性犯罪は『依存症』であり『脳の病気』である

(自分用備忘録)
前項 子ども虐待は『依存症』であり『脳の病気』であり、それは『連鎖』する の続き

「高学歴な人が性犯罪に突然走るワケ」
― 「脳の誤作動」で理性は簡単に壊れる―

精神科医「高学歴な人が性犯罪に突然走るワケ」 「脳の誤作動」で理性は簡単に壊れる 和田秀樹(PRESIDENT Online)より抜粋まとめ

アルコールやギャンブルなどの『依存症』
賢い人を「バカ」にする脳の病気と言える

参考)『突発性バカ』になる東大出身者の共通点(PRESIDENT Online)
参考)アルコール依存やギャンブル依存症が賢い人をバカにする(PRESIDENT Online)

最近では万引きが犯罪とわかりつつもやめられない
『クレプトマニア』が依存症として注目され
女性に多いとされているが
社会的地位の高い人にもいて
賢い人を「バカ」にするもの

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痴漢盗撮についても
知的な文化人が捕まることもあり
「やったらまずい」と頭ではわかっているのに
やめられない『依存症』と言っていい

性犯罪はカウンセリングを行わなければ治らない『心の病』
カウンセリングなどの対策を行わないと
再犯を繰り返してしまう

『依存症』というのは意志が壊される病気
意志の力でなんとか対処しようとしても
そもそもの『脳のソフト』が故障している

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同じようなものに
その行為が不合理だと思っていても
不安や不快感が強すぎて
やめられない『強迫神経症』がある

心配で何百回も鍵の確認に行く『確認強迫』
ばい菌が気になって何時間も洗い続ける『手洗い強迫』

前出の『クレプトマニア』については依存症というより
欲しいものを見ると
タダでそれを盗らないと気が済まない
『強迫神経症』の一種とも言える

このクレプトマニアにしても
痴漢がやめられない人にしても
「したくないのにしてしまう」状態だとしたら
やはり『依存症』
あるいは『強迫神経症』と言っていい

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性依存症(wikipedia)

性依存症は、性的な行動に対する依存症(嗜癖)のひとつ。主に性行為(性交渉)への依存が多いため、セックス依存症もしくはセックス中毒とも称される。

概要 

頻繁に「セックス依存症」という呼称が用いられることもあるが、依存する対象は実際に相手のある性交渉だけでなく、自慰行為への過度な耽溺、強迫的な売買春、乱交、露出や覗き行為、性的ないたずら電話、インターネットのアダルトチャットなど、全ての性的な活動が考えられる。ポルノグラフィ(児童ポルノを含む)が依存の対象となる場合はポルノ依存症と呼ばれる。

性依存者は、それらによって得られる性的な興奮や刺激に溺れることが習慣化し、徐々に自己コントロールを失っていく。ギャンブル依存買い物依存などと同じく「行動への依存」に分類される。性依存症は性別や性自認、性的志向を問わず存在する。

性的対象に依存している間は、脳内から快楽物質が放出されるため、不安から一時的に逃れられるメカニズムにより起こる。そのため必ずしも性欲が亢進しているわけではなくとも、強迫的に性的行動を繰り返してしまう場合もある。原因は様々で特定は難しいが、幼児期や成人への成長過程で肉親からの愛情が得られなかったり、また逆説的ではあるが、性的虐待、児童虐待(特に児童性的虐待)の被害者が性依存症となることもある。

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人間はみな欲望を抱く

その中には法律的にも一般常識的にも容認されないものがある

男性なら温泉で女湯を覗いてみたい
豊かなバストの女性が目の前に現れた時につい触りたくなる

そういう不埒なことを考えたとしても病気ではないが
実際にそれを実行すれば当然
犯罪の扱いを受け断罪される

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↑参考図)「性欲が強いから性依存症になる」という誤解。強い意思の力ではやめられない実態と治療プログラム(wezzy)話=精神保健福祉士 斉藤章佳 文=雪代すみれ より

参考)きっかけは「性欲」ではなく「支配欲」。「普通」の男性が痴漢になる理由(fujinkoron.jp)話=精神保健福祉士・斉藤章佳 文=古川美穂
「強すぎる性欲を持て余して痴漢行為に走る人は少ない」「性犯罪は性欲が原因だという大きな誤解」『日本は男尊女卑依存症社会である』

通常
この手の欲望を実際の行動に移さないような機能が
人間の脳に備わっている
それが【理性】であり
それが【前頭葉】の働き

それが年齢を重ね
高齢者になると次第に前頭葉が委縮し
その機能低下が起こる


腹が立った時に抑えられずに暴言を吐き
暴力を振るう人が増える
これが暴走老人のメカニズム

この極端な事例が『前頭側頭認知症』と呼ばれるもので
万引きや痴漢行為をした人を画像検査で調べてみると
前頭葉が激しく萎縮していることがある

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だが
脳委縮がなくても
一時的に脳機能の低下を引き起こすことがある

原因は

『寝不足』や『薬』や『アルコール』の影響
『ストレス』など

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そうした状況で人は
普段は抑えている欲望が抑えきれなくなって
無意識のうちに快感を求め
行動に移してしまう

あるいは
無意識のうちに
不安恐怖鬱屈不全感劣等感を打ち消そうと
支配欲征服欲
万能感優越感を求めて
行動に移してしまう

(いじめや誹謗中傷や虐待や体罰やパワハラ・セクハラや
あおり運転や性犯罪はそうして行われる
また
民族至上主義や人種差別やヘイトスピーチも同じ構造)

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働き方改革などが叫ばれているが
『過労』や『寝不足』
『仕事のストレス』
『人間関係のトラブル』により
うつ病などの心の病になるだけでなく
このような形で理性のタガが外れることもある

最近は
過労問題やうつ病などに対する社会的な認識も高まり
職場の理解を得ることが以前ほどは難しくなくなっている

しかし
ストレスや飲酒などにより
脳の機能低下で「事件」を起こし
社会的信用を失い
解雇の理由になる

普段は温厚な人間が暴言を吐いたり
暴力をふるったりするために
一気にパワハラのレッテルを貼られてしまう

あおり運転も
普段は温厚なのに
たまたま脳の機能低下でやってしまったかもしれない

昔と違い
酒の席だからとか
虫の居所が悪かったからとかいう理由で水に流される時代ではない
スマホで写真や音声などの証拠が残され
瞬く間に拡散される

・自分で過労と感じたら休む
・十分な睡眠をとる
・人間関係などストレスがひどいと感じたら誰かに相談する
・会社のストレスチェックのテストで高い点になっているようなら
医務室その他できちんと相談を受ける

これらのことを心がけることで
自分の社会人経験=人生の危機を遠ざけることができる


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性犯罪の背景に“依存症”「性的なしらふ」にするための試みも(AERA dot.

性犯罪の背景に“依存症”「性的なしらふ」にするための試みも(AERA dot.より抜粋まとめ

性犯罪は「依存症」
ほかの犯罪に比べて再犯率が高い

小児性愛・のぞき・痴漢・盗撮・露出・強姦など
特定の性的な行動を過剰に繰り返してしまう症状は
「性依存症」と呼ばれ
国際的な診断基準もある

「強迫的性行動症」は精神疾患、依存症かどうかは未判断 WHO

【2018年7月15日 AFP】世界保健機関(WHO)はこのほど、「強迫的性行動症(Compulsive sexual behaviour disorder、CSBD)」を精神疾患と認めた。しかし関係者は14日、ギャンブルや薬物に対するものと同様の依存症かどうかについては、まだ判断が出ていないと述べた。

「セックス依存症」という言葉は議論を引き起こしつつ数十年にわたって使われてきたが、こうした症状が実在するかどうかをめぐっては専門家の間で意見が分かれていた。WHOは先月発行した「国際疾病分類(ICD)」最新版でCSBDを精神疾患として記載し、「セックス依存症」という概念を正式に認めることに向けて一歩を踏み出した。

WHOはICDの中で、CSBDを「反復性のある強い性的な衝動や衝迫を制御できないパターンが持続する特徴があり……個人的、家族的、社会的、教育的、職業的、その他の重要分野で活動する上で著しい有害ストレスや障害を引き起こす」と説明している。ただし「CSBDが行動嗜癖(しへき)(訳注 いったん始めると自己制御できない行為)の発現にあたるかどうか」については、科学的な議論がまだ続いているという。

その原因は心の問題

不安・恐怖・寂しさ・怒りなど
その人が強く心に抱えるものがあると『依存症』になりやすい
「依存には否定的な感情を鎮静・麻痺させる効果がある」から

しかし
それを続けていると
その先には死が待っている

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それは遺伝や脳機能障害の可能性も否定できない

性犯罪の常習者には
扁桃体など脳の一部に血流低下が認められたケースもある

2015年の犯罪白書によると
強姦か強制わいせつの服役者で
以前にどちらかの罪を犯した(再犯)ケースは最大45%

痴漢や盗撮では
性犯罪の前科(再犯)が64~85%まで跳ね上がる

「本人はやめたいと思っても衝動を抑えられない
だから依存症には治療が必要」

性犯罪の常習者には
「痴漢をされると女性は喜ぶ」
「盗撮は誰も傷つけていない」
など特有の思い込みある

その『認知の歪み』を気づかせるのが認知行動療法

性欲を減退させる薬の投与を組み合わせれば
効果は増す

加えて
多くの医師やカウンセラーが有効だと勧めるのが
性依存症の人たちを集めた自助グループの活用

米国で生まれたアルコール依存者が回復するためのプログラムを応用し
グループ形式で実践する

性を依存の対象としない「性的なしらふ」の状態に向け
仲間と支えあいながら自分を律していく


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行動依存症のバイオマーカーを発見 ―行動依存症の生理学的特徴の解明―

行動依存症のバイオマーカーを発見
―行動依存症の生理学的特徴の解明―(京都大学)
より抜粋まとめ

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 ギャンブルやインターネット・ゲームなど特定の行動に対する依存は
『行動依存症』として社会的な注目を集めている

また
万引きなどの窃盗症盗撮痴漢などの性嗜好障害といった
「犯罪と知りつつも繰り返し衝動的に行ってしまう」行動も
『行動依存症』であると考えられている

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『行動依存症』
不利益な結果になると分かっていながらも
特定の行動への衝動が抑えられず
何度も繰り返す『行動障害』

『依存症』はこれまで覚せい剤やアルコールなどの
物質を対象とするものだと考えられてきた

近年では行動に対する依存が注目されていて
日本は世界トップクラスのギャンブル大国であり
ギャンブル依存症の割合は他国に比べて圧倒的に多い
また
インターネット依存やゲーム障害など
深刻な社会問題となっている

さらに
ギャンブル障害やインターネット依存・ゲーム障害などに加えて
万引きなどの窃盗症
痴漢盗撮といった性嗜好障害
「やってはいけないと知りつつも繰り返し衝動的に行ってしまう」障害
であり『行動依存症』であると考えられる


これまで『行動依存症』『物質(薬物)依存症』との
共通点(相違点)も明らかになっていなかった

そこで窃盗症と性嗜好障害の患者
健康な成人男女を対象に実験を行った

 これまでの『物質(薬物)依存症』の研究から
神経伝達物質の1つであるドーパミンの変化が
『依存症』において重要な役割を果たしていることが知られていて

このことから『行動依存症』でも
ドーパミンに何らかの変化があると考えられた

実験の結果
ドーパミンが体内で使用された後に生じる代謝産物が
『行動依存症患者』では健常者より多くなっていることが判明

この結果は『行動依存症患者』ではドーパミンが体内で
より多く使用されている
ことを示唆
『物質(薬物)依存症』から予想される結果と一致した

 次に
このような神経伝達物質の変化が遺伝子(遺伝)によるものなのか
全ゲノム網羅的解析法によって
85万ヶ所のうち186カ所で
『行動依存症患者』と『健常者』との差が確認され
これらの186ヶ所の遺伝子の多くは
神経細胞同士がつながって情報伝達をおこなうシナプスや
脳の発達に関わるメカニズムと免疫に関わるものであった

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さらにこの『遺伝子』『疾患』相関解析から
この遺伝子には
統合失調症・自閉症スペクトラム・知的障害
ならびに様々な種類の薬物依存症
とも関連のあるものが含まれていた

これらの結果から

行動依存症では
神経細胞間のコミュニケーションメカニズムや
脳発達のメカニズムの障害が関わっている
可能性

ならびに行動依存症にみられたこれらのメカニズムが
統合失調症・自閉症スペクトラム・薬物依存症に関わる
メカニズムとも共通している
可能性が示唆される

 万引き盗撮・痴漢などの犯罪行為は
多くの場合『精神疾患』であると認知されず
治療の対象とはなっていない

しかし本研究結果からは
その生理学的特徴が通常とは異なることが見出され
犯罪の抑止として適切な治療を行う重要性が示唆される


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行動依存症の認知特性を解明 ―なぜ行動依存症はリスクを犯すのか― 

行動依存症の認知特性を解明 ―なぜ行動依存症はリスクを犯すのか― (京都大学)より抜粋まとめ

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『行動依存症』の患者はリスクを取る傾向があり
それが脳の『前頭前皮質』の『活動減弱』と関連している

『行動依存症』は
ギャンブル依存に加え
インターネットやゲームに対する依存など
社会的な注目を集めている
また
万引きなどの窃盗症・盗撮痴漢などの性嗜好障害といった
「犯罪と知りつつも繰り返し衝動的に行ってしまう」行動も
『依存症』であると考えられている

本研究では
『窃盗症性嗜好障害の入院患者』と『健康な成人男女』を対象に
確率計算を伴う心理課題を行い
課題実行中の脳活動を計測した

その結果

『行動依存症』の患者は
「確率から物事を推測する」ことに困難を示し
その原因として
『前頭前皮質の脳活動減弱』が関わっていることがわかった

これらから

『行動依存症』では前頭前皮質が正常に活動しない結果
依存行動時の『社会的リスク』を認識できていないことが
一因であることが考えられる

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『行動依存症』の基盤には
[【報酬系】が成す条件づけ]=[第一信号系]があり
それを[抑制する【前頭前皮質】の活動]=[第二信号系]
が弱まっているせいで
行動を制御できていないとする仮説がある

本研究では
経済活動関連する意思決定の調査と
意思決定までの慎重さを推定する“結論への飛躍課題を行い
課題実行中の脳活動を計測した

結果は

『行動依存症の患者』は健康な統制群よりも
「賭けなどで高いリスクを追求する」

『行動依存症患者』は健常者よりも
「ものごとの確率を正確に計算・判断できていない」

ことがわかった

また
課題実行中の「右前頭前皮質の活動が減弱している」ことが判明した

これらの結果から

『行動依存症』では
前頭前皮質の活動に依存する『確率判断の障害』が関連しており
【依存行動時の社会的リスクの高い行動をとることが
どのような結果につながるかを認識できず】
その結果
「それらの行動の抑制ができていない」と考えられる

先行研究では
行動抑制課題において
物質への依存症やギャンブル障害での前頭前皮質の活動減弱
が報告されており
本研究は
窃盗症性嗜好障害などが行動依存症である神経メカニズムの根拠として
前頭前皮質の活動が低下している可能性を初めて示唆するものとなる

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『衝動制御障害』『強迫性障害』
『行動依存症』に分類されると指摘されて
近年アジア圏で急増している
ギャンブル障害・インターネット嗜癖・ゲーム障害に関する研究を除き
行動依存症の研究例は多くない

行動依存症を理解するためには
異なる症状の行動依存症を比較検討することが重要となるが
窃盗症性嗜好障害に関する研究事例は
国内外を問わず非常に少ないのが現状

本研究ではこうした先行研究例の少ない行動依存症を対象に研究を行い
すでに知見があるギャンブル障害などの特徴と比較をすることで
行動依存症の性質を明らかにすることが可能となる

万引きや盗撮・痴漢などの犯罪行為は
多くの場合
精神疾患であると認知されず
治療の対象とはなっていない

しかし本研究結果からは
その認知特性や脳活動の異常が見出され
犯罪の抑止として適切な治療を行う重要性が示唆される

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脳内神経物質「ドーパミン」が人々をより衝動的にする仕組み

脳内神経物質「ドーパミン」が人々をより衝動的にする仕組み(GIGAZINE)より抜粋まとめ

人間の性格にはいろいろなタイプがあり
「我慢強い人」から「短気で衝動的な反応を示す人」まで
さまざまな種類がある

特に「衝動的な反応を示す人」の場合には
脳内で起こるドーパミンの働きが重要な意味を持っている

これまでにもドーパミンは
脳の『報酬系』において重要な役割を果たしていて
それは
欲求が満たされたときに快感を感じる脳の働きの一つで
この快感が『決断や行動を判断』する際に
大きな役割を果たしている

しかし同時に
ドーパミンがもたらす別の影響についても理解が進んでいる

ドーパミンのレベルが増加した状態の人には
性格が衝動的になるという現象が存在している

これはパーキンソン病を患っている人の間で
多く見られる特徴の一つで
パーキンソン病患者がギャンブルやショッピングまたは食事などの
行動に対して衝動的な反応を見せることがよく見られる

また
これはアルコールやコカインなどの中毒患者にも見られる症状で
脳内でドーパミンが多く放出されることで
衝動的な行動を起こす傾向
が確認されている

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ドーパミンの働きにおいて重要な脳の部位が
腹側被蓋野と呼ばれる部分
この部位にはドーパミンの働きに関わるニューロンが集まっており
脳の報酬系を形づくっている一部であると考えられている

報酬に関連づけられた刺激によって
腹側被蓋野のドーパミン関連のニューロンに
スパイク(突発的な電気パルス=快感)が起こることがわかっている

一方で
刺激と実際の報酬の時間が長く開くと
その反応が弱くなることがわかっている

これは「遅延報酬による価値割引」と呼ばれるもので
刺激から報酬までの時間が長くなることにより
報酬による快感が弱くなるという現象

そして
この価値割引の感じ方は
その人ごとの我慢強さのレベルによって左右されている

以下のグラフは、人間に対して「今すぐ20ドルもらうか、または6か月後に40ドルもらうか、どちらが良いか?」という問いを行った際の反応を図式化したもの。
ここでは、Patient(我慢強い)、Average(平均的)、Impulsive(衝動的)な3つのタイプの性格(Personality Type)によってそれぞれの反応が大きく異なっていることがわかる。
『Patient(我慢強い)な人は長時間後の報酬に対しても大きな価値があると判断する』
一方で
『Impulsive(衝動的)な人は待ちきれないので、金額が少なくてもいいので今すぐ報酬をもらいたい』という反応を示している。

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そしてこの傾向は
ドーパミンの放出量と関連がある

『ドーパミンが多く放出されている被験者』のほうが
遅延割引が多く発生しており
すなわち
『衝動的な反応を見せる傾向』にある

ドーパミンの働きで重要な役割を果たしているのが
ドーパミンと結合することで脳の反応を促す
D2受容体と呼ばれる神経伝達物質

D2受容体はドーパミンと結合することで抑制性作用を促す

『衝動的な人の脳』では
正常な人の脳にくらべて『D2受容体の働きが弱い』ため
脳の衝動を抑制させる働きが弱くなり
結果的に「衝動的な感情や行動を起こす」ことになる


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参考)ギャンブル依存症の神経メカニズム -前頭葉の一部の活動や結合の低下でリスクの取り方の柔軟性に障害-(京都大学)
「ギャンブル依存症患者のリスクへの態度に特徴がみられるかどうかを検討した結果、患者は許容できるリスクの大きさを柔軟に切り替えることに障害があり、リスクを取る必要のない条件でも、不必要なリスクをとること確認した。また、fMRI で患者の脳の活動状態を調べたところ、患者は脳の前頭葉の一部である背外側前頭前野と内側前頭前野の結合が弱いことも明らかにしました」
「ノルマの厳しさを正しく認識するのに必要なのは背外側前頭前野、前部帯状回、島皮質であり、リスク態度の切り替えには背外側前頭前野と内側前頭前野の結合が重要であることが分かっている。ギャンブル依存症患者の場合は背外側前頭前野の活動が低下していること、背外側前頭前野と内側前頭前野の結合が弱い患者ほど、ギャンブルを絶っている期間が短く、また、低ノルマ条件でハイリスク・ハイリターンのギャンブルを選択する傾向が強いことがわかった」

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参考)低い当選確率を高めに見積もるワクワク感に脳内ドーパミンが関与
-脳内分子の画像化技術と経済理論から依存症に迫る-(科学技術振興機構)

「線条体という部位のドーパミンD1受容体の密度が低い人ほど、低い確率を高く見積もり、高い確率は低く見積もる傾向がより強いという関係が見出された。(ドーパミンD1受容体の密度が低い人ほど低確率を高く見積もってしまい、ワクワクしやすく、ギャンブル依存症になりやすい傾向)」

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