姿勢について考える〜僧帽筋の滑走性と姿勢〜

以前の記事で姿勢を考える際の組織の滑走性について考えていきました。


今回は具体的に個別の筋肉の滑走性と姿勢について考えたいと思います。

今回のテーマは僧帽筋です


僧帽筋

僧帽筋は上部繊維、中部繊維、下部繊維の3つにわかれております。起始、停止、支配神経、作用は

起始
上部:後頭骨、項靱帯
中部:T1-4高さの腱膜および棘突起
下部:T5-12の棘突起

停止
上部:鎖骨外側1/3
中部:肩峰
下部:肩峰棘

支配神経
副神経、頚神経叢

作用
上部:肩甲骨挙上、上方回旋 頸部伸展、側屈
中部:肩甲骨内転
下部:肩甲骨下制、上方回旋


このようになってます。

僧帽筋は大きな筋肉で複数の組織と接触しています。

さらにリュックなどの使用により外的に組織を押しつぶす力が働きやすいので組織の滑走性の低下が起こりやすいです。

猫背や肩が前に出た状態、またはいかり肩の状態で組織の滑走性が低下するとその姿勢が固定されてしまいます。

よって僧帽筋の滑走を促していく事が大切だと考えています。

僧帽筋と隣接する組織として
上部繊維では板状筋、肩甲挙筋、後斜角筋、など
中部繊維では棘上筋、菱形筋など
下部繊維では棘下筋、広背筋などが隣接して僧帽筋との滑走障害を引き起こす可能性があります。


僧帽筋の滑走性を確かめてみる

試しに僧帽筋の上部繊維を摘んでみて前後に動かしてみてください。下の図のように3箇所動かしてみます

画像1

『画像改変引用:プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版』

外側は鎖骨に停止しているので後ろに動かすと抵抗感がありあまり動きません。

真ん中あたりは周辺に滑走不全を起こす組織もあまりない為比較的動かしやすいと思います。(人によってはここも動きにくい事があります。)

内側を摘んで動かすとスムーズに動かせる人とそうでない人の差が結構あると思います。

この辺りでは僧帽筋と肩甲挙筋、後斜角筋との間の滑走不全により僧帽筋の動きが悪くなっている可能性があります。
よって動きが悪い人はもしかすると滑走不全があるのかもしれせん。

(この辺りは僧帽筋だけを掴むのが少しコツがいると思います、3Dでの解剖をイメージできると良いと思います。)

僧帽筋のアプローチ

というわけでこの滑走性を改善させていく必要があると考えてます。
アプローチとしては僧帽筋の縁に指を当てて筋をスライドさせるように動かします。

この時にマッサージのように僧帽筋を揉むのではなくあくまで動かす感じでやってます。
不良姿勢の方は僧帽筋が前方に出ている事が多いので後ろ方向にスライドさせていきます。

特に僧帽筋の上部繊維と板状筋、肩甲挙筋、後斜角筋との間や下部繊維と棘下筋の間あたりの滑走不全が不良姿勢と関与しているなと感じてます。

画像2

『画像改変引用:プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版』

滑走不全があると中々筋が動かせないですが段々と動くようになってきます。動きが出てきたら少し指を僧帽筋の下に潜らせて奥の滑走不全がある所にアプローチしていくような形です。

今回は以上となります。
筋肉の硬さや緊張ではなく滑走不全といったアプローチ、いかがでしょうか?

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