米国株マーケット考察 2020.9.18

米国株式相場は反落。ダウ工業株30種平均は前日終値比130.40ドル安の2万7901.98ドルで終了し、ナスダック総合指数は140.19ポイント安の1万0910.28で引けました。

市場は9/15-16のFOMCでFRBが金融緩和政策維持する表明をしたことには好感しましたが、そのFRBが市場予想よりも長期間金融緩和を維持するとの意向に関しては、経済回復に不安を感じ始めた機運があります。更に、最近は影を潜めていましたが、追加景気刺激策がまとまらないことも嫌気されています。

経済指標は低調で景気をめぐる警戒感を強める要因となりました:

(1) 最新週の新規失業保険申請件数は86万件と、市場予想の85万件を上回り、前週から減少したものの、申請件数は高止まりしており、雇用をめぐる懸念を高める内容。

(2) 8月の米住宅着工件数は年率換算で前月比5.1%減の141万6000戸と、4カ月ぶりにマイナス。

(3) フィラデルフィア連銀が発表した9月の製造業景況指数は15.0と、前月(17.2)から低下。

市場が決定打として期待しているワクチンについても、当局者の間でいつ利用可能になるのか、相反するシグナルが発せられており、不安感に繋がっています。トランプ大統領は強気発言している一方で、CDCは本年中のワクチン供給量には限界があり、より多くの人達に供給するには更に6-9ヶ月は掛かると発表がありました。

8月の最終週にテック企業が牽引役となり信じられないレベルでの相場上昇を経験しましたので、昨日の売り攻勢も健全な利益確定の動きの範囲と捉えられてます。また、FRBが低金利の長期化を示唆する中で株式市場はサポートされ、現在の下落はあくまで調整との見方が強いと認識されています。

アルファベット(C) 1480.15(-40.75 -2.68%)

フェイスブック 251.91(-11.61 -4.41%)

ネットフリックス 465.78(-18.08 -3.74%)

テスラ 421.70(-20.06 -4.54%)

アマゾン 2985.15(-92.95 -3.02%)

エヌビディア 495.22(-5.36 -1.07%)

ツイッター 38.98(-0.63 -1.58%)

[用語解説]

・新規失業保険申請件数ー失業者が失業保険給付を始めて申請した件数を集計し、季節調整を加え発表するもの。本指標は景気の動向に敏感に反応するといわれており、景気先行指数として用いられています。

米労働省雇用統計局が毎週集計し、集計期間の翌木曜日に発表されます。米雇用統計の基準日である12日を含む週の結果は、それ以外の期間よりも注目度が高いです。

・米住宅着工件数ー米商務省センサス局が米国内で一月に建設された新築住宅戸数を調査して発表する指標。住宅建設は季節ごとのばらつきが大きいため、調整をかけたうえで年率換算して発表されます。

一戸建てと集合住宅に分けて、北東部、中西部、南部、西部の地区ごとに集計されます。同時に発表される住宅建設許可件数は、建設にあたって地方自治体への許可申請が必要な地域における許可発行件数を調査したものです。実際の着工に先駆けて許可申請が実施されるため、住宅着工件数の先行指標となります。

住宅の購入に伴って、家具・家電などの耐久消費財の購入が行われることが多く、個人消費への波及効果が大きいことから注目されています。雇用市場の動向や、消費者の景気への信頼感などとの相関がみられます。

・フィラデルフィア連銀製造業景況指数ーペンシルベニア州の一部、ニュージャージー州、デラウェア州を管轄区域とする地区連邦銀行であるフィラデルフィア連銀が、管轄区域の製造業の景況感や経済活動状況を指数化したもの。新規受注、在庫、出荷、支払い価格、雇用などの項目について、一カ月前との比較と、六カ月後の予想を「増加または好転」「変わらず」「減少または悪化」の中から選択する形で調査します。

分岐点はゼロ、プラスが好況、マイナスが不況となります。地区的にも近いニューヨーク連銀製造業景気指数と同様の指標で、毎月15日に発表される同指標の後、毎月第3木曜日に発表されます。両指標は全米をカバーし、より注目度の高いISM製造業景気指数の先行指標としても注目されてます。

・CDCーアメリカ疾病予防管理センター(英語: Centers for Disease Control and Prevention:CDC)は、アメリカ合衆国ジョージア州アトランタにあるアメリカ合衆国保健福祉省所管の感染症対策の総合研究所。

国内外における人々の健康と安全の保護を主導する立場にある連邦機関であり、健康に関する種々の決定の根拠となる信頼できる情報の提供と、強力なパートナーシップを通じた健康の増進の任にあたっています。疾病の予防と管理に関する活動、環境衛生に関する活動、さらに健康増進および教育活動など、米国民の健康増進を目的とした各種活動の開発と実施において、CDCは国の中心的存在として役立っています。


立沢 賢一(たつざわ けんいち)

元HSBC証券社長、京都橘大学客員教授。会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、ゴルフティーチングプロ、書道家、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。

・立沢賢一 世界の教養チャンネル
http://www.youtube.com/c/TatsuzawaKenichi

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