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【2024.08ver】今月のTikTok流行曲 Report written by Hi-Trink Inc.

株式会社ハイトリンクの山本慶太朗です!

2024年8月に流行った曲とその使われ方、Hitの理由を
網羅的にご紹介させて頂きます!

執筆日:2024'08'31 各種再生数等の数値は執筆時を基準としております。


①愛 と U (Sped Up Ver.)/Mega Shinnosuke

・リリースレーベル Mega Shinnosuke
・現在のSpotify再生数 1,108,438
・YouTubeMV再生数 1,510,000

・どんなUGCが発生したか?
Mrs. GREEN APPLE「ライラック」のTikTokダンスを考案した『mia』による、1番サビ前の〈グラス越しに君を拝む〉でグラスを目の前にかざし、顔周りで両手を使って踊るチャレンジが広がっている。

トレンドのSped Up Verと楽曲の持つエモーショナルさが掛け合わさり、
あざと女子感を演出できる絵作りが人気を博した。

・UGCはどの界隈で使われているか?
主に有名TikTokerや女子高生インフルエンサー、"あざとカワイイ"を武器にするTikTokerが主に使用。
女の子が可愛いと思う曲調×視聴者男性が可愛いと思う絵作りが両立できていたのがこの界隈へ広がった理由。

・Hitの理由を一言でまとめると
あざとカワイイを極めたサウンドと、それを男性視聴者が満足するUGCの絵作りに昇華させたこと。

・山本一言コメント

令和の女性がカワイイと思うサウンドはチル感×テンションコードがトレンド。これは今若い女性の憧れが国内アイドルではなく韓国アイドルへ向いている点も強く作用していると感じる。(Dittoとかもこれを踏襲したカワイイサウンドで女の子ファンが多い)

この曲はそんな美容に敏感な女性たちが「カワイイ」と感じるサウンドと、
その動画を見た男性が可愛いと思う状態の二つが両立していたため伸びた。

TikTokUGCヒットを狙う際この二つの両立はマストなので、かなり王道な伸び方をしていた印象。


②はいよろこんで / こっちのけんと

リリースレーベル blowout Inc.
現在のSpotify再生数 28,257,563
YouTubeMV再生数 73,320,000

・どんなUGCが発生したのか?
サビのフレーズ「ギリギリダンス」に合わせた大胆なダンス動画が中心。

またモールス信号をアニメ作品やアイドルのトレードマークなどに変更しカワイイダンスをアニメ調で踊らせる二次創作も流行中。

@ginjiro_koyama

ギリギリダンス間に合った男#市ケ尾高校ダンス部 #はいよろこんで #こっちのけんと #ダンスク 背中男@ichigao_dance @ダンスク!【公式】 @こっちのけんと🧑🏻‍🎤 天才的なアイディアはダンス部のみんな🤝✨

♬ はいよろこんで - こっちのけんと
@neintion

IM OBSESSED WIH THIS SONG GRAAAUGH ⁉️🔥 ngl it kinda sounds like gojo or im just tripping🕊️ #fypage #jujutsukaisen #anitok #jjk #gojosatoru #anime #gojojjk #animation #trend #🍉

♬ はいよろこんで - こっちのけんと

・UGCはどの界隈が使っているか?

アニメ二次創作界隈、トップTikToker、芸能人界隈。

・バズった理由を一言でまとめると

TikTok的に時代が求めているサウンドと歌詞だった。
MV絵柄が二次創作意欲を掻き立てた。


※より詳細な分析はこちら!
↓↓


③UCHIDA1(Miami Remix)- Smokepurpp,MARU,GINTA,ODAKEi

・リリースレーベル なし
・リリース日現在のSpotify再生数 411,417
・YouTubeMV再生数 700,000

・どんなUGCが発生したか?

最も多いのは女性のセクシーな表情を見せる系。

@moemomo0307

ジェットコースターで意識失っちゃいます#コスモワールド

♬ UCHIDA 1 - GINTA & ODAKEi

その中で一部イケメン系の男性動画も人気がある。

@harrytickerkun

鳥取から千葉に帰ります! 海最高すぎ🏖

♬ UCHIDA 1 - GINTA & ODAKEi


・UGCはどの界隈が使っているのか?

湘南系・陽キャ系など明るさや一軍感を売りとする女性界隈。
またセクシーさを売りにするグラビア系。
女子高生インフルエンサーなど。

逆に実写属人系以外のアカウントではあまり使われていない。

・バズった理由を一言でまとめると

バイブス上がるサウンド × セクシーを強調できるダンス

・山本一言コメント

陽キャ大好き系EDMサウンドは'18年ごろから毎年数多くのHit曲がTik内で定期的に出ているので、今後もこの流れはしばらく続くと読んでいます。
TikTokバズを狙うなら王道のサウンド感ですね。

絵に関してもセクシーさを強調できるダンスを本人たちが主導となってゴリゴリイノベーターとして回せたのが強い。
セクシーコンテンツもTikTokが生まれてから今日まで根強くミリオンヒットを連発している王道の動画スタイルです。

サウンドもUGCも王道×王道。
ヒットすべくしてヒットした楽曲だと思います。

ODAKEiさんは作るサウンド的にも今後しばらくヒットが続く曲調かつ、本人のアカウントがめちゃくちゃインフルエンス力があるので単に再生数があるだけでなく他のTikTokerのリファレンスとして機能している側面もある。更にインフルエンサーのご友人も多いので座組み的にも最強。
来年もヒット曲を必ず出してくるでしょうね。

"インフルエンサーに憧れられているインフルエンサー"
は広告利用側面で考えるととても強い。

アニタイがついて海外UGCも巻き込めたらワンチャンCreepyルートもあり得る。


④Giri Giri/KOMOREBI

・リリースレーベル sTARBASE RECORDS
・現在のSpotify再生数 3,107,576
・YouTubeMV再生数 2,620,000

・どんなUGCが発生したか?

TikTok上で「ギリハッピー」という言葉が若年層を中心に大きな共感を生み、それぞれの日常で起こる「ギリハッピー」な瞬間を切り取った動画や、「#ギリハピダンス」をアップする人々で溢れた。

@komorebi.official

その後KOMOREBIメンバーを見たものはいなかった… @MyM ありがとうございました🙏 #GIRIGIRI #KOMOREBI #MyM #ギリハピダンス #ギリギリギリハッピー

♬ Giri Giri - KOMOREBI

・UGCはどの界隈が使っているのか?

女子高生や10代のファンを抱えるインフルエンサー中心。

・バズった理由を一言でまとめると

それぞれの日常で起こる「ギリハッピー」という言葉が若年層を中心に大きな共感を生んだ

・山本一言コメント

「ギリハッピー」という言葉の発明が天才すぎる。
現代日本人は皆貧乏で、抑圧されている中でもそれぞれが独自の幸せを模索する現代社会のニーズをあまりにも的確に抑えすぎている。
これは発明の勝利。

昨今のTikTok Hit曲はこのような「キラーワード」で勝利している曲も多く、広告代理店的発想でキャッチフレーズを発明することが我々音楽クリエイター側に求められる時代となっているな、と感じる。
それは昔からそうじゃね?と思うかもしれないが(実際そうなのだけど)ユーザーに対してSNSで直接訴求できる現代ではより視聴者のニーズを瞬発的に想起させる強いフレーズが求められているので、歌詞もより発明的側面の優位性が増している。

先日Twitterで

このツイートがバズってた時にも思ったけどこれはその通りで、1曲を何度も聴くような時代ではなく、ショートのBGMとしてフレーズだけを繰り返し聴くような時代では、フレーズが感情を想起させるスピードの速さが求められている。
だからこのツイートを見て作詞家が「最近表現の幅が狭まったよね」と考えるのは全く問題の本質をわかっていなくて、表現方法のゲームチェンジが起こっていると僕は解釈している。

あと切り出し箇所の楽曲構成もよかったですね。引用している動画のような簡易的な縦型ショートドラマのような形式にもはまる「ギリハッピー」が飛び出すまでのイントロの尺感がちょうどいい。


⑤ I am I / とうあ

・リリースレーベル ASOBIMUSIC
・現在のSpotify再生数 55,323
・YouTubeMV再生数 688,050

・どんなUGCが発生したか

私は私のままでいいんだという歌詞が周りとのギャップやコンプレックスに悩む現代の若者に刺さり人気を集める。その後、手でOKマークを作るキャッチーな振り付けをみおちんが投稿。そのダンスを本人が踊ることで一気に広まっていく。YouTuberやTikTokerを中心に広まっていたが、8/19にZB1が動画を投稿したことで更に勢いが加速している。

@mionosekai

とうあちゃんの新曲『I am I』の振付を作らせていただきました🎊☆みんなもぜひ踊ってみてね🌈‼️🎊🦋#とうあ#iami#touaオリジナル振付@とうあ

♬ I am I - Toua

・UGCはどの界隈が使っているか

YouTuberやTikTokerをはじめとした若い女性が多数使用している。

・バズった理由を一言でまとめる

悩める若者達の希望となる歌詞にキャッチーなサビ

・山本一言コメント

この歌詞の方向性はここ7~8年ずっと続くトレンドである「ありのままの自分肯定系」ですね。

SNSの台頭で権力に抑圧されずに生きていくことができる人が増えた影響で、自分らしい自分を発信するアカウントの人気がここ最近世界的にもずっとアップトレンドで伸びている。この流れに乗った王道な伸び方な印象。

強いていうならサウンド感が'19年代TikTokを彷彿とさせるのがTikTokバズという側面だけで見るとやや勿体なかった印象。
ダンスも'19~20年代TikTokを彷彿とさせる。
歌詞に関しても文章的であまりにもストレートすぎるので、もう少しリズムに乗せて感情的に表現していか、それこそ「ギリハッピー」のようなキラーフレーズを開発していく方向性の方が現代のトレンド。

上記が完璧だったのが「はいよろこんで」な印象。
4年前にリリースしてたら今の三倍伸びてただろうなーという伸び方をしているな、というのが個人的な感想。

とうあさん自身のインフルエンサーとしてのポジション取りやブランディングは大変美しく完璧なので、この辺りを'25年版に調整した楽曲でまた勝負すれば、TikTokUGC数10万・YouTubeMV1000万再生クラスの曲を目指すことも難しくないと感じてます。


⑥大ちゃん / ちゃんぴおんず

・リリースレーベル Watanabe Entertainment Co., Ltd.
・現在のSpotify再生数 61,996
・YouTubeMV再生数 290,958

・どんなUGCが発生したかの概要説明と動画の引用

久保田海羽(今日好き)の投稿から中高生を中心に広がり、本人達も芸人やインフルエンサーとコラボ動画を上げることで、YouTuberやTikTokerへも広がっていった。簡単かつ2人で成立する振り付けでコラボがしやすいことも広まった要因と考えられる。

@com.yamato0515

握手会の後バレないように踊ろうとしたら、若いスタッフの女の子と目が合って則終了した🙂‍↕️🙂‍↕️🙂‍↕️

♬ 大ちゃん - ちゃんぴおんず

・UGCはどの界隈が使っているか
今日好きを観ている女子中高生。その周辺のフォロワーを抱えるTikTokerや二人利用に積極的なカップル系。

・バズった理由を一言でまとめる

特徴的な動きや変顔から生まれる【可愛い】とのギャップ

・山本一言コメント

毎年数曲出るおふざけ許可系枠。
変な動き、というのが芸人系とも相性が良くUGCの動画自体が面白かったので伸びている印象。イノベーターとなるインフルエンサーがとても頑張っていて、UGCの伸ばし方がとても参考になる。

強いていうならこちらも『I am I』と同様にサウンドの古さと使われ方の古さが気になった作品ではある。
おそらく10代系中心の視聴者なので「古さ」を体感していない人たちが中心となっていることがあまりそこで引っかかっていない理由だと思われる。
これ以上のUGC数を狙うならサウンド感や伸ばし方をもう少し現代にチューニングしていくと確率が上がるのだろうなぁという感想。


■番外編

ここからは楽曲ではなく、
音楽系のアカウントの伸ばし方で参考になったものを紹介していきます。

①miniska_music(FW:168.6K)

@miniska_music

Nobody /OneRepublic 怪獣8号かっこ良すぎますね。 @OneRepublic#ワンリパブリック #OneRepublic #怪獣8号 #KaijuNo8 @ユニバーサルミュージック洋楽#PR

♬ Nobody - from Kaiju No. 8 - OneRepublic


・どんな動画?

現役高校生バンド。グラウンドや校舎内などで撮影。ノスタルジーな色調、ノイズの入った音楽、カホンを使ったサウンド。
素人感のクオリティを極限まで高めた作品が人気を博している。

・バズった理由を一言でまとめると

10代のエモさの究極系

・山本一言コメント

10代演奏系流行の流れはそれこそ2010年代のニコニコ動画の時からある。
切り口として10代の時の甘酸っぱい「エモさ」を想起させる"あえての雑さ"は大人にも人気がある動画。
これがバズるのは恐らく動画SNSがある限りずっと続くのではないか。

例えばYouTubeに11年前に投稿された文化祭で「リンダリンダ」を演奏する男子高校生の動画は203万回再生されていたりする。

これ系の最近のトレンドとして、映像クオリティが上がっている点はある。

撮影機材のレベルがあがってるとかそういう話ではなく(それもあるけど)
何に対して視聴者がエモいと思うかの捉え方の角度が上がっている。

例えば引用した動画の空に注目してほしい。色がエモくてノスタルジー。
これは視聴者が潜在的に求めている感情と直結する要素。

或いは人物の配置がTikTokのUI的にセンターに来る点。
TikTokは上下と右側に文字やアイコンが出るので見づらくなるのだが中心となる被写体が中央に全て位置し見やすくなっている。

このように「雑に撮ったが魅力の切り口」の「雑さ」を極限まで計算している。

miniska_musicがこれを計算していやっていると考えると、今後この世代と戦っていかないといけないのが末恐ろしい。


②12345678チャレンジ

・どんなUGCが発生したか?

ヒップホップのビートに合わせて、ひたすら英語で数字を読み上げていくショート動画。数字の列が、中央揃えでテロップ表示されているショート動画。「12345678チャレンジ」の発端となったのは、恐らく米フロリダ州マイアミの振付師/ダンサー・Noeah Jacobsさんが6月30日にTikTokへ投稿した動画。(229.7万いいね)シンプルゆえの奥深さからか、「12345678チャレンジ」は海外のTikTokerの間で流行し、日本にも7月前後に上陸。

@noeahjacobs

W/ a beat 🙂‍↕️ i missed the “8” my bad 😭 #12345678 #challenge #fyp #viral

♬ original sound - Noeah Jacobs

・UGCはどの界隈が使っているのか?

海外のTikTokerの間で流行し、日本にも上陸。海外発信ということもありNiziUや&TEAMといったグローバルアイドルグループのメンバーたちも挑戦している。

・バズった理由を一言でまとめると

シンプルゆえにクリエイター側の創作心を刺激できる。
かつ冒頭の絵作りが強いので再生数が担保できる。

・山本一言コメント

別に今月特別にバズってたわけではないですが、今回が初回なので今年の音楽系トレンドとして紹介しました。

こういう音楽系のトレンドが発生した時は、それを引用したり想起させたりするオリジナル曲を作ることでオリジナル曲の再生数を伸ばしていくという視点もありますね。


■2024年8月分 より詳細な楽曲分析はこちら!

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※執筆助手
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