【研究情報】便通改善効果が、海藻ヒトエグサの成分にあることが判明

海藻ヒトエグサ(一般にアオサと言われています)に含まれるラムナン硫酸といいう成分があります。このラムナン硫酸の摂取により「腸内の細菌叢が変わって便秘改善」するとの、ヒト試験での研究論文が発表されました。この研究論文発表について、三重大学からプレスリリースがでましたので、内容を見ていきたいと思います。

科学雑誌Scientific Reportsへ掲載の研究論文、三重大学のHP及びリリースは、以下をご参照ください。

研究論文タイトル:
Rhamnan sulphate from green algae Monostroma nitidum improves constipation with gut microbiome alteration in double‑blind placebo‑controlled trial
掲載科学雑誌:Scientific Reports インパクトファクター4.379
URL https://www.nature.com/articles/s41598-021-92459-7

三重大学のHP
https://www.mie-u.ac.jp/R-navi/release/cat680/post-40.html
三重大学からリリース
https://www.mie-u.ac.jp/R-navi/release/files/bee6cf1ee52082d8fdb0fb241e334ff0.pdf

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出典:三重大学リリースから抜粋


1.便通改善の効果について
ヒトの試験結果で、ラムナン硫酸100㎎を毎日、2週間摂取したところ、便秘が改善されています。
これだけだとほかの素材でもよくある結果です

が、肥満体質や便秘気味の人ほど、改善効果があるというのは、面白い結果だと思います。

試験の結果からは、BMI(肥満の指標)が平均よりも高い肥満体質の方は、便秘の改善効果が高いそうです。

便秘の方は腸内のいる細菌の種類が増えるそうです。ラムナン硫酸は、腸の中の細菌の種類が多い人ほど、便秘の改善効果があるとのことです。ラムナン硫酸を摂取すると、腸内細菌叢(腸内フローラ)が改善される結果が出ているとのことです。

2.腸内フローラの改善
腸内フローラのことが出てきたので、腸内フローラについて調べてみました。
腸内の細菌は、善玉菌(乳酸菌やビフィズス菌など)、悪玉菌(大腸菌など)と日和見菌が存在し、この割合が2:1:7になるのが理想的と言われています。

肥満との関連では、成人の腸内環境は、「バクテロイデス」と「ファーミキューテス」の2つの種類が優勢となっています。バクテロイデス門というのは善玉菌を好む日和見菌で、肥満を防いでくれるようです。フィルミクテス門の細菌は食事から取り込むエネルギー量が多く、そのため肥満に結びつきやすいといわれているようです。

肥満度と腸内フローラとの関係では、肥満度の高い人はど、「ファーミキューテス」の細菌が多く、肥満度が低い人ほど「バクテロイデス」の細菌が多いそうです。

ラムナン硫酸を摂取すると「ファーミキューテス」の細菌が減って、「バクテロイデス」の細菌が増える結果が出たそうです。


3.サプリメントなどへの応用
今回のヒト試験の結果を基に、ラムナン硫酸の効果を活かした初の機能性表示食品を目指しているとのことです。さらに肥満度や細菌叢の多様性と効果が関係しているため、人の体質に応じたサプリメントの開発も検討されており、パーソナライズサプリも検討されているようです。

ヒト試験に先だって行われたマウスの試験では、ラムナン硫酸を摂取することで、中性脂肪、総コレステロールが低下し、排便量が増え、排便によるカロリー消費も増えたようです。
以前は、ゼブラフィッシュで抗肥満作用があることが報告されていました。

リリースによると、さらに腸内の炎症の低減や、生体防御機構がすすむ可能性があり、研究を続けられるとのこと。

また、免疫賦活や血管の炎症抑制など、まだ哺乳類動物やヒトで証明されていない ラムナン硫酸 の 作用については 引き続き 研究を 行い、ヒト におけるラムナン硫酸の 治療効果を さらに 実証していく 予定です 。

これまで、ラムナン硫酸は、研究論文が発表され、培養細胞や動物試験では、抗血栓、抗肥満、抗ウイルスが確認されています。これらも順次ヒト試験で確認されることを期待しています。

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