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アニメのメガネキャラを舞台で演じることについて本気出して考えてみた

[アニメのメガネキャラを舞台で演じることについて本気出して考えてみた]

皆さん、こんにちは。俳優・タレントとして活動中の佐伯恵太です。この度、9月17日-22日にシアター1010で上演される舞台『天元突破グレンラガン其の弐・其の参』に出演させていただくこととなりました。

僕はその中で、ギンブレー・カイトというメガネのキャラクターを演じます。

ギンブレーの特徴の一つはメガネなのですが、今回ギンブレーを演じるにあたり、アニメ原作のメガネキャラを舞台で演じるということについて色々考えたので、自分のための記録としてここに記しておきたいと思います。また読んでくださる皆さんにとっても、こんなことを考えている俳優もいるのかと興味の一つにしていただけましたら幸いです。

ギンブレーの特徴はメガネと言いましたが、グレンラガンには何故か大量のメガネキャラがいて、ギンブレーを含め5人、サングラスも含めると実に8人ものキャラクターがメガネをかけています。全員が違うサイズ、形のメガネなので、メガネが特徴のキャラクターと言えばある意味8人全員がそうなります。

ではなぜギンブレーがそれでもメガネキャラなのかというと、ギンブレーだけメガネが白く光っていて奥の目の形が見えないからです。しかしここに罠が。

僕が演じる舞台版のギンブレーはくっきり目が見えています。メガネが光って奥の目が見えないというのはアニメならでは表現であって、リアルで再現すると確かにおかしなことになると思います。しかしその結果、メガネキャラの印象がつかないという事態が起こってしまいました。

その問題を解決するために策を考えました。ポイントは”メガネをクイッとかけ直す仕草”です。他のキャラクターよりメガネをクイッとかけ直す仕草に注目が集まるようにすれば、メガネをかけていることが潜在的に意識され、結果的にメガネキャラとして認識していただけるのではないかと考えました。

原作のアニメではギンブレーがメガネをクイッとかけ直す仕草(メガネに手を持っていく動作)は主に2種類しかありませんが、3次元で表現する上で必要と判断した2種類を追加して、計4種類のメガネをクイッとかけ直す仕草をまず用意しました。一説によるとメガネのかけ直し方は9種類あるそうですが、種類が多いほど良いわけではなく、かえって一種類ごとの印象が弱まったり、シーンやキャラクターにあわないかけ直し方をすることになってしまいます。

選んだかけ直し方は、実際にメガネのズレを直すためのもの(上にあげる)、実際にメガネのズレを直すためのもの(左右のズレをなくす)、存在感をアピールするためのもの、遠くのものを注意深く見るためのものにわけられます。さらにその手振りの大きさやかける時間も調整しながら適切にメガネをかけ直します。原作から離れ過ぎないことも考慮して半分はアニメでキャラクターが実際に行っているやり方を採用しています。

そしてもう一つ重要なのはギンブレーだけに注目すると過剰にも思えるくらいにかけ直すこと。ギンブレーは物語の中心人物ではないので、観劇された方がよほど僕を贔屓にしてくださっている場合を除いて、ギンブレーばかりを観てはいただけません。そこで、やや過剰なくらいかけ直すことで、ちょうど良い印象にもっていきます。実際の周囲の環境やメガネの状況で前後しますが、其の弐、其の参で通算50回くらいかけ直すことになりそうです。

舞台上でギンブレーばかりに目を向けてこのことに気付くような方はいらっしゃらないかと思いますが(ギンブレーに注目し過ぎず最高にアツいストーリーを純粋に楽しんでいただきたいというのが僕の願いでもあります)、こうやって文章にして楽しみの一つにでもしていただければと思いました。

メガネをクイッとかけ直す仕草というなんとも言えない実例でしたが、これに限らずあらゆる面において、2次元の作品を3次元で表現するとはどういうことなのかを深く考えていくこと。2次元作品のモノマネをして表面上をなぞっていくのではなく、キャラクターの魅力、なくてはならない要素を3次元上で表現するために試行錯誤を繰り返すこと。それが大切なのだと思います。

漫画やアニメ原作の舞台化や実写化については常に賛否両論ありますが、俳優の立場として、少なくとも僕にとって最高に楽しい現場の一つであることは間違いないですし、2.5次元というジャンルが一過性のものでなく、長く愛されるものになるように、一俳優としてやれることを追求していきたいと思います。

偉そうに語っていますが、僕、メガネをクイッとかけ直す仕草について考えているだけなんですけどね。

最後になりましたが、舞台『天元突破グレンラガン』に興味を持ってくださった方は是非、観に来ていただきたいです。最高に豪華でアツくて、原作愛に溢れた舞台です。会場でお待ちしております。

ギンブレー役 佐伯恵太

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