子どもも他人も変えられない(4)
子どもは元気が一番と考える
子どもが不登校になったときに、子どもよりもお母さんが変わるのが一番、早く子どもが元気に活動できるようになる近道です。
お口チャックなどと言ってるのではなく、お母さんが、根本的に変わることです。
では、どう変わればいいのか。
学校に行って欲しい、せめて高校には行って欲しい、できれば大学も難しい大学に行って欲しいなどということを、考えることをやめることです。
自分の価値観でものを考えることを減らし、子どものことをしっかり見守ることです。
ただ見守るだけではいけないのです、そのことは、後ほどお話します。
私は、かつて、教え子を亡くしています。
私は阪神大震災で被災したのですが、私が確認できたところでは、教え子はケガはしていても、震災では誰一人亡くなってはいませんでした。
しかし、震災6年後、ひきこもっていた30歳の若者のところに、社会復帰に向けて訪問活動をしていました。
その若者が、病気で亡くなったのです。
危篤の知らせを聞き、あわてて向かい、駆け付けて1時間ほどで亡くなってしまいました。
突然のことで、驚くと同時に、どうしてあげることもできず、お母様と一緒にただ泣いていたことを、今でも忘れることはありません。
その時の安らかな顔も。
彼は、出会って、最初はなかなか話もできませんでしたが、少しずつ話してくれるようになり、ようやく元気になってきて、一緒に外に出て散歩ができるようにもなり、アルバイトに行こうとしている矢先のことでしたから、ご家族はかなりのショックを受けられていました。
1周忌の時に、彼のお母さんが、「いなくなってしまうなら、なんであんなことを言ったのだろう、あんなことで責めたのだろう、と思い出すと後悔しかありません。」と涙ながらにおっしゃっていました。
そうなのです。
大事なお子さんが、目の前で突然、亡くなったり、命の危険にさらされることが実際にあります。
災害、事故、病気、何が起こるかなんて誰にもわかりません。
それでも学校に行って欲しいですか?
難関大学に進学して欲しいですか?
2018年滋賀県守山市で看護師の方の事件は覚えている方も多いと思います。
ものすごく酷い教育虐待があったとのことでした。
ここまでではないことはわかっていますが、一歩間違えれば同じようなことをしてしまいかねないお母様もいらっしゃいます。
それを、進学塾という場でたくさん見てきました。
子ども達が元気ならば良しとする、そんなお母さんじゃダメですか?
お母さんが自分も完全でなくていいのです。
不完全でいいのです。
完璧な子育てなんてありません。
不完全なままで、子ども達にざっくばらんに接してあげて欲しいのです。
私は39年間、関わってきた子ども達とご家族に育てていただきました。
塾講師、不登校カウンセラーなどと言っても、結局、実践していく中で多くの子ども達やご家族を傷つけ、お叱りを受け、そこからしか育っていかないのです。
親も同じではないですか?
親になるための教育なんて、誰も受けていません。
どうしたらいいかなど、あらかじめ学んではいないのです。
子どもが出来たときに、いきなり親になるのです。
だから、親としては経験不足なのですから、子どもに育ててもらえばいいのです。
ちゃんとした親にならなければと、肩に力を入れてやる子育ては、しんどくないですか?
他人のお子さんと我が子を比べて、しんどくないですか?
元気が一番、元気であれば、学校に行っていなくても、勉強が出来なくてもいい、そう思いませんか?
病気であろうと、事故であろうと、自らであろうと、お子さんが命を落とすことが有るのです。
お子さんが「お母さんごめんなさい」と、もし、突然、この世を去ってしまったら、「学校何てどうでもよかった、生きていて欲しかった」とお母さんはきっと思います。
「言っていることはわかる、だけど・・・」というお気持ちがあっていいのです。
それがダメなのではありません。
お母さんが自分を大切にして、お母さん自身が本当の自分に出会って、お母さんが笑顔になる、それだけで学校に行けないで悩む子どもは元気になるのです。
だから、変わると心に決めて、はじめの一歩を踏み出して見られませんか?
まず、子どもは元気が一番、と考える。
考えるだけでいいのです。
すぐに何もできなくてもいいのです。
まずは、子どもは元気が一番と考えてみてください。
お子さんの寝顔を見ながら、元気だったらいいな、と思ってあげて欲しいのです。
そして、朝、起きてきたお子さんの顔を見て、今日も元気で良かったと思ってください。
そこから、少しずつ変わっていけばいいのです。