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仕事に活かせる中国古典

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数千年の風雪に耐え、今なお世界中で評価されている中国古典。現代を生きる私達が「よい仕事」を取組むにあたり、どのような中国古典の教えが活きるのかご紹介できればと思います。
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#歴史

彼らと比べて有利な点が一つある。彼らの前例があるという点だ。

先週、「ドイツ人はなぜヒトラーを選んだのか-民主主義が死ぬ日」という本を読んでみました。本書は、「ヒトラーはなぜ戦争を始めることができたのか-民主主義国の誤算」と合わせてドイツ・ナチスの歴史を語っているものであり、本書はその前半史になります。そのテーマのイメージからは読みにくそうですが、意に反して読みやすい本でした。 なぜヒトラー、そしてナチスは政権が取れたのか。第一次大戦に敗れはしたものの、その当時でも世界有数の工業国であり、かつカントやヘーゲルなどの哲学者を生みだした

麦飯を食べ、風に飛ばされた紙を追いかけた徳川家康

「君主たる者はなによりもまず人民の生活の安定を心掛けねばならない。人民を搾取(さくしゅ)してぜいたくな生活にふけるのは、あたかも自分の股の肉を切り取って食らうようなもの、満腹したときには体のほうがまいってしまう。 (中略)わたしはいつもこう考えている。身の破滅を招くのは、ほかでもない、その者自身の欲望が原因なのだ、と。いつも山海の珍味を食し、音楽や女色にふけるなら、欲望の対象は果てしなく広がり、それに要する費用も莫大なものになる。そんなことをしていたのでは、肝心な政治に身

リーダーに求められるのは「AもBも」

子はおだやかにしてしかもはげし。威あってしかもたけからず。うやうやしくもしかも安し。(論語、述而第七) (先生は温和できびしさがあり、威厳はあるがたけだけしいところはなく、礼儀正しく丁寧だが安らかできゅうくつなところがない) リーダーにもとめられる素質ってなんなのでしょうか。なにが必要だとおもいますか。 温和なことなのか。 きびしいことなのか。 威厳があることなのか。 たけだけしいことなのか。 礼儀正しいことなのか。 堅苦しくなく、おおらかなことなのか。

始めから好きや楽しい学びはないのでは

子いわく、「これを知る者はこれを好む者にしかず。これを好む者はこれを楽しむ者にしかず」(論語、雍正也第六) (先生がいわれた。「学ぶにおいて、知っているというのは好むには及ばない。学問を好む者は、学問を楽しむ者には及ばない。」) 論語の中でも、有名な一節の一つです。 確かに、ここに書かれている通りで、学ぶことは、好き、好きよりも楽しむくらいでないと入ってこないかなと感じます。私は歴史を学ぶことが好きなのですが、就寝前に歴史の本を読むことは、もはや楽しみになっています。

歴史から感じる因果応報。善い行いは、自分でも想像していなかった良い結果をもたらす

「積善の家には余慶あり」。中国古典である易経の一節で、「善行を多く積み重ねた家には、その報いとして必ず子孫にまでよいことが起こり幸福になる。」という意味になります。 歴史や古典を読んでいて感じることが多いのですが、よい行いをすればよい結果がもたらされ、わるい行いをすればわるい結果がもたらされるという、因果応報(過去および前世の行為の善悪に応じて現在の幸・不幸の果報があり、現在の行為に応じて未来の果報が生ずること。)を感じることが多々あります。 衰退や滅亡といった結果に

歴史を知ることで、現代が決して普遍的でないと知り、新しいものを理解できる

子いわく「故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る、以って師となるべし」(論語、為政第二) (先生がいわれた。「古き良きことをわきまえ、新しいものの良さがわかる。そんな人は、師となれる」) 論語を元にした有名なことわざや四字熟語は沢山ありますが、「温故知新」はその一つです。歴史や遺産を知ることにより、新しいことを理解することとして使われることが多いと思います。 歴史を知るということは、時に新しい時代を生み出すことがあります。 江戸時代、日本は幕府や藩に分かれていました