米国株6営業日続伸-マーケット考察-2020.6.9

米国株式市場は6営業日続伸。
ナスダック総合指数は史上高値更新。出来高も164億6000万株と過去20営業日平均の123億5000万株よりかなり多かったです。

昨日の株価上昇要因として、
(1) OPEC プラスが7月に減産する事で合意した事で原油価格が40ドルまで一時回復

(2) 金曜日に発表された雇用統計で非農業部門雇用者が250万人増加したことで市場の景気回復期待感が増している

が挙げられます。

但し、失業保険申請者数は過去2か月半で4000万人にまで達しており、今後千万人単位での失業者の雇用を回復出来るのかは不確定です。

ダウ平均は3月の安値から半値戻ししており、本来なら更なる上昇エネルギーは限定的と見られる反面、米国政府の景気刺激策としての積極的財政出動やFRBの継続的金融緩和が、市場に安心感を与えている模様です。

パンデミック後に大幅に売られた銘柄が買い戻されている中で、ボーイング社の株価が1日で26%以上も上昇しているのが象徴的でした。

しばらくは悲観論の影が潜めてしまうのは、行き場を失っている過剰流動性が金融市場に流入し、金融商品の価格を押し上げているからでしょう。

これだけの株価上昇を正当化するのは実体経済がどうかという分析をしても意味がありません。市場は過剰流動性を資産価値の上昇しそうな金融資産にシフトする事に躍起になっており、それはあたかも認識したくない現実に目をつぶっているかのようなのです。

果たしてこれがいつまで続くのかですが、米国政府やFRBの政策が米国経済を回復させるとの期待感が市場を席巻している限りは続くのでしょう。

以前にも申し上げましたが、7-9月期の米国経済成長率に関して、米国投資銀行各社は軒並み2桁成長率を予測しています。市場もそれを織り込むかの様に上昇機運になっていると言って良いです。ですから、万が一、その予測値よりも遥かに低い成長率が発表された暁には、株式市場もお祭り騒ぎしている状況ではなくなると思います。正にその時、市場は届くかはわかりませんが、2番底を狙っての下落をするのでしょう。

米国株は業態により価格変動もマチマチです。テック企業はコロナもポジティブ要因となり株価は寧ろ上昇したことから、次に下落相場が来たときにはインデックスをアウトパーフォームする事にもなりえます。

とは言え、結局、今後の株価推移は引き続きコロナ次第は否めません。今後の感染第2波を含めコロナ感染自体はまだ極めて微妙な状態であり、その意味で慎重姿勢を維持する投資家は多く居ます。

立沢賢一(たつざわ・けんいち)

元HSBC証券社長、京都橘大学客員教授。会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、ゴルフティーチングプロ、書道家、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資家サロンで優秀な投資家を多数育成している。

投資家サロン https://www.kenichi-tatsuzawa.com/neic

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