米国株はバリュー株投資かグロース株投資か?

バリュー株とグロース株

バリュー株は本来の価値から見て割安な株式のことを指します。株価割安判断のモノサシとして、典型的なものとしてはPER、PBRがありますが、株価が企業価値を下回っていると考えられる株式を買う投資手法をバリュー株投資といいます。PER(株価収益率)は株価が1株当たり利益の何倍かを示すものです。A社の株価が1株利益の10倍、B社のが1株利益の20倍なら、A社が割安というわけです。PBR(株価純資産倍率)も代表的な指標です。企業の解散価値を示し、1倍割れは割安といえます。バリュー株の反対語はグロース(Growth、成長)株で、グロース株投資は、企業の成長性や将来性に着目し、業績の伸びが期待できる銘柄に投資することです。

評価の物差し程度にすべき

最近では必ずしもPERやPBRが低い企業の株価が上昇しているわけではありませんので、あくまでも評価の物差しとして見做す方が良いです。例えば、17年前に設立され、現在では時価総額が世界第1位の自動車会社テスラの当期利益は恒常的に赤字ですからPERは計算不能、PBRは何と20.2倍、蛇足ですが、ROEはマイナス2.1%、ROAはマイナス0.4%です。それでも株価が史上最高値を更新しているのは天才イーロンマスク個人の能力とテスラ社の将来に対する期待値が株価に反映させていることを示唆しています。

因みに、バリュー株で有名な銘柄はウォーレン・バフェット氏率いる投資会社バークシャー・ハサウェイ社です。1996年以来、バークシャー・ハサウェイ社はS&P500指数を大幅にアウトパフォームしてきました。同期間の上昇率はバークシャーが786%、S&P500指数が279%でした。

超低金利時代に有利なのは

バリュー株は超長期的には優れた投資対象と認識されていますが、過去10年間の成績はグロース株の方が好調でした。何故なら、持続的な低金利により、グロース企業は低いコストで借り入れを行い、売上高の伸びを加速化させることが可能となっているからです。従いまして、グロース株の好調は続く可能性があります。

その理由は
①FRB(米連邦準備制度理事会)は2022年までは、金利を低水準に維持する見込みであること、

②グロース株の中でも大型株でもある企業には、体力があること、( 体力があるメリットは(1) 魅力的なテクノロジーなどの無形資産をある企業が出没したとしても、法外な値段でそれを買収したり、自社グループの資産として取り込める、(2)新型コロナショックのようなネガテイブな経済的影響を吸収できる )です。

ですからグロース株の方がこれから乗数的に変化する時代への対応力を持てると言えます。

個人的には大型グロース株の中でも(1) ストック型ビジネス、(2) 定性的メリットとしてブランドを構築出来ているかなど他にもいくつか銘柄選定する上で注意すべき点を考慮すべきだと思います。

ビジネスモデルのパラダイムシフトが与える影響

バリュー株のパーフォーマンスが昨今、芳しくないのは投資家のセンチメントが新型コロナショックでビジネスモデルのパラダイムシフトが起きているのではないか?そしてバリュー株はその時代の変化に対応できない可能性があるのではないか?という思惑があり、株価の動きにパワーがない状態だからなのです。

恐らく、現在のような将来への不安感が払拭されるまでは、中々安心してバリュー株に投資し難いのかもしれません。とは言え、超長期的に投資するのであれば、今後の世界がこれまでの時代の流れの線上に乗っていると想定するのであれば、安価なうちにバリュー株を仕込んでおくのも一つのアイデアだと思います。

これまでの投資ルールでは、FAANのような猫も杓子も投資しているような銘柄に飛びついて投資すると火傷するリスクがありました。私はアマノジャクなのでそういう投資は好まないですが、恐らく数年前のビットコインブームとは異なり、大型グロース株には安心感と将来への期待感が共存しているように感じられます。

金銭的に余裕がありましたら、バリュー株およびグロース株の銘柄選定をしっかりと行い、2:8なのか3:7なのか4:6なのかご自身の快適な比率でそれぞれ投資したら良いと思います。

もし資金的に余裕がないのでしたら、感染第二波による株価が再調整すると想定した場合、グロース株の有望銘柄を安値圏で購入する、といった動きが良いと思います。

時間という資産を活かす

長期または超長期投資を目指しているのでしたら、もし再調整がなかったとしたら、その時点で購入しても良いと思います。たとえ株価が2割3割割安で購入できなくても、その株を保有することが大事なので、どの価格でも購入することが大事だからです。勿論安く購入するに越したことはないのですが、私達は神ではないので将来の株価を予測し必ず的中させることはできません。

自分が銘柄選定した株式の価格は右肩上がりの価格形状をすると自信を持って購入したのであれば、バフェット氏のように長期間保有することで、時間価値を利用した成功確率の高い投資ができると思います。

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立沢 賢一(たつざわ けんいち)
元HSBC証券社長、京都橘大学客員教授。会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、ゴルフティーチングプロ、書道家、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資家サロンを通して投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。

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