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数年ぶりにログインしました。近々またなにか投稿しようと思います。
「シリコンの季節」(小説)
全裸の女だ。
投棄場所としてもう何度目かの利用となる山道の路肩谷側に、白い肌が見える。
数多の不法投棄ゴミや土にまぎれた全裸の女の肌は月明かりの下、不自然なほどその白さを夜の闇の中で浮き彫りにし、気泡緩衝材でぐるぐる巻きにされた仰向けの胴体部分からはみ出た顔の中央にある両目は開かれたまま、上から覗きこんでくる闖入者と目線を合わせている。
二郎は身動きがとれなかった。
生きていないはずなの
「〇.〇〇…」(2016年オールフリーキャンペーン小説)
①
腰を限界まで下げた今、背中の上方に背負ったバーベルの重さが、腹や腰といった体幹を経て、大腿筋を中心とした下半身の表側にのしかかっている。
「はい、上げる!」
顔を下に向けぬよう、全面鏡の壁に映る己とにらみあいながら、大輝は踵に全体重をかけ踏ん張り、七五キログラムのバーベルを背負い上げた。
「ごー!」
新藤トレーナーによる、高めでハスキーではあるが野太い声は絶対服従の命令で、大輝
私の東京物語 羽田圭介 (3)神宮前から流浪の散髪
大学二年の夏前、友人の紹介で、渋谷区神宮前の美容院を訪れた。学生料金六千三百円も決して安くはなかったが、一カ月半くらい伸ばしっぱなしでも、髪形は少ししか崩れなかった。
もっとみる私の東京物語 羽田圭介 (2)洗練の皇居にジャージー隊
皇居をランニングするのが好きだった。大学付属校の中学・高校時代は、軟式テニス部に所属していた。当時は学校が千代田区にあり、校庭がものすごく狭くテニスコートも二面分確保するのが精いっぱいで、他の部活動でも使われる分、校庭練習は水曜と土曜という週二回しかできなかった。
もっとみる私の東京物語 羽田圭介 (1)心の故郷 お茶の水
お茶の水へ訪れると、最も心が落ち着く。明治大学の付属校に中学時代から通っていたのだが、当時は神田猿楽町に校舎があった。そう、のっけから表記が揺れているように、あの一帯を「お茶の水」もしくは「神田」「神保町」と、どう呼んでいいのかいまだにわかっていない。埼玉の一軒家から、東武伊勢崎線と千代田線を乗り継ぎ片道一時間十五分かけて通っていた。定期券を有効活用するためおのずと、学生時代の自分は、東京中の各
もっとみるコンボクッカー+ハンバーグ
鉄製の鍋とフライパンのセットである、コンボクッカーを買ってしまいました。
肉を1600グラム買い、ハンバーグを作りました。
やはりテフロン加工の薄いフライパンと違い、火が均一に通るので、旨味が逃げず、家庭のハンバーグとは思えないくらい美味しく仕上がりました。見てくれは微妙ですが。
もっと小さなスキレット等でもいいのでしょう。とにかく、炒め物には、分厚い鉄製のフライパンがおすすめです。