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コロナから10年後の世界 A

コロナから10年後に想定される6種類の世界を描いてみる。これは自分が未来に向けて何をすべきか整理するためのものでもある。2020年の4月末に東京コピーライターズクラブのリレーコラムで執筆したものを、ここで改編。

それでは1つ目の世界を始める。


コロナウィルスが世界で猛威を振るっている。ワクチンは開発されたものの、ウィルスは変異を繰り返し、未だ有効な手はない。多くの人が死んだ。毎年冬になると感染者が増えるため、全面的にロックダウンをする。まるで動物が冬眠するように、町は眠る。こんなサイクルが2020 年からずっと続いている。

失業や倒産が相次ぎ、恐慌が起きた。銀行預金は封鎖されインフレが進んだ。日本では10万円札が発行され、一円玉はアルミ資源として回収された。世界は暗澹としていた。各国は中国に賠償金を請求した。「スペイン風邪の時、スペインに賠償金を請求したのか」と中国は頑なに拒否をした。欧米諸国は圧力をかけて遂に戦争を仕掛けた。ロシアは中国に味方した。米英仏独と中露の全面戦争である。『コロナ戦争』と呼ばれている。本当の理由はコロナを理由に中国を潰したいから、戦争でひと儲けしたいからだとも言われている。日本もアメリカの同盟国として参戦した。前線となった日本には中国や北朝鮮からミサイルが飛んできた。大都市は壊滅的被害を受けている。徴兵制が敷かれ、若者は戦地に行かなくてはならない。


53歳と若くない私は、兵隊となることはなかった。しかし、職歴から軍のPR活動に従事することとなった。私が過去に手掛けた商店街のポスターのようなものを作ってほしいと、軍から依頼を受けて、兵士ひとりひとりのポスターを作るプロジェクトをしている。今から兵士の取材と撮影だ。


戦争の死者はコロナウィルスの死者を越えた。戦地では衛生状態が悪いためオーバーシュートがたびたび起こっている。こんな戦争に加担している自分の愚かさは十分理解している。しかし、致し方ない。食べていくためだ。仕事があるだけマシだ。早く戦争が終わって欲しいとはもちろん思っている。

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