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大事なことの中には昔からわかっていたものもある~熱中症予防対策の歴史~

「重度の場合には頸部や腋窩・鼠径部を冷やすだけでは間に合わない」
ということが報告されている昨今ですが、これまで熱中症対策はどのようなことが行われてきたのだろうか。

ということで、
熱中症予防対策の歴史、研究と深部体温判別システムの開発について見つけたものを以下に。
ここから掘り下げていくことはさらに大事なのですが、
そこまでいくと本当に今やるべきことを忘れてしまうので、、、紹介まで。

1)中井誠一「総説 熱中症予防対策の歴史」日本生気象学会雑誌Vol. 48 (2011) No. 1 P 9-14
屋外労働や軍隊での発症は「日射病」と呼ばれ、
炭坑内での発症には「熱中症」という用語が用いられていたようです。
このあたりの起源が、2つの別な疾患という認識ということにもつながっているのかな。
*中井(2011)より下図引用

古くは江戸時代から、、、
著書は1939年に記されている予防策は現代でも充分に通用するものである
と述べています(詳細は本文参照)。
「水を飲むな」ということへの起源には諸説あるようですが、その言葉だけが残ってしまったのかもしれないですね。

2)芳田 哲也「総説 日本における熱中症予防研究」日本生気象学会雑誌Vol. 52 (2015) No. 2 p. 97-104

運動強度の増加は、直腸温が急激に上昇する環境温度の閾値が低下するということは1960年代には明らかになっているんですね。

・綿かポリエステルか

湿気の吸収をしてくれて心地良さなら綿、
蒸発と通気性ならポリエステル。

個人的には少量の発汗ならポリエステルで影響ないけど、大量に汗かくと吸い取ってくれないところは逆に辛い。インナーに着るといったん汗かいたら逃げてくれないから汗だく。

軽運動時では被服が紫外線の軽減だけでなく、温熱ストレスの軽減にもつながるというのは自分の中ではこれまでもずっとなかった考え方。軽運動になっていない、と言われればそれまでですが。

・身体冷却

頭頚部の冷却は全身冷却に比べて冷却効果が高い
ということもこの中で紹介されています。

・暑熱順化

暑熱順化により深部体温上昇の抑制だけではなく、血液量増加・発汗中ナトリウム濃度の低下が伴う
*涼しい環境で体温上昇が低い運動では熱放散反応向上は少ない
血漿量の増加にはインターバル速歩と終了後の乳製品摂取が効果的?
血液量増加はトレーニング実施期間と同程度の日数を経過すると効果消える

熱中症予防のための深部体温上昇判別システムの開発

渡井 康之, 松井 岳巳「熱中症予防のための深部体温上昇判別システムの開発」—心拍数,呼吸数,体表面温度による判別可能性の検討—生体医工学Vol. 54  Annual (2016) No. Proc p. 3T5-3-6-1-3T5-3-6-2

・目的
深部体温の上昇を
心拍数、呼吸数、体表面温度、気温、湿度から約10秒で判定するシステムの開発
・対象
男子大学生9名
・方法
自転車エルゴを15分
運動後に深部体温、心拍数、呼吸数、体表面温度を測定して、
健常群・予備群に分類して解析
・結果
予備群では心拍数と体表面温度が上昇(p<0.05)
呼吸数は有意差無し→換気量を考慮した方がよい?
熱中症の陰性的中率は高いが陽性的中率に課題

予防だけ考えたら簡単、やらなければいい。それで済むものはそれでいいけど、何かの目的に対してはリスクを正しくマネジメントしながら負荷をかけていくことも必要で、その上ではこういったツールは有効。
ただ、ツールがなければできない、、も寂しいところで
(なきゃいけない、備えなきゃいけないものは当然あるけど)、仕組みやメカニズムを知ることでできる対処も増えてきます。

自分の領域に関わることはどうも自分たちが先端の気になるけど、他分野で沢山のことが行わているのもまた事実。視野を狭くしていては損する。

大事だよと言われていることは80年近く前に明らかにされていることも含んでいる。もちろん、進歩していないのではなく、その背景や裏付けは明らかになっている。それを踏まえた上で、、、どう使ってどう発信するか。
気付いていない、気付けない人にどう伝えるか

それを考えていかないといけないですね。

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体格、負傷・疾病数、競技人口・登録者数 などの数字を眺めてまとめています。 普段は専門学校、大学等の講師、部活動でのトレーニングサポートをしています。散歩多め。