羽田圭介

小説家

羽田圭介

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  • 『私の東京物語』

    「私の東京物語」東京新聞朝刊に、2016年3月17日~3月30日にわたり掲載されたエッセイです。全10回

  • 『プロムナード』日経夕刊2016.1~6月全24回エッセイ

    日本経済新聞夕刊「プロムナード」欄に、2016年1月から6月まで、毎週月曜に掲載されていたエッセイ全24回分です。

最近の記事

タルコフスキーっぽく撮りたかった川

    • 数年ぶりにログインしました。近々またなにか投稿しようと思います。

      • 「シリコンの季節」(小説)

         全裸の女だ。  投棄場所としてもう何度目かの利用となる山道の路肩谷側に、白い肌が見える。  数多の不法投棄ゴミや土にまぎれた全裸の女の肌は月明かりの下、不自然なほどその白さを夜の闇の中で浮き彫りにし、気泡緩衝材でぐるぐる巻きにされた仰向けの胴体部分からはみ出た顔の中央にある両目は開かれたまま、上から覗きこんでくる闖入者と目線を合わせている。  二郎は身動きがとれなかった。  生きていないはずなのに、生きているかのような目線を向けてくる。  これまでの奴らとは、明らかに異なっ

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        • 「〇.〇〇…」(2016年オールフリーキャンペーン小説)

          ①  腰を限界まで下げた今、背中の上方に背負ったバーベルの重さが、腹や腰といった体幹を経て、大腿筋を中心とした下半身の表側にのしかかっている。 「はい、上げる!」  顔を下に向けぬよう、全面鏡の壁に映る己とにらみあいながら、大輝は踵に全体重をかけ踏ん張り、七五キログラムのバーベルを背負い上げた。 「ごー!」  新藤トレーナーによる、高めでハスキーではあるが野太い声は絶対服従の命令で、大輝は休む間もなく再び腰を沈める動作に入る。一セット目で八〇キロを一〇回上げた後だか

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        タルコフスキーっぽく撮りたかった川

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        • 『私の東京物語』
          10本
          ¥500
        • 『プロムナード』日経夕刊2016.1~6月全24回エッセイ
          24本
          ¥800

        記事

          私の東京物語 羽田圭介(10)全10話 新宿と一体化?

           もう十年くらい、自分にとってのホームグラウンドの街はどこかと考え続けている。

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          私の東京物語 羽田圭介(10)全10話 新宿と一体化?

          私の東京物語 羽田圭介(9)全10話 東京は郊外になじみ

           二十二歳時に中古の2DKマンションを買ってから、府中に五年半住んだ。馴染(なじ)みがあったから、そこに買った。

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          私の東京物語 羽田圭介(8)全10話  広尾で寿司 高級感

           数年前、広尾の寿司(すし)屋に連れて行かれた。書き下ろし単行本の刊行記念として、担当編集者が連れて行ってくれた。

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          私の東京物語 羽田圭介(8)全10話  広尾で寿司 高級…

          私の東京物語 羽田圭介(7)全10話 丸の内のパーティー

           東京駅、丸の内界隈(かいわい)には、二つのイメージがある。一つは、電車で地方へ向かう際の、旅の起点、というイメージだ。

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          私の東京物語 羽田圭介(6)全10話 埼玉から自転車で

           小学校二年生時から大学卒業まで、埼玉県松伏町に住んでいた。東京と千葉に近接した町で、近くに江戸川や中川があった。

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          私の東京物語 羽田圭介 (5)半年の小岩暮らし

           大学三年の終わりごろ、埼玉から東京都江戸川区の小岩へ引っ越した。

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          私の東京物語 羽田圭介 (4)旅立った美容師

           四年半の空白期間があったが足かけ十年担当だった男性美容師が、突如店を辞めた。

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          私の東京物語 羽田圭介 (3)神宮前から流浪の散髪

           大学二年の夏前、友人の紹介で、渋谷区神宮前の美容院を訪れた。学生料金六千三百円も決して安くはなかったが、一カ月半くらい伸ばしっぱなしでも、髪形は少ししか崩れなかった。

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          私の東京物語 羽田圭介 (2)洗練の皇居にジャージー隊

           皇居をランニングするのが好きだった。大学付属校の中学・高校時代は、軟式テニス部に所属していた。当時は学校が千代田区にあり、校庭がものすごく狭くテニスコートも二面分確保するのが精いっぱいで、他の部活動でも使われる分、校庭練習は水曜と土曜という週二回しかできなかった。

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          私の東京物語 羽田圭介 (1)心の故郷 お茶の水

           お茶の水へ訪れると、最も心が落ち着く。明治大学の付属校に中学時代から通っていたのだが、当時は神田猿楽町に校舎があった。そう、のっけから表記が揺れているように、あの一帯を「お茶の水」もしくは「神田」「神保町」と、どう呼んでいいのかいまだにわかっていない。埼玉の一軒家から、東武伊勢崎線と千代田線を乗り継ぎ片道一時間十五分かけて通っていた。定期券を有効活用するためおのずと、学生時代の自分は、東京中の各地へ「新御茶ノ水駅」中心にアクセスしていた。埼玉から電車に乗り、地下鉄の駅から地

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          私の東京物語 羽田圭介 (1)心の故郷 お茶の水

          コンボクッカー+ハンバーグ

          鉄製の鍋とフライパンのセットである、コンボクッカーを買ってしまいました。 肉を1600グラム買い、ハンバーグを作りました。 やはりテフロン加工の薄いフライパンと違い、火が均一に通るので、旨味が逃げず、家庭のハンバーグとは思えないくらい美味しく仕上がりました。見てくれは微妙ですが。 もっと小さなスキレット等でもいいのでしょう。とにかく、炒め物には、分厚い鉄製のフライパンがおすすめです。

          コンボクッカー+ハンバーグ

          24「真の小説家」

           書きたいこと、書けることがなくなってからはじめて、真の小説家になる。そのような言葉を、何度か聞いたことがある。自分はその境地にまで未(いま)だ達してはいないものの、ニュアンスはなんとなくわかる。

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          24「真の小説家」