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大企業SEからいきなりスタートアップに飛び込んだ話

初めまして。amptalk 株式会社 CTO の鈴木と申します。
これが初めての note 投稿になります。

私たちが提供するサービス「アンプトーク」は、オンライン商談の録画を自動的に収集・分析して、Salesforce 出力などの業務自動化および営業力強化を実現するツールです。今年1億円の資金調達を行い、プロダクトの正式ローンチを発表するに至りました。

以前は大手通信会社の SE として働いていたのですが、当時の自分には想像できない日々を過ごしています。年末の締めくくりとして、これまでの経緯を振り返りたいと思い本記事にまとめることにしました。

テレプレゼンスコミュニケーション

いきなりやや余談気味ですが、修士時代はテレプレゼンス(遠隔地の人間とのコミュニケーションを実現する技術とお考えください)分野の研究を行っていました。ビデオチャットにおいて、自分の表情に同調するように対話相手の表情を擬似的に変化させることで、会話の円滑さや親近感を向上させるというシステムを構築しました。

この研究の背景には、オンラインならではの技術を付加することで、実は対面よりも豊かなコミュニケーションができるのでは?という発想がありました。

アンプトークも商談録画を取得して解析を行い、より客観的なフィードバックを得られるという意味で、オンラインならではの強みを活かしていると言えます。自分は決して口上手な人間ではないということもあって、技術によってオンラインコミュニケーションをより良いものにしたいという軸が自分の中にあったのかもしれません。

大企業時代

卒業後は通信系大手で SE として、主にオンラインストア系のシステム開発に携わりました。

私が働く上で根底にある想いは「ユーザにとって価値あるものを自分の手で作りたい」というもので、これは今も変わっていません。入社後すぐに「自分でサービス開発がしたい」という主張を続けた結果、アジャイルな内製開発を実践・推進するという、当時できたての部署に異動させてもらうことになりました。何の経験もない新入社員のワガママを聞き入れてくださった当時の上司の方々には感謝しかありません。
この部署では数々のシステム開発に携わりながら、開発技術に加えてスクラムや LeanXP といったフレームワークであったり、ゼロからのチームビルディングを学び実践してきました。またクラウド技術選定や社内研修にも従事する機会をいただき、現在の仕事の大きな下地になっています。

そんなこんなでやりがいのある仕事ができていたのですが、ふと「ユーザにとって価値あるものを自分の手で作りたい」という自分の原則に立ち返った時、実践できていると感じる面もある一方で、どうしても違和感を持つ点がありました。それはプロジェクト全体で同じ方向を向けていないということです。「顧客に良いサービスを提供する」という究極的な目的は共通だと思うのですが、どうしても部署ごと・プロジェクトごとの KPI が存在し部分最適が起きる結果、本当にサービスを良くする方向に進めていないと感じるところがありました。例えば、効率化のために導入したい製品がセキュリティ部門から認められず作業や意思決定が遅れる、といったものです。もちろん理不尽に却下されるわけではなく、会話を重ねて合意形成していくことになりますが、相手も多数のプロジェクトを抱えており翌月にならないと時間が取れないなど、そのコミュニケーションや承認取得に費やす時間はとても大きなものでした。

なお先に述べておきますが「だから大企業はダメだ。スタートアップの方が良い。」などと言うつもりは毛頭ないですし、思っていません。たくさんの顧客を抱え、大切な情報を守るためにセキュリティに慎重になるのは当然ですし、相手も他の業務を抱える中で「彼らのせいで開発が進まない」などと考えるのは(私もそう感じてしまうことが多々ありましたが)開発者のエゴだったなと思います。

CEOとの出会い

違和感を抱きつつも楽しく仕事はしていたのですが、それでも社内政治に酷く悩み、自分自身が「良いプロダクトを作ること」を考えられていない時期がありました。そうした悩みを有識者や友人に相談している中で紹介されて出会ったのが、CEO の猪瀬です。

自分も初めはスタートアップという選択肢は持っておらず、どちらかといえば興味本位で話を聞いてみたいくらいの気持ちでした。その後もプロダクト作りについて相談を受けるくらいの関係だったのですが、何度か会ってプロトタイピングなどを手伝ううちに、まさに1つの目標に向かいながらワンチームで良いプロダクトを作り上げるという体験が、自分のモヤモヤとしていた違和感にカチリとはまるのを感じました。猪瀬も非常に強いプロダクト思考を持っており、エンジニアリングに対してもすごく歩み寄ってくれる人物だったので、このチームならきっと良いプロダクトが作れると確信するに至りジョインすることになりました。

プロダクト作りの詳しい経緯などは猪瀬の投稿で書かれているのでぜひご覧ください。

スタートアップに飛び込んでみて

スタートアップネイティブな方々からすると何を当たり前のことを、と思われるかもしれませんが、全く異なる領域に飛び込んできた自分にとって、日々アンラーニングの連続でした。

何より感じるのは優先順位付けの重要性です。以前スクラムを実践していた時も「プロダクトバックログはプロダクトの価値を最大化させるよう優先順位順に並べる」という大原則が確かに頭にはありました。ですが今になって考えたとき、これを本当に意識できていたかというと No です。競合・関連企業の発表、顧客からのフィードバックによってビジネス状況は刻々と変化します。以前と比べてリソースも時間も非常に限られている中、優先順位や方向性を間違えたまま進み続けるとそのまま死に直結するという実感があります。初めから正解を知ることは不可能ですが、少しずつ進みながら軌道修正を迅速に行い不確実性に立ち向かうのがアジャイルである、ということを頭ではなく心で実感することになりました。

また、プロダクトはそのまま自分たちを写す鏡だと強く思います。当たり前ですがプロダクトにしたことはすべて自分たちに跳ね返ります。障害が発生すれば対応するのも、改修しづらい実装をして後で苦しむのも、いらないものを作って使ってもらえず泣きを見るのも自分たちです。私たちのような小規模なスタートアップにおいては誤魔化しが効きません。プロダクトには、企業の文化がありありと現れます。

なんだか殺伐とした感じで書いてしまいましたが、必死に試行錯誤しながらプロダクトを進化させ、ユーザから良いフィードバックがもらえた時の喜びもその分段違いです。この喜びのためにスタートアップをやっていると言っても過言ではありません。

最後に

前述しましたが、大企業とスタートアップどちらが良いのか?を考える記事ではないですし、答えも持っていません。スタートアップならではの大変なことも本当に多いです。

それでも、ユーザと真正面から向き合い、ワンチームで課題を解決していくという今の一体感とスピード感は最高だ、と自信を持って言えます。チームは非常にプロダクトドリブンで、プロダクトの価値とその開発速度をあげるためにどうしたら良いかを各々が考え、議論し、改善を繰り返す文化が生まれています。このチームから生み出されるプロダクトの進化が、自分ごとながらとても楽しみです

一緒にプロダクトを作る仲間を募集しています

お決まりですが、amptalk では一緒にプロダクト作りをするエンジニアを募集しています!
https://amptalk.co.jp/recruit.html

テスト駆動開発、クリーンアーキテクチャを採用しつつ、

  • どうしたら品質を下げずに開発スピードをあげられるか?

  • どうしたらミスを努力ではなく仕組みによって防げるか?

  • どうしたら最も早くユーザに価値を届けてフィードバックを得られるか?

などなど、プロダクトを高速に進化させるために日々議論が絶えないチームです。少しでも興味を持っていただけた方、カジュアルに話を聞いてみたいという方、ぜひお気軽にご連絡ください!

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