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【WSET Diploma】必須!Examiner's Report活用法

今回はCandidate(受験資格を持つ人のこと)のためのハウツーです。


Diploma試験には解答例がありません
Diploma試験では「いかに受験者がそのテーマを深く理解しているか」を問われており、1対1対応のシンプルな問題を解けばいいというものではありません。ゆえに全て自由記述で、絶対の正解がないのです。
これをポジティブに捉えれば、受験者はあらゆる角度から問題を解くことが可能と言えます。反対に、あらゆる角度から飛んでくる受験者の回答を全て採点できる講師陣は本当にすごいなぁと思います。

さて、解答例がないのならばどうやって過去問から学べば良いのか

WSETでは、少なくとも日本人にとっては非常にユニークな資料といえる、Examiner's Report(以下ER)なるものがCandidateのみに公開されています。

これは読んで字のごとく、採点者によるレポートです。
これが、めちゃめちゃ役に立つ!!

日本の、例えば大学受験対策の参考書にある「解答と解説」のようなものではなく、どちらかというと心構えに近い内容かなと思います。

一言で言えば、「問題制作サイドがいったい何を、どのくらいの深さで受験者たちに求めているのか」がよく分かる、そういう資料になっています。

だからdiploma取得を目指す人は必ず目を通すべき資料です。
特に独学者たちは必見です!
ぼくはキャプラン東京には通わずロンドンの集中講座を受けましたので、ほぼ独学です。そのため、こういった資料は本当に貴重な情報源で、テキスト類以上に何度も何度も読み込みました

そして読んでいて「すごいなぁ」と思うのは、問題を解くためのテクニックみたいなものがほとんどないことです(いや、ちょっとはありますよ)。あくまでも、DipWSETの肩書きにふさわしいワイン人間にとって必要なものは何かという大前提を踏まえてレポートが作成されているように感じます。

ERは、だいたい1年くらい前の試験内容に対するレポートです。
直近(2021年1月時点)だと、2019年10月期のD2、D3が2020年10月に
2019年10月期のD3、D5が2020年12月に公開されました。

ERの冒頭にはその試験の受験者数、Pass rate、各rateの人数などのデータが出ています。それから問題ごとに採点者による総論と所感(受験者たちの回答の傾向など)が書かれており、時に実際の受験者の手書きの回答がそのまま掲載されてたりします(筆記体読めないので個人的にはあまり役に立たない…)。

ここでは実際のERの内容をお見せすることはできませんので、一つ例を出したいと思います。

実際の試験でよく見かける形式が、ワインの●●(e.g. style, quality, production)に影響を与える△△(options,factors)を説明せよ(Explain)という趣旨の問題です。
まさに「Why-Because」……WSETの一貫した哲学を表したような問題ですね。

こういうタイプの問題に対して、ERではおおかた以下のようなアドバイスが示されます。

「答えるべきテーマをきちんと特定し、それに集中せよ」
「具体例をあげて、それをうまく活用せよ」
「それぞれのoptionとinfluenceについてwhy-becauseを明確にせよ」

などです。

アドバイスとともに、具体的にはどのように答えるのが良いアンサーか、反対にこういうアンサーは的を射てないよ、などといった具体的な事例とともに示されています。
繰り返しますが、事例といっても解答例ではありません。せいぜい「この問題ではこういう内容を書けるとよかったね」とか「これに言及できていない人はちょっと残念だなー。今回はこういう人多かったから、pass rateは低めだったよ」程度です。
それでも、どういう視点で問題に取り組めば良いか、さらに突き詰めて言えば、どういう視点で普段から学ぶべきか、がよく分かります。

例えば、とある産地の気候について問われる問題で、「高度、山脈や海流の影響いった一般的なことに言及できた人は多かったけど、この産地特有の○○についてしっかり記述できた人は少なかったね。だからpoor answerが多かったのは残念だったよ」といった内容の記述が実際にERにありました。

これを読んで何がわかるかというと、Diplomaで問われる理解度の深さ・広さです。

「そうか、このレベルの問題が解けるようになるまで、学習を進めていけばいいんだな!」という明確な目標になります。

APPで直接講師から学べるCandidateの皆さまは、きっとERと同じようなアドバイスを受けることができるかもしれません。

ですが、少なくとも独学者においては、ERやSpecificationのアドバイスは本当に役に立ちます。

特にDiplomaは範囲も広く内容も多岐にわたる(D1やD2の知識も必要なので)ため、「いったいどれくらいの理解度を試験で求められているのか」がいまいち判然とせず、学習の途中で、まるで濃い霧の中を進むかのような感覚に陥ることがあります。ERは、そんな迷子のぼくらにとって、勉強の目標を明確に定めてくれる重要なマイルストーンになるでしょう。

みなさまもLevel 3に合格し、晴れてDiploma Candidateになった暁には、さっそく過去のERたちを見て、モチベーションを高めて頑張りましょう!!

次回は、きっと多くの方が気になっているであろうDiplomaと英語力についてお話したいと思います。

いつも長文になってすみません、最後まで読んでくださりありがとうございました。それではまた次回!


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