手打ちパスタ:オレキエッテ(Orecchiette)と菜の花のソース
ちょっと旬も終わりかけの菜の花を使ったソースを、手作りオレキエッテ(Orecchiette)と合わせます。
材料【2人前】
オレキエッテ
デュラムセモリナ粉 160g ※ セモラリマチナータの方がやりやすいかも
水 約70g
菜の花のソース
菜の花 1束 (8本くらい)
アンチョビ 3~4尾
にんにく 1かけ
唐辛子 2本
パン粉 大3くらい
にんにく 半かけ
塩、エキストラバージンオリーブオイル
メモ:
デュラムセモリナ粉が無ければ中力粉~強力粉で代用も
オレキエッテは今まで作ったパスタの中でも成形が難し目で、それっぽくなったのは二度目からでした。ただ、うまく形にできなくてもおいしい。
パン粉は、モッリーカ(mollica)と呼ばれる、チーズの代用品(…と呼ぶには失礼かもしれない)として、仕上げに使います。本来はデュラムセモリナ粉のパンを使いますが、手に入らないのでパン粉で代用。
アンチョビやにんにく、パセリやハーブと一緒に作ると美味しいですが、今回はにんにくとで作ります。しつこくならないよう、個人的には油は少な目で作るのがポイント。
作り方
手順:パスタの成形
1.
ボウルに粉を入れ、水を9割がた加えて指5本で全体を混ぜながら粉に水をまわしていく。
もしくは、打ち台に粉を盛り、火口のように真ん中を窪ませて中に水をいれ、徐々に周囲の粉と水を混ぜても良い。この方がメジャーかも。
水が足りなければ足しつつ、行きわたったら押し付けてこねる。
2.
一かたまりになってきたら打ち台に出し、折り畳み→押しつけ を繰り返してこねた後、生地を寝かせる。
可能ならば軽めにこねて、まだ生地の表面がデコボコな状態でラップして30分寝かせる→またこねる を2~4回繰り返すと良い。
一度に最後まで捏ねると固くなるかも。生地の表面がある程度なめらかになるまで捏ねて、ラップをして30分寝かせると少し柔らかくなる。
もし表面が乾燥気味で粉をふくようなら、軽く手をぬらして捏ねる(ってやっていますが、良し悪しは不明)。
3.
生地を寝かせ終えたら成形する。
一度に全部やろうとすると乾燥してしまうので、生地の一部をスケッパーで切り出し、残りの部分はラップしておく。
4.
切り出した生地を直径1cm弱くらいの棒状に伸ばし、1cm程度の長さに切る。
5.
食卓用ナイフのギザギザの方を使って、切った生地を手前に引き延ばす。
参考サイトの動画の方が良いが、細かい手順は以下:
5-1.
ナイフをあてて引き延ばすと、生地がくるっと上に反るので、このとき指をうまくつかって、巻き込まれて反った生地がナイフの上の指の上にくるようにする。
5-2.
引き延ばしたら、台の方に接していたつるっとしていた面に指を入れて、山型になるように形作る。ナイフにあたってデコボコしている面が凸になるようにする(これでソースがからみやすくなる模様)。フチはちょっと巻き込んだ形がそれっぽい。
これを繰り返して生地をつくる。慣れないうちは難しい。
動画だとこんな感じ。
(参考サイトの方々のが当然上手)
出来上がった生地はくっつかないように離してふきん等の上にならべておく。
簡易的な方法だと、生地を切ったあと、指で押さえつけて帽子型にする手もあるが、生地の表面がデコボコにならないのと、フチの形や薄さが異なるので、また食べた感じが異なるかも。
慣れると見ないで高速で作れるらしい(動画内 4:43~)
手順:事前準備
菜の花は経験上高確率で虫がついているので、葉を開いたり葉と茎の隙間を開きながら水の中でふり洗いする。心配ならさっとお湯に通してから洗っても良いかも。(今回1パック8本でかわいいのを5匹発見)
洗った菜の花は3cm長さくらいに刻む。太い茎は4~6つに割る。
にんにくは1かけ分はみじん切りに、半かけ分はつぶす
1%の塩分のお湯を沸かしておく
手順:モッリーカ準備
1.
フライパンにオリーブオイル小さじ1と、にんにく半かけを入れ、焦がさないように弱火で香りを出す。
2.
パン粉を加えて、少し火を強めたら混ぜながら全体が茶色くなるまで炒る。
3.
出来上がったら取り出しておく。これでモッリーカの完成。
手順:仕上げ
1.
フライパンにオリーブオイル大2、唐辛子、にんにくを入れ、焦がさないように弱火で香りを出す。
2.
お湯に菜の花を入れ、再度沸騰したらオレキエッテを加える。
3.
フライパンにアンチョビを加えて、つぶしながら溶かしていく。
溶けてきたらパスタのお湯をレードル半杯分くらい加えておく
4.
パスタが浮かんで来たらパスタと菜の花をソースの方に加え、鍋をあおって混ぜる。
4.
皿に盛り、モッリーカを振りかけて完成。
くたっとした菜の花がアンチョビとにんにくの旨味しっかりなソースと絡んで美味しく食べられます。また、生パスタ固有のくにっとした触感とつるつるののど越しが美味しいです。
カラブリア産唐辛子を2本加えましたが、結構しっかり辛さの目立つ感じになりました。ただ、この唐辛子は辛さがすぐに引く特徴を持っているので、大汗をかいて食べる…なんてことにはならないです。
ソースのバリエーション
このパスタは、Orecchiette con cime di rapaと言う、Cima di Rapa(直訳するとカブの上部?)を使ったイタリアのパスタを菜の花に置き換えたものです。
元となったパスタのバリエーションとして、モッリーカにアンチョビや唐辛子を混ぜ込んだりするものもあれば、モッリーカを使わないものもあったり、またCima di rapaの一部をブレンダで粉砕して、緑のソースとして混ぜ込むという手もあったりします。その日の気分や食べる人の好みに合わせて変えても良さそうですね。
今回、菜の花はオレキエッテと一緒に茹でましたが、同時に仕込まず、前日のうちに菜の花を水、オリーブオイル、にんにく、塩で30分くらい蓋して調理してから、くたっとしたものを当日温めて合わせるような食べ方もできます。これはこれで味が良くなじんで美味しいものです。
オレキエッテについて
オレキエッテの誕生
オレキエッテ(orecchiette[複] / orecchietta[単])はプーリア州発祥のパスタ。耳の形のパスタと言われますが、名称もまさにその通りで、「耳」を意味する「orecchia」に「小さい」を意味する「-etta」が加えられた言葉に由来したもの。
オレキエッテの誕生は1200年頃であったようです。
このころだとプーリア州は両シチリア王国の一部であったはずですね(間違っていないよね…)。
オレキエッテと作り方が途中まで似ている、ストラシナーテ(strascinate)というパスタがあります。オレキエッテのように生地をナイフで引き延ばすのですが、引き伸ばしたままで帽子型にしない、シンプルなパスタです。
恐らく最初にストラシナーテが誕生して、その後オレキエッテが生まれたんじゃないかなと思いますが、それにしてもこんな山型にするのはちょっと変わっていますね。
この形は、一説によるとトウルッリ(Trulli)という屋根の形に触発されたとか、ハマンタッシュ (Orecchie di Haman)という、東欧系ユダヤ民族の伝統菓子に似せたという話があります。
実物を見てみると…ううーん、分からなくはないけど、そんなに近いかなぁ?という感じ…。
オレキエッテを使った料理
オレキエッテを使う料理でメジャーなのは、先ほどのOrecchiette con cime di rapaがあります。
Cima di rapaでなくても、個人的には野菜を多く使ったパスタ料理を作るときにはオレキエッテを選択肢に入れて考えることが多いです。ただ、別に野菜でないといけないわけでもなくて、サルシッチャと合わせたり、ラムのひき肉と合わせて焼いたりなど、割と懐が広いです。ちなみに後者の料理はOrecchiette alla Materanaと呼ばれていて、焼きパスタ好きとしてこれは一回作ってみたいと思っています。
他には、Braciole という、薄く切った肉に具材を詰めて巻いた料理をトマトで煮込んだ際のトマトソースをオレキエッテと合わせて食べることもあるようです。Braciole自体はセコンドピアットとして提供。
また、オレキエッテのバーリ風(バーリ=プーリア州の州都)と命名された料理もありますが、これに該当する、"Orecchiette alla barese"で検索すると、上記のOrecchiette con cime di rapaやOrecchiette al ragù di bracioleを含む、まったく見た目の異なる料理が出てきます。
これは、バーリの中でも地域や仮定によってバリエーションが異なるようなものかなと考えていて、ここからもオレキエッテが幅広く使われていることが伺えます。
参考情報
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