『私の東京物語』

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私の東京物語 羽田圭介 (1)心の故郷 お茶の水

 お茶の水へ訪れると、最も心が落ち着く。明治大学の付属校に中学時代から通っていたのだが、当時は神田猿楽町に校舎があった。そう、のっけから表記が揺れているように、あの一帯を「お茶の水」もしくは「神田」「神保町」と、どう呼んでいいのかいまだにわかっていない。埼玉の一軒家から、東武伊勢崎線と千代田線を乗り継ぎ片道一時間十五分かけて通っていた。定期券を有効活用するためおのずと、学生時代の自分は、東京中の各

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私の東京物語 羽田圭介 (2)洗練の皇居にジャージー隊

 皇居をランニングするのが好きだった。大学付属校の中学・高校時代は、軟式テニス部に所属していた。当時は学校が千代田区にあり、校庭がものすごく狭くテニスコートも二面分確保するのが精いっぱいで、他の部活動でも使われる分、校庭練習は水曜と土曜という週二回しかできなかった。

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私の東京物語 羽田圭介 (3)神宮前から流浪の散髪

 大学二年の夏前、友人の紹介で、渋谷区神宮前の美容院を訪れた。学生料金六千三百円も決して安くはなかったが、一カ月半くらい伸ばしっぱなしでも、髪形は少ししか崩れなかった。

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私の東京物語 羽田圭介 (4)旅立った美容師

 四年半の空白期間があったが足かけ十年担当だった男性美容師が、突如店を辞めた。

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私の東京物語 羽田圭介 (5)半年の小岩暮らし

 大学三年の終わりごろ、埼玉から東京都江戸川区の小岩へ引っ越した。

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私の東京物語 羽田圭介(6)全10話 埼玉から自転車で

 小学校二年生時から大学卒業まで、埼玉県松伏町に住んでいた。東京と千葉に近接した町で、近くに江戸川や中川があった。

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私の東京物語 羽田圭介(7)全10話 丸の内のパーティー

 東京駅、丸の内界隈(かいわい)には、二つのイメージがある。一つは、電車で地方へ向かう際の、旅の起点、というイメージだ。

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私の東京物語 羽田圭介(8)全10話  広尾で寿司 高級感

 数年前、広尾の寿司(すし)屋に連れて行かれた。書き下ろし単行本の刊行記念として、担当編集者が連れて行ってくれた。

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私の東京物語 羽田圭介(9)全10話 東京は郊外になじみ

 二十二歳時に中古の2DKマンションを買ってから、府中に五年半住んだ。馴染(なじ)みがあったから、そこに買った。

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私の東京物語 羽田圭介(10)全10話 新宿と一体化?

 もう十年くらい、自分にとってのホームグラウンドの街はどこかと考え続けている。

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