軌道の短い方に来た時が最短である。

5.枕草子と星・惑星
枕草子「星はすばる ひこぼし ゆふづつ よばひぼし すこしをかし」はよく知られている。ここで清少納言が「いいね」しているのは以下のとおり。
○すばる
・・勿論、プレアデス星団(昴)のこと。「すばる」は和語
○ひこぼし
・・意外や意外、当時は現在の織姫星(こと座のベガ)を指していたそうだ=現在の彦星=牽牛星(わし座のアルタイル)ではなかった!Webで検索すると「ひこぼし」はアルタイルと出て来るのだが・・。
○ゆふづつ
・・宵の明星の金星(中国では太白星)
○よばひ星
・・流れ星

5.冥王星とディズニー
冥王星は米国人が発見したので同国では誇りに思っていたらしいが、周知のとおり準惑星に格下げされてた。名前は冥界の王プルート(ローマ語)から来ている(ギリシャ語ではハデス)。ミッキーマウスが飼っている犬のプルートはここから取ったらしい(冥王星の発見年に生まれたキャラクター)。

6. 公開天文台の天国・日本
大学、その他研究施設専用でなく一般時にも解放されている天文台を公開天文台と称する。日本には400以上あり世界に例を見ない数である。その内、最大の反社式望遠境は兵庫の西はりま天文台(2m鏡)で公開天文台としては世界最大。東日本のトップは県立ぐんま天文台(1.5m鏡)である。
為参考:日本最初の本格的な天文台は江戸時代創建の浅草天文台で→東大→(関東震災後)三鷹の国立天文台に受け継がれていった。

7.エジプトのピラミッドと北極星・・ここは少し天文学の知識が必要?
「宇宙の謎々で」で「現在こぐま座α星ポラリスを北極星と呼ぶ。本来地軸の北極極方向に最も近い輝星が北極星なので地球の自転歳差運動(約26000年周期)で変動する」と書いた。紀元前12,000年から現在まで北極星は7個あるが、残念ながら1等星は紀元前12,000頃のベガ(こと座のα星)だけである。因みに現北極星ポラリス(ごくま座のα星)は2等星である。今後1等星が北極星になるのは西暦13,500年頃のベガまでまた待たねばならない。要はベガしか1等星はないということで残念。因みに古代エジプトはナイル川の氾濫時期を全天で一番明るいシリウスの動きで判断していた一方、クフ王のピラミッドの底辺が東西南北に正しく築かれているのは、当時の北極星りゅう座α星トゥバン(アラビア語「蛇の頭」に由来)を基準にしたと言われている(但し、ギザのピラミッドでは他の手法との異論もある)。
補足:西暦10,200年頃、デネブ( はくちょう座α星)が北極星に近い位置に来るが7度ずれている。

「西南珍聞 俗称西郷星之図」(画・梅堂国政、明治10年)
ウィキペディアより

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