腰椎の構造の特異性と腰痛症
今回は腰椎の構造から見る腰痛に関する事を考えたいと思います。
腰椎に限らずですが、骨の構造を改めて考察すると色々な臨床のヒントになりますので、骨標本がある方は改めて腰椎を観察してみると色んな発見があるかと思います。
脊椎の構造
脊椎は3つの構造に分かれており前方に椎体が、後方に椎弓があります。
前方にある椎体と椎体の間には椎間板が存在しており荷重を受けております。
後方にある椎弓は脊柱管を構成しており、脊柱管の中を脊髄が通過しております。
脊柱は頚椎、胸椎、腰椎の計24個が縦に連なって構成されております。それぞれの隣接している脊椎同士は椎間板を介して椎体同士が連結しています。
またに椎弓ある上下の関節突起により椎間関節を構成してお連結しています。
すなわち
椎体→椎間板
椎弓→椎間関節
によって上下の椎体が連結してます。
脊椎の形を見た時に椎体は椎弓部と比較しても大きくしっかりとした作りになってます。
また椎体は地面に対して平行に近い面になってます。
この事から椎体部は椎弓部と比較して荷重を受ける事に適していると思います。
腰椎の椎間関節の構造
椎間関節の構造を見てみると頚椎、胸椎、腰椎でそれぞれ異なった特徴を持っております
腰椎部の椎間関節は地面に対して垂直に近い向きをしています。
上から見た図
一方同じ脊椎でも頚椎は地面に対して約45°の角度になっております。
上からの荷重を受けるには地面と平行に近い方が重さを受けやすいので腰椎の椎間関節は荷重を受けるには不向きな形と言えるでしょう。
比べて頚椎はその関節面の形状から椎間関節は
荷重関節としての作用もはたしていると考えられます
これらの事から腰椎部では椎間関節よりも椎体でしっかりと荷重を支える事が求められていると思います。
椎体で荷重を支える
椎体で荷重を支えるという事はもしかしたら当たり前の事なのかもしれません。
ですが実際に椎体が体のどの辺りにあるかあまりイメージ出来てないと思います。
セラピストでも脊椎の解剖は理解していても実際に椎体で体を支えてるイメージが少ないのではないかと思います。
多くの人はこの背骨を椎体より後方部、すなわち棘突起あたりを背骨としてイメージしていると思われます。
恐らくは脊椎後方の方が椎間関節部や筋などからの感覚が豊富で知覚しやすいのではないか?と思っています。
その為、椎体よりも後方、椎間関節や棘突起部で荷重を支えている人が多いと思われます。
このように後方で荷重をしていると椎間関節への負担、また棘突起の間にある棘間靭帯も圧迫されて負担がかかります。
確かに腰椎伸展位で椎間関節に荷重をする事で椎間板への負担は減るのですが過度に後方への荷重や、椎間関節の炎症などがある際は気をつけた方が良いと思います。
よって椎間関節性の腰椎などではなるべく椎体部でしっかりと支えたい所ですが中々イメージしにくいと思います。
脊柱の後方で支えた方が腰の感覚があり、支えてる感が出てきますが、椎体で支えるとあまり感覚がないので分かりにくいです。
椎体で支える感覚を持つ為に色々なアプローチを取り組んでますが、その中の一つとして視覚的な腰椎のイメージを作るという事をしています。
視覚的な腰椎イメージを作る
患者様のほとんどは腰椎の具体的な形は知りません。
よって、解剖学的な腰椎の形を知ってもらう事で椎体で支えるイメージが作りやすくなると思います。
骨標本や解剖アプリなどを使用して腰椎の形を知ってもらうとわかりやすくなります。
その際に脊椎一つだけを見せるより、脊柱全体図を見てもらった方が荷重するラインがわかりやすくなると思います。
患者様への教育的指導の一つとしていかがでしょうか?
今回は以上となります。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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