見出し画像

スライムばかりのゲームじゃ、誰もハマらないよ

「骨芽細胞と破骨細胞のはたらきのバランスで骨はできていくんだ!」

小4の娘が楽しそうにZoom授業を受けている。学校のオンライン授業を「つまらないし、面倒くさい。勉強は嫌い。」と拒否し続けている娘がだよ。なるほどなるほど。やっぱりそうだ。

科学に興味のある娘は、理科の家庭教師を受けることにした。
先生はシンガポール在住の科学者の女性。(日本人)
内容はかなり本格的。小4相手とは思えない専門用語がバシバシ飛び交う。

「紫キャベツの中に含まれるアントシアニンは、この水酸基の部分でアルカリ性がわかるんだよ。つまり物質の中にあるHとOHの量が紫キャベツでわかるってこと。」

娘から説明を受ける。ちゃんと意味がわかっているとは思えないけれど、すっごい楽しそうに説明してくれる。これでいい。

実際に紫キャベツから指示薬を抽出してみた。ついでに紫トウモロコシからも抽出!実験をして、結果をまとめる。あれほどノートを書くのが苦手で嫌いだった娘が、めっちゃ楽しそうにまとめている。ほら、この子は勉強嫌いなんかじゃないんだ。やっぱりそうだ。


簡単なことはつまらない。


ちょっと想像してみて。
敵がスライムだけだったら、ドラゴンクエストは面白いだろうか?
延々とクリボーしか出ないマリオにハマる人はいる?
鬼のように難しかった魔界村やロックマンを必死でやったのはどうして?
マラソンだって山登りだって、しんどいしキツいのにみんなハマっていくでしょう?
クロスワードパズルやナンクロのファンも根強くいるよね。
けん玉も、コマまわしも、凧上げも、面白い遊びはみんな難しい。


簡単なことはつまらないんだよ。


学校の勉強は簡単だ。
教科書を読んでみたらいい。ものすごく丁寧な説明と、わっかりやすい写真にイラスト。誰が読んでも理解できるようになっている。
40人の子どもたち全員に理解させなきゃならないんだもん。当然だよ。
45分〜50分間の授業を行なっているけれど、本を読める子なら教科書を読めば5分で理解できる。

先日、授業研を行なった若手の先生が言っていた。

「子どもが教科書を見ちゃったら、答えがわかっちゃうから授業になりません。」

違うんだ、それはスライムの正体を隠して、戦わせているだけ。
5分で倒せるスライムを、手を替え品を替え、簡単には倒さぬように45分粘ったって、面白くなるわけがないのだ。

スライムを5分で倒して、ゴーレムに挑んだ方が楽しい。

回復するタイミング、補助魔法の使い方、アイテムも全て駆使しながら、戦い方を学んでいくんだ。それが面白いんだよね。


「じゃあ、教科書を使って、ゴーレムを倒そう!」


そしたら子どもたちは自分で教科書を読み、武器を獲得して、
敵を倒す方法を模索し始める。それが授業だよ。


それって勉強が得意な子どもだけでしょ?って?


そんなわけがないでしょう。
成長することが楽しくない人なんていないんだよ。
新しいことを知るのはみんな大好きだし面白いんだよ。
すでに知っている漢字を何回も何十回も書かされるよりずっと面白い。
うっかりミスをなくすためだけに、ひたすら同じ計算をやり続けるより絶対に面白いんだ。易しいことを繰り返すことほどつまんないことはないからね。勉強が苦手な子どもは、つまんないことばっかりやらされるから、もっと嫌いになるんだよ。


はがねのつるぎを買ったら強い敵に試してみたくなるじゃない。
メラゾーマを覚えたら、ボスに挑みたくなるじゃない。
新しく覚えた知識を使ってみたくなるのは、みんな同じなんだよ。


知識は武器で、道具なんだ。


子どもがつまらない顔をしていたら、ちょっと強い敵を出してみよう。

学校でも家でも、おんなじだよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?