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歴史を知ることで、現代が決して普遍的でないと知り、新しいものを理解できる

子いわく「故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る、以って師となるべし」(論語、為政第二)
(先生がいわれた。「古き良きことをわきまえ、新しいものの良さがわかる。そんな人は、師となれる」)

 
論語を元にした有名なことわざや四字熟語は沢山ありますが、「温故知新」はその一つです。歴史や遺産を知ることにより、新しいことを理解することとして使われることが多いと思います。
 
歴史を知るということは、時に新しい時代を生み出すことがあります。
江戸時代、日本は幕府や藩に分かれていました。現在では日本は国として一つのように当たり前に考えますが、江戸時代は各藩が「国」と言われ、実際に藩から出ることは海外にでることのような感覚がありました。
 
これはこれで現代に続く地域性を育てた面がありましたが、幕末、欧米列強からの侵略の脅威に直面した時、大きな問題になりました。それは、列強からの侵略に対して、各藩が個別に対応することになったことです。実際、山口の長州藩も、鹿児島の薩摩藩も、個別にイギリスやフランスと戦いました。
 
このように個別に列強からの脅威に対抗していては、次第に個別撃破され、最後には日本が植民地化される恐れがありました。そこで、幕末の日本は幕府・藩を超えた統一国家を目指したのです。
 
その時に意識されたのが、古代日本において、大化の改新以降、天皇を中心とした統一国家があったことでした。歴史の中に統一国家の枠組みがあったことを意識したことが、幕府や藩の垣根を普遍なものと捉えず、時代を変革していくエネルギーとなったのです。この意識がなかったら、日本は統一国家となることなく、歴史は変わっていたかもしれません。
 
私はよく、「現代のみを知っている」と「歴史も現代も知っている」の2つのパターンがある時、「現代のみを知っている」方が意外と保守的になりやすいのではないか、と思うことがあります。なぜなら現代の状態が普通の状態であり、普遍的なものと思いがちになるからです。
 
現代の状態は、あくまで大きな時代の流れの一断面に過ぎず、普遍なものでは決してありません。
歴史を知るということは、現代に対して適切な問題意識をもち、新しい時代に向けたヒントを知るということに繋がる
のではと考えます。

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