坐骨神経痛について考える 

今回は前回に続き神経痛、とりわけ坐骨神経痛をはじめとする臀部周辺領域の痛みについて取り上げたいと思います。

坐骨神経の構造

坐骨神経は第4、5腰神経と1〜3仙骨神経から起こり、仙骨の腹側面から大坐骨孔を通過し、大腿部後方を下降していきます。その後膝窩の上方で総腓骨神経、脛骨神経に分かれて下降していきます。

坐骨神経は人体で最も太く長い末梢神経と言われております。

『プロメテウス 解剖学コアアトラス第2版より引用』


坐骨神経の絞扼


坐骨神経の絞扼部位として挙げられるものとして

・神経根での圧迫
(椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、脊椎内腫瘍など)

・骨盤、臀部領域での圧迫
(梨状筋症候群など)

があると思われます。
これらに障害部位によっても介入方法を考えなければならないでしょう


坐骨神経痛と鑑別すべき障害

一般的に臀部周囲の痛みを総称して坐骨神経痛と呼ばれる方もいらっしゃいますが痛みの発生機序が変われば当然介入方法が変わりますのでそのほかの臀部周囲に疼痛を引き起こすものも考えておいた方が良いと思います。
色々とありますが

・椎間関節障害
・仙腸関節障害

このあたりは臀部領域に放散痛を起こすケースがあります。

また筋では
小臀筋のトリガーポイントが有名ですが、こちらは下肢末端まで関連痛を引き起こすとされておりますので考慮しておくと良いと思います。


また臀部領域の他の神経として
上臀皮神経
中臀皮神経
下臀皮神経

この辺りを可能性も考えておくと良いのかもしれません。

これらの坐骨神経以外の領域を考慮した上で

治療を進めていく必要があると思います。

では坐骨神経以外の可能性を排除したうえで考えいくのですが

梨状筋が坐骨神経を圧迫する可能性があるのは周知と思いますが前回のnoteで記載したように神経の滑走障害により痛みや知覚異常を引き起こす可能性があります。


よって坐骨神経の走行全域にわたって滑走障害がないかを見なければなりませんが臀部痛となると個人的に見ておきたい所は

大腿方形筋の部分です

『プロメテウス 解剖学コアアトラス第2版より改変引用』

坐骨神経は梨状筋の下を通過した後に上双子筋、内閉鎖筋、下双子筋、そして大腿方形筋の上を通過して下肢に降りていきます。

この大腿方形筋ですが外旋六筋の中でも下の方にあり坐骨結節に近い為座位姿勢において座面からの圧迫を受けやすい場所です。

1日の中でイスに座る事は皆さん多いと思います。
その際に坐骨神経と大腿方形筋が圧迫、癒着を形成する可能性があると考えられます。


もちろんその他の部分との滑走障害もあると思いますが大腿方形筋が位置的にも出やすいと思われますので治療の選択肢として考えてみても良いと思います。


今回は臀部領域の痛みに関して、坐骨神経痛の骨盤領域での障害に関して書かせていただきました。

次回は椎間板ヘルニア等の神経根領域に関して考えたいと思います。

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