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熊野古道「よみがえりの聖地」「人生、出発の地」

休暇を使って熊野古道・中辺路(なかへち)を歩きました!

熊野は神々の籠る神聖な地で「よみがえりの聖地」「人生、出発の地」と呼ばれることもあるそうで、転職を機に復活を遂げるべく歩きました。

熊野は「よみがえりの地」と言われてきました。
古来より日本では、人々が生活を営む里に対し、
山は神や祖先の霊が宿る神聖な場所である、
という考え方があります。
中でも熊野は神々が籠る深山の霊場であり、
訪れた方は心魂が甦り、新たな気持ちになります。
「人生、出発の地」と言われる所以です。

熊野本宮大社 公式サイトより


行程は滝尻王子~熊野本宮大社 https://www.tb-kumano.jp/kumano-kodo/nakahechi/

YAMAPはこちら
https://yamap.com/activities/31770963

久しぶりにだらだらと長く書きたいと思います。



■滝尻王子


出発は滝尻王子に設定したので、そこまでは車で移動。 まあ予報的に知ってたけど、本格的な雨。しかも日中は止まない予定。 カッパを着こんで、レインカバーも準備して、そのうえでモンベルのトラベル傘を差しながら出発。 結果的にこのトラベル傘がなければ、もっと濡れてたし、体力も奪われてたと思うので助かった部分がありました。 滝尻王子宮という社に道中の安全を祈願して山に入っていく。 結構すぐに山に入るし、結構長く坂を上ることになるので、結構しんどい思いをした。 しかも雨なので滑らないように足元に気を使わないといけなかった。


■不寝王子

不寝王子(ねずおうじ)までは、この最初の登りの中間くらいにあるので、それを目印に進んだ。 それを越えたらもう少し森の中を進んでひとまず上り坂はひと段落。 稜線歩きのような緩やかなアップダウンを歩くので楽しいかと思いきや、雨やまないかなーという思いばかりでそうでもなかった。 途中飯盛山というピークがあって見晴台があったが、雨が煙っていて真っ白で残念。



■高原熊野大社

町というか集落のようなところに出たかと思ったらすぐに高原熊野神社が出てくるのでお参りして少し休憩。 思ったより小さくて質素だった。 けど休憩室を備えており、雨の中では非常にありがたい。
芳名帳があり、パラパラめくってみたが英名や中国名が多く流石世界遺産、インバウンド人気が高い。 実際行程を通して多くの外国人と追い抜き追い抜かれを繰り返し、何人か顔見知りになった。



少し先には高原霧の里休憩所もあり、こちらのほうが大きな室内休憩所を備えているので休むならこちらだったかも。 見晴らしのいい場所にあるがこちらも霧で視界が悪い。霧の里の本領発揮といったところだろうか。


霧の里休憩所を超えたところから。また山に入るのだけど、立て看板があり「この先、里から離れた山道が続くために補給できない(要約)」といったことが書かれている。 緩やかにだらだらと登る道に体力を削られ足や肩に少しづつ疲労がたまっていく。 雨は降り続く。だんだん強くなってる気もする。

■大門王子、十丈王子、上多和茶屋跡

二つの王子社と茶屋跡を通り過ぎる。 それぞれの王子社やそれ以外の場所にも場所にちなんだ説明書きが看板として建てられており、休憩しながら読むのも割と楽しい。
三体月伝説の看板が茶屋跡の後にありこれが割と面白い話だった。
上多和茶屋跡がこの日の行程のピークでそこからは下りになるので まさに山場は超えたか、という感じ。 無心で集中し、雨の中を行軍する。


■大坂本王子、道の駅中辺路

下りの終盤で、大坂本王子が現れ、道の駅中辺路がすぐ次に現れる。 店内では美輪明宏の歌が流れていたことで印象に残っている。 丼ものなどを店内で食べられるようになっていたが、特に下半身に重篤な濡れ衣を着ていたのでそれは遠慮し じゃばらウォーターなるものを購入。外のベンチで持参したスナックとともに飲んだ。

■牛馬童子、近露王子、アイリスパーク

道の駅から少しだけ登って箸折峠があり、牛馬童子社がある。 この先の近露という地名についての説明書きによれば カヤ(植物)の軸に露が伝うのを観て「血か露か」と聞いたのが近露(ちかつゆ)という地名の由来になったそうだ。

峠を下る石段は滑りやすく慎重にならざるを得なかった。 下り途中に近露の町を見下ろせるポイントがあり、これも雨がなければ、という感じだった。 町に降りて最初にめにつく「なかへち美術館」。 なかなかしゃれた外観をしていて、こんなドロドロでなければ思わず入ってしまうところだった。

少し熊野古道からも町からも外れて、今回のキャンプ地アイリスパークへと到着。 そう、今回はテント泊だ。 テント装備を背負っての6時間ほどの雨中行軍はなかなか堪えた。 しかしチェックインしても雨。 先にチェックインしていたカナダ人と中国人も、 テントは張らずバーベキュー用のあばら家で各々の時間を過ごしていた。 今日はこの中で寝るらしい。

このキャンプ場の特徴は温泉があること。 売店でビールを買って飲みながらしばらく雨の様子を見てみたが一向に弱くならない。 予報もしばらくは止まないみたいなので先に温泉に入ることに。 (このキャンプ場WiFiがあって結構助かった。) ぬるぬるとしていかにも効能がありそうな温泉で、雨で冷えた体を温めてくれた。
自然に苦しめられ自然に癒される、マッチポンプマッチポンプ。


温泉から出ても雨だったのでしばらくあばら家でカナダ人や中国人と会話したり、本を読んだり、荷物を整理したりして過ごした。 カナダ人は割と日本語を理解していて、単語程度なら数十単語を覚えていた。
彼らは町にご飯を食べに行くといって、行ってしまった。 「夜に焚火するから来てよ」と言い残して。あいつら陽キャだから遅くまでやりそうだな。 そのあと晴れてきて、悩んだ挙句テントを立てた。 まあ久しぶりにやるからせっかくだしやっておこうくらいの気持ちで。
設営してからは、やはりせっかくなのでの精神でテントで過ごした。 カップ麺を食べて、本を読んでたら眠くなったので寝た。


8時くらいに起きたら焚火をしている彼らのものらしい声が聞こえる。 寝起きでテンション上がらないし、英語の会話疲れるんだよなあとうだうだ。 再び寝付くこともできない。 結局持参のウイスキーを舐めながら再び本を読んでそのまま疲れて寝た。 思いのほか寒くて寝袋のうえからツエルトも少しかけて眠った。 テント設営の時にかなり横着したので結露もすごかった。 明日のために取っておいた靴下も濡れてしまった。


幾度か起きて寝てを繰り返し翌朝五時に起きた。キャンプでは珍しくないこと。 霧が立ち込めていたが雨はないし今日は晴れる予報。 カロリーメイトとミルクティーを入れて目覚ましと朝飯。 濡れた靴下と靴を履いて、キャンプ場を散歩してみる。 年季を感じるキャンプ場でバンガローに苔むした感じがサツキとメイの家みたいだった。 全く乾いていなかったが、乾かす時間もないのでそのままテントを片付けた。 出発する7時には霧も晴れたし、なんならピーカン。 一緒に泊まったカナダ人と中国人にグッドラックとかエンジョイとかテイクケアとか適当な言葉を交わしながら分かれた。

町には朝早くから畑仕事しているらしいおじいちゃんおばあちゃんがいて 無精ひげのハイカーにもにこやかに挨拶を返してくれた。 熊野古道に戻ると小学校の脇道に入り、車道にぶつかってしばらく車道を登る。


■比曽原王子

比曽原王子の手前には民宿っぽい宿が連なるところがあり、ここからの景色がよかった。 ここから見える山の中で発見されたニホンオオカミが最後に発見されたものらしい。


■継桜王子

なにやら立派な茅葺の小屋があると思ったら、継桜王子がその手前にあった。 立派な杉の大樹たちに囲まれる神社があり、
霊験あらたか霊験あらたか、と思いながら参拝。 この近くには秀衡桜もあり、滝尻王子近くの乳岩とともに、奥州藤原氏の藤原秀衡に所縁のある場所のようです。 あんな東北からはるばる来るんですねえ。


■中川王子

だんだんと日も上がってきて暑くなってきた。 とはいえ日影も多いのでこの調子で距離を稼ぎたい。なんせ本日の歩行距離は約25キロ。 バスに乗って滝尻まで戻らないといけないので、タイムリミットはちょっとシビア。 舗装路を行きながら、この辺で足と肩に痛みが出てくる。 ひっそりとたたずむ中川王子には悪いが次の休憩所を求めて足早に立ち去る。

■小広川王子

ここまで割と平坦な道を着ていたが小広川王子を過ぎたあたりからが本番。 ピークが3つあり、そのあとにも少し登りがある。 だからここからはがむしゃら。無心。 ラジオを聞きながら気を紛らわし、両手のポールに体重を分散させて何とか前に進む。
年季の入った伝統の重みのようなものを林道に感じるが、カメラに収める体力がなくなっていく。

■蛇形地蔵、湯川王子

わらじ峠を越えて、迂回路に入ったあたりから焦りもありかなりしんどい時間だった。 何とか迂回路のピークも超えて蛇形地蔵、湯川王子に来た時にはかなり体力を使っていた。 ただもう一つ峠がある。 なんとなくこの辺から少しハイになっていたと思う。 ハイになって一気に三越峠を上がる。 そんなアドレナリンも切れる下り坂。
よく言うよね。下り坂が一番きついって。
峠はもうないから、という言葉で安心する自分と
え、あと3時間以上歩くの?という驚嘆の声をあげる自分。


■猪鼻王子

猪鼻王子を超えるとまたも上り坂。最後の上り坂。 もはや何も感じない。これが無心。

■発心門王子

疲れがピークに達したころ、現れる発心門王子。 何やら有名みたいなので入念にお参り。 ここからはラストスパート。緩やかに高度を落としていくのみ。 腰のベルトをいつもより締めて腹圧をかけられるようにして姿勢を保つ。


■水呑王子

やたら広い東屋のある水呑王子。しかしベンチが極端に少ない。よくわからん。
ここから少し歩くと集落があってそれを歩く。 集落には無人販売をしているところが多く、梅干しと乾燥ウコンを買ってみた。

■伏拝王子

集落の先にあるのが伏拝王子。ここの碑石が見つけられなかった。
伏拝茶屋というところがあり休憩させてもらう。 ドーナツとゆで卵(!)をいただく。ついでに手ぬぐいも購入。
この辺で結構安心する。 本宮にお参りしてもバスの時間に余裕をもてる。 だんだんと広くなっていく道にも安心しながら 寄り道して展望台にも行ってみる。 ちらっと大斎原が見える。


■祓殿王子

町にでる。そうするとすぐに見つかる祓殿王子。 熊野大社の目前にある王子。きっちりここにもお参り。


■熊野本宮大社

ようやくゴール! へとへとになりながらも一つ一つの神様にお参り。




定休の店が多い中、 見つけた店でソフトクリームとちらし寿司を購入して食べたのがとてもよかった。

バスの待合所の近くには熊野本宮館という情報センターがあり、 以前訪れたことがあるけど、なかなか面白いところだった。 今日は疲れたから行かないけど。

バスには外国人の方が多くバス会社?観光関係?の係員が頑張って誘導していた。 バス出発直前に4人組、でも一人は今トイレ行ってるのっていうグループが着て困った顔してた。 仕事って大変だね。

キャンプ場で一緒だった中国人と再会してグッジョブとか適当な挨拶して讃え合った。

子供向けのジェットコースターくらい揺れるバスの最後部で今回の旅を振り返りながら帰りました。

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