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子どもが不登校を選んだとき、保護者は何をしたら良いの?へのひとつの回答

子どもが学校に行きたくないと言った。登校しぶりが始まった。
保護者は焦ります。これ、体験しないとわからないと思います。すんごい焦し不安になるんですよね。我が家も体験しました。

「子どもの将来は大丈夫だろうか?」
「親の責任なんじゃないだろうか?」
「このまま引きこもりになってしまうんじゃないか?」

わかる。わかるんです。でも、ちょっと待ってください。
今、お子さんが何を言っているのかに耳を傾けて欲しいんです。

「学校が辛い。行きたくない。」

それをまず受け止めてください。ここが大切。
ここから目を背けていては、何も前に進みません。
お子さんにとって、登校しぶりが出たということは、今何かが始まったわけではありません。継続していた何かが、表に出てきただけです。ようやく、少しだけでも表に出してくれたんです。とにかく静かにしっかり、向き合って話を聞きましょう。原因究明するのが目的ではありません。とにかく話を聞くんです。頷きながら。

一番おすすめしない方法は・・・

「何言ってんの。サボりたいだけだろ。いいから行きなさい。」

です。
これ、お父さんがやりがちです。一応釘を刺しておくと、学校の先生もよくやります。「正しい道を、我慢しながら、正しく生きてきた責任感の強い人」がやってしまいます。ようやく出てきた思いに全てを蓋して送り出す。子どもは再び蓋をします。中ではグツグツ煮えたぎり今にも吹きこぼれそうなのに、火力を強めるとどうなるのか・・・。そのうち煮詰まって空になりますよね。

学校に来られない原因は様々です。友達関係、先生との関係、勉強との関係、ルールとの関係・・・しぶりが出てきた段階で、原因はひとつじゃないことが多く、原因が分からなくなっていることも珍しくありません。

「学校が、辛い」

これが全てだったりします。だから原因追及はあまり意味がない。

「学校は何やってるんだ!」

と文句を言いたくなる気持ちも分かりますが、まずはじっくり話を聞いてください。そして・・・受け入れがたい気持ちをグッと抑えて・・・受け止めてください。完全に受け入れなくても良いです。受け止めるだけで大丈夫。そして、隠さずに伝えてくれたことを認めましょう。

「そっか、学校が辛いんだね。これまでよく頑張ってきたね。伝えてくれてありがとう。」

この1クッションがもらえなくて潰れてしまう子どもが多い。

じゃあその上で、これからの話を少しずつしていけばいいんです。

「学校以外で学ぶ方法もあるけど、どうする?どうしたいかな?」

本人の意見を聞いてみましょう。

「学校に行きたい」

というのなら、学校への道筋を一緒に考えればいいです。

「学校には行きたくない」

というのなら、他の方法を考えればいいんです。選択するのは、本人です。

「学校が全て」ではない


我々の世代が子どもの頃は「学校が全て」でした。他の選択肢なんて見えるところには用意されていなかったし、「学校から外れる」=「社会から外れる」という公式が当たり前のように成り立っていました。

だからつい「どうやったらこの子を学校に復帰させられるだろう」と考えてしまいます。

初期設定を変えましょう。
「学校に行きたくなったら行けばいい。でもそうじゃない方法もある。」
くらいで考えていた方がうまく行きます。学校は送り出すだけで様々なことを学んで帰ってきてくれる便利な場所ですが、万能ではありません。学校で学べることは山ほどありますが、全ての子どもが学校に適応できるわけじゃありません。他の方法は、いくらでもあります。そんな時代に既になっています。

以下の文書は「文部科学省」からの通知です。

不登校児童生徒への支援は,「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要があること。また,児童生徒によっては,不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある一方で,学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクが存在することに留意すること。

文科省がはっきりと『「学校に登校する」ことを目標にするんじゃありませんよ。』と言っています。本人が社会的に自立できる方法を考えられればいいのです。ただし、当然ながらリスクは存在します。

知識と経験の不足

不登校のリスクはここに尽きます。
学校で半自動的に得られる仲間との関係や社会性、基礎学力が得られません。ただ、これはリスクをしっかりと認識していれば、さほど心配することはありません。他の方法が山ほどあるからです。

① 知識の補完

学校で学ぶ基礎学力は、実は家庭でも十分得ることができます。以前に比べ、フリースクールの数は増えました。オンラインで授業を受けられる学習塾やコンテンツも溢れています。自分で学習できるならば「すらら」や「スタディサプリ」、「eboard」など自分に合った方法を選ぶこともできますし、マンツーマンの家庭教師もZoomやGoogle meetのおかげで受けやすくなりました。ぶっちゃけ、小中学校でならう範囲なら、教科書を読むだけで理解できる内容も多いです。必要な部分だけサポートを受ければ良いでしょう。金銭的な問題は無視できないにせよ、「学力」だけならどうにでもなるんです。

そして学力は「学校で学ぶよりも自分で学ぶ方が、素早く短期間で身につきます」。

学校は多数の児童生徒を総合的に育てる場所です。

多くの子どもたちに対応しなければならないことと、学習指導要領によって1年に学ぶ内容が定められていることから、ゆっくり時間をかけて指導しています。また、学校行事や部活動など学習以外のやるべきことも多いです。個別の学力の向上にあまり効果の認められない「宿題」に多くの時間を割くことも珍しくありません。黙って授業を聞いているだけでは頭に入らない子ども達もいます。

根拠はないので、感覚的な話ですが・・・自分で学習する場合、学校の20%〜40%ほどの時間で学習を終えられます。マンツーマンの家庭教師がつくのなら、もっと短い時間で行けると思います。親が家庭教師の役割を担ってもいいですし、お金で解決することもできます。

ただ、ここに着手できるかは「子どもが前向き」になれるかどうかにかかっています。子どもが前向きになれるかは、親の理解があるかにかかっています。親が無理なら外部機関を利用してください。でも、まずは家庭です。味方がいれば、安心して学べます。

② 経験の補完

短時間で学習が終えられるのですから、空いた時間は経験を積むことに使えます。これは以前からお話ししていますが、何でもいいです。社会性は社会との関係性ですから、必ずしも子ども同士の交流じゃなくても構いません。お子さんがやりたいと思ったことにどんどん挑戦させればいい。学校に通う時間が空いているのだから、やれることは山ほどあります。

「不登校の子どもを昼間に連れ出すことなんてできません!」

そうやって言われるご家庭も多いですが、大きな誤りです。「家に閉じ込める」ことで積める経験には限りがあります。どうしても本人が「家に閉じこもりたい」のならまだしも、大人が子どもを閉じ込めていいことは一つもありません。もちろん在宅でできる経験もたくさんありますから、その可能性を探るならば在宅も選択肢の一つです。「子どもを閉じ込めるのは親のエゴだ」ということです。

「我が家はホームスクーリングなんです。」

そうやって胸を張っていただきたいと思います。お子さんは、「学校に通わない」選択をしただけなんです。後ろめたいことは、ないんですね。

短時間で勉強を終えて、好きなことに時間を使いたいから、ホームスクーリングを選ぶ。そんな選択肢があっても良いし何も問題はありません。

その選択肢を持った状態でお子さんと話すのと、「学校が絶対」の状態で話すのとでは全く違います。お互いの心のゆとりが違います。

その上で本人が学校を選んだら、学校への復帰は簡単です。

選ばなくても、OK。まずはこれが大切なんです。


子どものお鍋に蓋をしない。
声を聞いて、寄り添って、受け止める。

この子はどこでだって成長できる。

それを信じることから、初めてみませんか?


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