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Veterinary Record (英国 獣医記録) 1972年4月1日発行のある動物の病気に関する論文

※ジョーク記事です
※有料設定になってますが全て無料で読めます

興味深いネットの記事を見かけました。
イギリスの獸医專門誌であるVeterinary Record1972年4月1日の論文で、ある動物の病気に関する記事が掲載されていました。「英国や他のヨーロッパの国々の家庭で一般的に飼われている種」とされていたので、家畜というよりペットでしょうか?

Veterinary Recordについて

まずはその獣医記録(ブランド名: Vet Record )について
歴史はとても古く1888年から発行されていて、獣医学分野をカバーする査読付き医学雑誌です。英国獣医学会の委託を受けてワイリー社が発行しており会員に配布されているそうです。Wikipediaより

英国獣医協会 Vet Record

調査報告書

Vet Record(獣医記録)  April 1, 1972
Vet Record(獣医記録)   April 1, 1972 

この動物は100年近く前からイギリスをはじめとするヨーロッパ、北米の家庭で一般的に飼育されていたそうで、ペットの飼育調査によると63〜68%の世帯に1匹以上のこれらの動物が生息。その生息数と世帯内の子供の数が統計上ほぼ同じだということが分かりました。この事実は公衆衛生に与える影響が懸念され、この動物の病気や、とくに人獣共通感染症や人間との密接な接触に関連するその他の疾患について速やかに調査する必要がある。と、レポートで警告しています。

感染症については、そのような恐れはなかったようで、子供にも安全な種であることが分かりました。ただし、約2000体の検体を調査した報告書によると、ほとんど全ての症例が多因子性であり複雑で、病気を特定することは不可能だったそうです。

  • 脱毛症、変色

  • 斜頸(しゃけい)および手足の喪失

  • 腹部破裂

  • 斜視、眼球脱臼

  • 屋根裏のネズミによる身体の欠損

  • 情緒障害、高血圧の症状

外傷性と情動性があるようですね。また検査した症例の98%に黄疸が見られたが、ビリルビン検査のサンプルが得られなかったためこの状態は原因不明。皮膚や被毛が黄色がかっているのは「この種にとっておそらく正常な状態である」と結論づけられました。

この調査対象の動物、実は、、、

実はこれテディベアの調査報告書だったのです❗️
発行日でお気づきの方もおられましたでしょうか?Vet Record(英国 獣医記録)のエイプリルフール号(1972年)に掲載された論文で、しかも「はじめに→警告→資料と方法→症例(聞き取り調査)→調査結果→考察」と、ちゃんとした獣医記録(調査報告書)で、実際に約2000体のテディベアを検査したそうですよ🧸

『各家庭のほとんどで子供の人数と比例した個体数』というのは、欧米では女の子でも男の子でも赤ちゃんが生まれると、最初のお友達としてテディベアを贈る習慣があるからですよねー
そして気になった『黄疸はこの種の正常な状態であると結論』とは、当時のアンティークベアはほとんどが黄色やベージュのモヘアが多かったからですね😄

Vet Record(獣医記録)
エイプリルフール号(1972)

☝︎上の画像のような感じでテディベアの挿し絵付きでした。
僕はDeepLでの自動翻訳で読んだ程度ですが、アンティークベアの症状や原因、症例などとても丁寧に詳しく書かれていましたよ。

報告書の挿し絵

例えば挿し絵の脱毛症は、可愛がることによる通常の摩擦や損傷に伴うもので、飼い主の愛情が原因。とか、身体の欠損は(兄弟やお友達と?)所有権争いの結果があることが多い。とか書いてました。
また、聞き取り調査の結果、ほとんどの場合が未熟な外科手術(親御さんによる)が原因で、被毛の変色は不適切な消毒剤によるもの。顔や目、その他身体の手術の失敗とか、ネズミによる被害は完全に放置されたことが原因ですよね😓

報告書の挿し絵

興味深かったのが、「大人でもこの種(テディベア)に本当の愛情を抱いている人はほとんどおらず、子供が成長するにつれ、そのテディベアは放置され、屋根裏や戸棚に追いやられ重度の情緒障害が発生することがある」とも報告されてました。☝︎上の画像はその挿し絵ですね。
動物(テディベア)は喋れないので、情緒障害については明らかではないとしてますが、愛されないテディベアは不幸なテディであるという事実と関係があるようである。と締め括られてました。

現在は(おそらくファーストベアとして)当時飼われていた古いテディベア達を養子に迎える人も多く、大人でも愛情深く家族の一員として大事にされているクマが増えていると思います😄
(ですが、、、そもそも今でも子供がいるほとんどの家庭にクマがいるのかな?ひょっとしたらもう欧米でもテディベアを贈る習慣自体少なくなってるのかもね..)

画像のクマはイメージです
図鑑からピックアップして引用しました
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エイプリルフール号とはいえ本格的なこの論文、タイトルはTeddy BearではなくてBrunus Edwardii という新種(Species)として総称してました。「brunus」はラテン語で「茶色」という意味。エドワーディーと言うのは何でしょうね?

DeepL翻訳による引用

さてこの論文、テディベア好きにはとても面白い内容でしたので、自動翻訳したものをそのまま掲載しておきますね♪
「うんうんうん🤭」と頷きながら読んでました。
さまざまな症例のところが面白くて、例えば「声帯がある場合」と言うのは、グロウラーやオルゴールのことでしょうね♬
赤ちゃんが飼っているクマによく見られる耳介水腫」は、赤ちゃんが眠る時にクマのお耳を咥えて眠るのが原因。これもあるあるですね😄
たまに片手が破損しているアンティークベアがいますが、これは「片方の手で移動するハンドリングを続けたことが原因」と、ちゃんと診断されてました。
年老いたクマの症例⑥はかなりすごいです💦
テディベアはヒトの病原体の一時的な宿主や運び屋(ベクター)となる場合があると。そんな症例でした。※宿主(しゅくしゅ)とは、ウイルスなどの寄生体が感染し、その生体内の一部を利用して子孫を増やすために利用する生物体を示す。

よかったら読んでみてください🧸


Brunus edwardii (Species nova)の病気に関するいくつかの考察

【概要】
Brunus edwardiiの正しい分類と総称について考察し、1,599個の完全標本と539個の雑多な付属器官について調査した結果を報告する。その結果、一次感染者は発生せず子供にも安全な種であることがわかった。また、本種に関する専門家の今後の役割について提言した。

【はじめに】
本種は100年以上前からイギリスをはじめとするヨーロッパ、北米の家庭で一般的に飼育されている。個体の行動に関する出版物は数多くありますが(Milne,1924; 1928; Daily Express (numerous editions))、本格的な科学的貢献はなく、抄録誌やコンピューターによるデータ検索システムを使って慎重に文献を探しても、これらの生き物の病気に関する包括的調査を発見することはできません。Milne(1928)は、蜂蜜の過剰摂取に伴う肥満や、Tiggers、Heffalumps、さらには小さな子供たちとの縄張り争いに伴う精神障害について言及している。また、ある個体に関する出版物(Bond, 1958)では、パディントンが獣医の資格を持たない開業医から治療を受けていることに触れている。
第一に、病気の個体の治療が明らかに必要であること、第二に、そのような動物を獣医師登録をしていない者が治療した場合、おそらく1966年の獣医外科医法に抵触することである。英国獣医師会には多くの非地域部門があり、英国小動物獣医師会か英国獣医動物学会のいずれかがこの種に関心を示していると考えるのが自然であったろう。しかし、これらの協会の役員の中に、この論文で発表されたような研究を行うだけの精神力と先見性を持った人がいなかったことは残念である。
ペットの飼育調査によると、家庭の63〜68パーセントにこれらの動物が生息し、その生息数と家庭内の子供の数との間には統計的に有意な関係があることが分かっている。この事実が公衆衛生に与える影響は明らかであり、彼らの病気、特に人獣共通感染症や人間との密接な接触に関連する可能性のあるその他の症状について、もっと知ることが必要である。この調査結果は、最近の狂犬病(哺乳類の輸入)令(1971年)にも関連し、検疫規則の変更が必要となる可能性がある。
Keymerら(1969)は、科学的発表において口語的名称の使用を避けることの重要性を強調しているが、これまでの発表では明らかに "teddy bear "という用語のみが使用されている。予備調査では、この用語には種とまではいかないまでも、いくつかの異なる系統が含まれる可能性が示唆されています。
しかし、テディベアは他のクマからの皮膚、さらには四肢の移植を拒絶反応を示すことなく受け入れることが判明した。このことは、すべてのテディベアは遺伝的にホモ接合であり、同じ種であることを示している。従って、我々はBrunus edwardiiというのが正しい総称であり、特定の用語であると考えている。

DeepL翻訳による


【資料と方法】

調査資料の入手先
合計1,598頭のBrunus edwarditの標本が調査された。1,600人の所有者のうち、1,599人がクマの検査に同意し、そのほとんどが包括的な病歴を提供することができた。
そのうち1頭は所有者が風疹に罹患したため検疫を受けており、最終的に入手できなかった。さらに539体の雑多な付属器官をロンドン地域の保育園、学校、小児病院が検査できるようにした。
これらの標本は荒廃した状態であったが、慎重な接ぎ木によって136個の無傷のクマが復元され、余った耳は将来の使用のためにリグイド窒素で保存されている。この後者のグループからは症例報告が得られなかった。
検査方法多くの所有者が長い間クマと離れるのを嫌がったため、検査はできるだけ早く行われた。また、クマは明らかに扱いに慣れているため拘束の必要はなかった。
体温の記録も試みたが、すべての標本が恒温動物であることが判明したため断念した。
各クマは徹底的な外見検査を受け、おおよその年齢、体重、被毛の状態、色、身体的障害に関するデータを収集した。
詰め物の状態は注意深い触診によって評価された。必要に応じてレントゲン写真を撮影し、詰め物を特定するために生検を行った。
表面的な擦り傷から皮下組織や深部組織が突出していることが多いため、必要に応じて小さな縫い目を切開してサンプルを採取し、標準的なミルウォーズのダーニング針を用いてCoates Machine twist 30で開口部を縫合しました。
音声(声帯)がある場合は、打診と聴診によってテストされた。
熊の心理状態は、顔の表情を調べるとともに、子供と一緒にいる頻度や期間を特に参照しながら病歴を調査することによって評価した。


【調査結果】

1,598匹の動物および雑多な付属器を調査した。分類を試みたがほとんどすべての症例が多因子性であり、病因を特定することは不可能であった。また、類似の病変が多くの異なる部位に発生し、系統的な集計は不可能であった。
病理学的変化の主な原因は外部機械的外傷であり、それは重症で突然発症し、四肢および付属肢の喪失を引き起こすか、あるいはより慢性の摩耗や損傷を引き起こすかのいずれかであった。よく見られる症候は、詰め物の凝固と塊化で豚と牛でそれぞれバンブルフットと腹部破裂と呼ばれるものに似た状態を引き起こし、脱毛症、眼球の状態も軽いスクイントから断続的な眼振と眼球の脱臼まで様々であった。小眼球と大眼球は、不適当な眼球補綴を受けた動物にしばしば記録された。
検査した症例の98%に黄疸が見られたが、Van den Berghテストのためのサンプルが得られなかったため、この状態の原因は不明のままであり、黄疸はこの種にとっておそらく正常な状態であると結論づけられた。


以下の症例は、この種における病気の原因とその結果としての症状の複雑さを示している。
症例⑴
4歳の男の子に飼われていたクマが、急性斜頸、斜頸、片下肢欠損を患っているのが発見された。一般状態は良好で正常な厚さの毛皮を有していた。この傷害は所有権の争奪戦の結果であった。斜頸の治療はマニピュレイティブセラピーで、下肢の交換は外科手術で行われたが問題はなかった。唖は音響膜の破裂によるもので、声帯の完全な再生が必要であった。開腹し損傷した器官を周囲の内臓から摘出し、音声が不明瞭にならないように音響膜が腹側を向くように慎重に置換を行った。

症例⑵
生後6ヶ月の子供が飼っている若いクマが耳鳴りに苦しんでいるのを発見した。
ある朝、飼い主のベビーベッドから取り出されたとき、"soggy ear "を患っていることが判明した。耳介水腫は、18ヶ月未満の子供が飼っているクマによく見られる症状で、耳をしっかりと咥えて寝ていたそうです。
治療は、飼い主から引き離して洗浄し、風通しの良い戸棚で乾燥させることであった。

症例⑶
10歳の黄色いクマで、3人の兄弟に相次いで飼われていた。
耳、鼻、四肢に広範な脱毛があり、"糸状脱毛 "にまで進行していました。
腋窩と鼠径部の縫合が弱く、四肢の脱臼が断続的に起こっていましたが、詰め物のヘルニアは見られませんでした。老齢であることと、片方の手足で移動するハンドリングを続けたことが慢性的な衰弱の主な原因であり満足のいく治療法はない。

症例⑷
看護師志望者が飼っていた6歳のクマ
この動物は独特のチーズ臭があり、顔面の毛皮には乾燥した白い口と鼻粘膜からの分泌物(鼻汁)が見られた。細菌学的検査の結果、アシドフィルス乳酸菌が分離された唯一の症例で、明らかに汚染された被毛に日和見的に侵入した微生物であった。消化器系に異常は見られなかった。飼い主はクマを完全に洗浄し自分で治療するように勧められた。

症例⑸
表情が非対称で、明らかに情緒障害のある 16 歳のクマが食器棚の奥で発見された。
表面的な埃を除去したところ、被毛の状態は良好であったが、不注意で右目を靴のボタンに付け替えたため永久的に目を細めていた。病歴をたどると、このクマは片眼球脱を繰り返し、フィラメント眼窩付着部が完全に破裂し、眼球を失うまでに進行していることがわかった。新しい飼い主が見つかり、新しい眼球が揃うことで表情や精神状態が改善されることが期待される。

症例⑹
屋根裏で発見された蜘蛛の巣に覆われた年老いたクマ。前肢を失い、詰め物のヘルニアが見られるなど状態は悪い。
正面の縫い目が破裂し、錆びたボイスボックスがヘリカル(らせん状)に露出。この個体には常在菌が多く、お腹の中には子供を持つハツカネズミのペアがいて合計23個体が生息していた。右鼠径部(そけいぶ)にLaelaps hilaris(ネズミトゲダニ)、Lepto-sylla segnis, (イエネズミノミ)、Nosopsyllus fasciatus(北ネズミのノミ)、Lepisma sacch-arina(セイヨウシミ)の標本が見つかり、左松果体(しょうかたい)の境界は、Tineola bissilliella(衣類蛾)に侵食されつつある状態であった。この症例の治療は激しく揺さぶること、除虫菊の散布、詰め物の輸血、前肢の移植であった。


【考察】

今回の調査によって、比較病理学者と臨床医の双方にとって興味深い多くの事実が明らかになった。
Brunus edwardi(テディベア)はいかなる病原体にも耐性があり,したがっていかなる人獣共通感染症にも罹患しないことが明らかになり,大いに安堵しているところである。
しかし、症例⑹に示されるように、この種は様々な常在関係に関与することが可能である。今後、gnotobiotic(ノトバイオート)手法で調査すれば、このような関係性についてさらに魅力的な情報が得られるかもしれない。
テディベアはヒトの病原体の一時的な機械的ベクターとして働くことがある。
風疹ウイルスの表面的な汚染はテディベアには直接影響を与えないが、テディベアの所有者の扱いが未熟であると、ヒトの方へ深刻な二次疾患を引き起こすことがある。

例えば他に、家庭用オーブンでの除染の際に過熱されたことによる皮膚の焼失や、不適切な消毒剤による被毛の変色などが確認されています。したがって、Brunus edwardii(テディベア)の真の病気は、外傷性と情動性に分類することができる。
急性外傷性疾患は、付属器官の欠損が特徴で、所有権争いの結果であることが多い。
慢性的な外傷は通常、通常の摩耗や損傷に伴うもので、必ずしも有害なものではありません。このような病変の有無、感情障害の有無、飼い主による愛情には統計的な関係があるようです。情緒障害には、明らかなものと明らかでないものがある。
明らかな情緒障害はほとんどの場合、未熟な外科手術の結果である。明らかでない情緒障害は、完全には理解されていないが「愛されないテディは不幸なテディである」という事実と関係があるようである。
大人でも(おそらく著者らを除いて)この種に本当の愛情を抱いている人はほとんどおらず、子供が成長するにつれ、そのテディベアは放置され屋根裏や戸棚に追いやられ、そこで重度の情緒障害が発生することがあるのである。
著者らはテディベアが分類学的にも社会経済学的にもクラスレスであると思われることを重要視している。もし、これらの知見が臨床医を刺激し、記載された臨床的問題にもっと関心を持つようにならなければ、著者らの時間、努力、技能は全く無駄になってしまうだろう、と著者らは考えている。
私はまた、獣医学部の学生に適切な指導を行い、大学院のコースを早急に設置することを提案する。
謝辞:Miss.H.M. に感謝。著者らはこの論文の準備における彼女の助けと貴重なアドバイスに感謝します。

Vet  Recordのエイプリルフール号をDeepLで翻訳


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