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女王様と僕 | 1−6−2 | 下上ル(シモ・ノボル)と秋の夜に見る春の夢 園弐

僕、下上ル(シモ・ノボル)は、おかしな夢を見たことがきっかけで、
同じくおかしな夢を見る山ン(ヤーマン)に再会して再開することになった。
(元)喫煙者で、あまりにもリアルな喫煙の夢を見る山ン(ヤーマン)は、
iQOSを吸っていたがある日とてつもないフィリップ・モリスへの怒りにかられ、喫煙を辞めた。だいぶ危うい、だいぶ素敵な漢だ。素敵(シンプルなエネミィ)、なんか、カッコいい。

だが、再開した彼は、目の前でアメスピを吸い出した。
唖然(アングリ・ANGRY)としながらも言葉にもならない、僕。
ただあんぐり(HUNGRY?・ANGRY?)と眺めていると、山ン(ヤーマン)はめんどくさそうに聞いてきた。
「なんだよ。吸っちゃ悪いのか、YO。」
「いや…」
「ダメに決まってんだろ。うちは禁煙だ。」
カウンターの向こうで大将がボソリとつぶやく。
「マジか。悪かった、NA。」
速攻で(何もかも)もみ消す山ン(ヤーマン)。

「…で、そうそう。お前の夢の話な。ココじゃ話せねぇNA。セーフティボックスに行くぞ」
なんてことのない地下のバーに行く僕たち。
って、ココは、山ン(ヤーマン)と初めて会ったアブサンバーじゃないか。
って、このバーも禁煙になってるし。
「携帯出せ。」
「…はい」
「マスター、電子レンジにコレ、入れておいてく;RE(繰り返し)。」
「あいよ。」
「どゆこと?」
不思議そうに僕が尋ねると、山ン(ヤーマン)はもっと不思議そうに
「何お前、スノーデン見てないの?」
「…はい。」
「ま、いいや。」

「お前が気づいちゃっていること。そして、俺の喫煙。この2つには何が共通していると思う?」
「…さぁ」
「そう、本質だよ。本質に気づいちゃってるの。」
「(言っちゃうんだ…)」

「本質ってなんだ?」
「なんで…しょう?」
「換金だ、YO」
「監禁?」
「どっちでもいい。ほぼ一緒だ。でも換金だ。」
「今、お前の全ては金に変えられる。換えちゃいけないものまでな。」
「はぁ。」
「そして、それを疑いもせず換え続けている。
 眼の前にあるものが、本当にあるのかどうかもわからないくらい、
 画面の中に自分の人生をドロップしてセルアウト(換金)してる。」
「へぇ。」
「A/BU/NE。でも、まだ引き返せる。」
「間に合います?」
「間に合うよ。だって、誰も気づいてないんだから。気づいた頃には
    手遅れだろ。」

変な…沈黙が続く…。

マスターは…栗をずっと剥いてる。

山ン(ヤーマン)が切り出す。

「不思議だろ?本質に気づいてるってなんだよって感じ。でもな。本質に気づいちゃってるって、社会【国】からしたら厄介だぜ。」

「お前は、まじで厄介だ。そして端的だ。」

「明日一日、人の行動と本質について考えながら過ごしてみろ。何、難しいことじゃない。ルールは一個。」

「何?」

「考えろ」
バシッと決めて、おもむろにアメスピに火をつける山ン…のタバコを叩き落とすマスター
「禁煙。」
「…した」
「教えてやれ」
「っす」

(何この二人…。テニス部の先輩後輩みたいな…なんかそんなカンジダ。)

「要は、だ。当たり前のように、一日の中に組み込まれていることを疑問に思ってみろ、ということだ。」
「当たり前?」
「そう。大多数の当たり前。そこの本質に気づいたときに、絶望と希望がやってくる。で、お前はもう戻れなくなる。」
「…え、ヤダな」

(本当に、ヤダ。でも、断れない。聞いちゃったし。ま、明日起きてから考えるか。)

「てか、山ン(ヤーマン)、一個いいっすか」
「んだ?」
「あの…この間言ってた話…続き忘れてません?」
「NNなんだっけ?」
「「ま、要は、何をレップしてるかって話じゃね?
  あとは、リアルを生きてっか?ってこと。」
 って、アレです。」
「あ…」
やっぱり秋の夜はまだまだ長いみたいだ。


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