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(通称)タイタニックベア

Steiff Bear 1912
: for the English market only
(1912年製/英国限定)

※赤いリボンと帽子はオリジナルではありません

1912年にタイタニック号の沈没を受けて、ドイツのシュタイフ社は哀悼の意を込めイギリス限定の黒いテディベアを作りました。(事故が起きる前は英国限定として明るい色のモヘアのベアで発売予定でした)

イギリス中が喪に服していた中、黒いテディベアは人々の癒しの商品になると考えられてましたが、当時はベアは主に子供たちに買い与えることがほとんどだったり、親達からは「哀悼と言いながらマーケティング戦略だ」と見抜かれ、ブラックモヘアベアはあまり売れませんでした。
すぐに販売は中止されて、わずか600体(494 体とも記述あり)ほどの希少なテディベアとなりました。なのでアンティークベアはほとんど残っていなくて高値で落札されてます。(2万2千ポンド(当時約390万)の記録あり)

目のまわりの赤いフェルトは、涙で充血した『悲しみ』を表現されてます。

The Big Bear Book/by
Dee Hockenberry より

☝︎この子はblack sealskin type mohairと書いてました。シールスキンとはオットセイの毛皮、もしくはそれに似せたビロードの一種。
摩耗して毛が抜け落ちたのでは無く、元からこのような生地を使用しているんですね。
ちょっと分からなかったのが、図鑑に「1214 only in this fabric」と記載されていたのですが、年代のことではまず無いし、個体数もこんなに作られていないはずだし、日付け?か管理番号?よく分からないです(^^;;   でもやっぱり1214体ってことなのかな?

Complete Collector’s Guide/
by Sue Pearsonより

☝︎当時の持ち主と一緒の写真付きだと、コレクターアイテムとしてさらに高値がつくそうです。写真に写っているのは、イギリス人オーナーのヘスター・ドリューさん。このブラックベアは、彼女の父親が第一次世界大戦中にジブラルタルに赴任していたとき、ヘスターと一緒にジブラルタルに渡り、生涯を通じて愛する友人であった。と記載されてます。

🐻‍❄️

さて、タイタニック号と縁のあるシュタイフのテディベアと言えば、こちらのポーラーベアも有名なお話がございます🐻‍❄️

Complete Collector’s Guide/
by Sue Pearsonより

Wikipediaが詳しく分かりやすいと思いますが、タイタニック号が沈没した時、スペドゥンさんと言うご家族が乗船していて、お子さんが上の画像と同じデザインのポーラーベアを所持していました。ご家族3人が救助された際、ポーラーは救命ボートに置き去りになったのですが、奇跡的に救助隊員によって発見されました。
ちなみにお子さんはダグラス君と言うお名前で、映画タイタニックでモデルとなる少年がチラッと登場してるそうですよ。また、その後のダグラス君の悲しい出来事についても、、、😔
※ブログやインスタグラムで追記しました。noteの最後に貼っておきますね。2024年9月30日


STEIFF カタログより

☝︎その児童書(原題:Polar the Titanic Bear)をもとにした、タイタニックポーラーベアのレプリカもシュタイフから発売されました。

🐻

ブラックベアの方のレプリカは、事故から100年経った2012年に「オセロ タイタニックテディベア1912レプリカ」として発売されてます。(事故が起きた年と同じ数で1912体/世界限定)

「オセロ(オテッロ)」とは、当時のブラックベアのひとつをオークションで落札した方が付けた名前です。高額落札だったこともあり話題となりました。なので「オセロレプリカ」として作られたのですね。
※全てのブラックベアのことをオセロと呼ぶわけではございません。

Photo: くまの小屋


同じく1912体製造のアメリカ・イギリス限定で「センテナリー タイタニック テディベア」というレプリカもいます。
※centenary(センテナリー)=100周年という意味

The Big Bear Book/by
Dee Hockenberry より

⬆︎こちらは1991年に発売されたレプリカです。Steiff Bear1912 :  3000体/英国限定

1991年発売のレプリカは「1912 Teddy Bear Replica 」とだけの表記でタイタニックの名前は書かれていません。体数は3000体でイギリス限定でした。
その翌年の1992年には7000体世界限定でレプリカを発売。これもタイタニックの表記はなしです。

さまざまなブラックベア(アンティーク)
photo : Spielzeug Welten Museum Basel

⬆︎冒頭にご紹介したこの子は、よく見るとセンターシームですね!センターシームは体数的にさらに貴重なベアになります。

※センターシームは生地に無駄が出ないように、頭の真ん中の型紙を二つに割ったもの。
製造の工程で7、8体に1体がセンターシームになってました。


🐻‍❄️

YouTubeでPolar the Titanic Bearの朗読がアップされてました。
こちらは設定で日本語自動翻訳できましたので、前後半に分かれてますがよかったらどうぞ😌


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