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これからは、どんな道でも踏みしめて歩いていける(SUISEI inc._退職エントリ)

2023年3月31日、株式会社水星を退職しました。
森本は、家業が老舗の呉服店を営んでいます。親族内事業継承を前提に、キャリアを選択してきました。思う所は多々ありますが、今の所ブレたことはありません。水星にも、その為に入社しました。

この環境だったからこそ、その準備ができた。そんな2年間を振り返ります。退職エントリなので、かなりマインドの話になります。ほぼ個人的な想い入れの話でもあります。コッテリしてしまうので、さらっと流してください。もっと詳細なビジネススキームやクライアントワークの内容が知りたい方は、また別の機会に。

もし、誰かがこの文章を読んで、水星という環境に刺激を受けてくれると嬉しいなと思います。

異常な打席数と全打席ヘッドスライディングで塁にしがみつく日々

2021年1月、新型コロナウイルス感染症の大渦に世界中が巻き込まれている中、森本は観光産業に飛び込みました。今考えると、よく採用してくれたなと思います。当時は社名がL&Gグローバルビジネスでしたね。不思議と前職の上司や仲間にはあまり心配されませんでした。HRセールスのスキルを活かして、SaaSのISやCSに転職する同僚がほとんどの中、非効率なキャリアを選ぶやつだと思われていたと思います。でも、それが森本らしいなとしっくり来ていたんでしょうか。

最初の1ヶ月は、研修でHOTEL SHE,KYOTOのフロントに立っていました。コロナ真っ只中だったので、ほとんど接客できていませんが、、、。今の京都はお花見シーズンですし、アイスがおいしいのでぜひお越しください。

研修が明け、プロデュースチームにジョインします。場所も変わって当時のオフィスに異動しました。

オフィスのベランダからの眺め。京都タワーが正面に見えたんですよね。

森本はこのオフィスが大好きでした。2LDKのマンションの一室で、4畳半の和室にCHILLNNのみんながいて、プロデュースチームはリビングでPCを構えて、洗面所で商談をする。たまにベランダに出て酒を飲む。ここから始まったんだといつも振り返りたくなる、そんなオフィスでした。andymoriの「革命」が頭に流れるよう空間です。挑戦する人みんなに聞いてほしい名曲です。ぜひ聞いてみてください。

森本が働く環境としてスタートアップでの環境を求めた理由は、”打席数”なんですよね。打席数とは、自身の思考を吐き出す機会だと捉えています。

プロデュースチームは、様々なクライアントからお声がけいただき、ブランドの最上流からマーケティングまであらゆる課題を解決するために伴走します。水星はホテル事業がメインの会社です。入社したタイミングはコロナ禍のど真ん中。ホテルの稼働は、大きく減少しています。それをカバーしなければ、会社は成立しません。目先のキャッシュを稼ぐため、これまでホテルを作ってきたナレッジを活かしたクライアントワークを行うチームがプロデュースチームです。自分たちが機能しなければ、明日の会社はありません。そんな状況で、HRセールスしか経験がない森本に何ができるのか。なんでもやる。異常な数の打席に立ち続ける。どんな球でも当てに行く。なんとか塁に出る。綺麗に出塁はできないけど、ヘッドスライディングでしがみつく。胸元は泥だらけ。特に最初の一年はずっとそんな感じでした。それでも、クレームをいただいたことはないですし、納品できなかったことはないんですよね。もちろん、様々な方々のサポートあってのことですが。森本は、この1年で入社する前には想像もつかない代物を手に入れることができました。「なんとかなるし、なんとかする」。「どこに行っても、何をやっても、形にできる」。このマインドに手触り感を持っていることは、チャレンジする人生において最も信用できる基盤だと思います。前述しましたが、森本の次のキャリアは親族内事業継承です。もっと泥沼だと思います。1番大切なマインドは、この一年で手に入れることができました。

商品としてのプロセスが市場価値として認められる

二年目は、結構自信を持って、PMとしてクライアントの期待を超える仕事ができたと言えるんじゃないかなと思います。一年目は塁にしがみついていたけど、二年目は結構ヒットを打てたんじゃないかな。実は、退職意思を大籠さんに伝えたのは、ちょうど一年前でした。恵比寿のサンマルクの2階席。大籠さんは柚子茶を飲んでいましたね。あと一年で、自分の市場価値を言語化する。経営者になるための覚悟を持つ。そのための宣言でした。なんとか間に合ったと思います。

明確に言語化できたのは最近ですが、森本はクライアントワークにおいて一貫してプロセスを提供し続けていました。「森本と一緒に働くと成長できる。」それがクライアントが感じる価値でした。在りたい姿を言語化し、それを実現するまでのタスクに落とし込む。そのための、思考の糸口や考え方のフレームを提供し、中身を一緒に埋めていく。そんな関わり方をずっとしていたんだと思います。いわゆる、Enablement(イネーブルメント)の観点でクライアントと関わることが得意だったようです。この得意に重点をおいてプロジェクトを進めるための見積もりを設計していました。

獲得した価値をチームに還元する

それは、チームに対して提供してきたものも同様です。少人数のチームだからこそ、思考のプロセスを共有したいと思っていました。スタートアップは、打席は無数にありますが最適化された働き方は決まりきっていません。”死ぬほど働ける環境”と”整った制度”はトレードオフです。おおよそ誰もが至極当然のことだと思っているでしょうが、いざ飛び込んでみるとよほどの意志がないと、人は最適化された働き方を求めてしまいます。森本は、意志を持つ人間だと自覚しています。これは、驕りでも嫌味でもなく、事実としてそうです。つまり、打席に立つことに向いています。なお、意志の有無に優劣はありません。あらゆる業務は、基本的には向いている人間がやればいいと思っています。だから森本は、チームの課題の種を拾い、議論に昇華するためのフレームに整理し還元するような動きを意識的に行なっていました。それが何年後かの最適化された働き方につながると信じて。そして、その打席も無数に巡ってくるんですよね。何度も書きますが、水星はプロデュース事業だけではなくホテル事業を中心とした会社です。プロデュースチームをマネジメントする大籠さんは、水星のCOOです。森本はずっと、大籠さんのプロデュースチームのマネジャーとしての仕事を喰って、COOに専念してもらうことばかり考えていました。それが、未来の自分につながると思っていました。

ここで出来上がったプロデュースチームにおけるブランドデザインのフレームは、クライアントワークにおいて汎用性があり、今後新しい仲間がジョインした際もオンボーディングコストを下げてくれることでしょう。

出来るようになるということは出来ないことがわかるということ

森本の価値は、プロセスを提供することと書きましたが、それがわかったということは出来ていない提供価値がわかると言うことでもあります。というのも、プロセスを提供できてもソリューションを提供することには懸念があることがわかりました。十分なプロセスを経ていないアイデアに自信が持てないんですよね。言い換えると、プロセスを提供することに逃げているとも捉えられます。経営者は結果を出さなければ死にます。成長過程を評価してくださいなんて言っても仕方ありません。でも、別に悲観的でもないんですよね。現状出来ないことが明確にわかることは心強いことです。精神状態が良い。しかも、どうやったらその状態になれるかもわかっています。出来ないことを理解するためには、出来ることを解像度高く言語化するしかないんだと。そうやってこれからも一歩ずつ進んでいこうと思います。

チームも同じく、一つ壁を乗り越えれば新たな壁が生まれます。そして、それを超えることは時間が許してくれませんでした。スタートアップにおいて、途中で離脱するとなるとやり残したことが生まれるのは当然です。ここでいう最適化された働き方というものは、チームとして進む方向の解像度が高く所属する個人の役割が明確になっている状態を指します。森本の在籍期間にみんなで考えられたことは、まだまだ大枠に過ぎないんだなと気づいた最後でした。でも、最後の最後まで往生際悪く新しい壁に向かう方法は考え続けましたよ。そして、森本だったらこう考えるを置いてきました。それは、そこにいるかどうかなんて関係なく、向いているしやりたかっただけなんです。

仲間の話

今、森本が退職して次のステップに進むことができているのは、たくさんの方との濃密で有意義なコミュニケーションがあったからだと思います。

プロデュースチームのメンバーを勝手にテーマで括ると、完全に「愛」です。人の変化に気づけて、自分のご機嫌を自分で取れて、人の大事なところを不用意に傷つけない、そんなメンバーでした。気づけばインターン生を含めて9人のチームになっていましたね。えも。水星では毎年12月に社員総会があり、SUISEI Awardが発表されます。ありがたいことに、そこで森本は表彰いたきました。振り返ると自分が逆境を楽しめたのは、みんなからの愛をもらっていたからなんですよね。この先、プロデュースチームにジョインされる方がもし読まれているとすれば、「愛をもらえる環境だから、愛で返してください。」と伝えたいです。

愛ある仲間。もっと一緒に働きたかった。

CHILLNN CEO/CTOの永田さんには、思考が止まった時いつもフィードバックをもらっていました。自分の価値を言語化できたのも、大いに永田さんの影響です。永田さんの脳内を、時間がかかってもゆっくり咀嚼したいとずっと思っていました。永田さんが書いたこのnoteを、手触り感持って読むことができるくらいにはいろんな会話をしてこれました。それは、森本のキャリアにとって大きな財産だと思っています。

送別会で、経営者仲間として、友人として2冊の本をくれました。この先、これまでの人生で直面したことのない高い壁が確実に待ち構えていると思います。まじで、こんなに心強い武器はありません。心から理解できた時は、美味い酒を飲みながら話したいと思います。

早く同じ視座に行きたい。負けたくない。

翔子さんが命を削って働いている姿を直近で見られるって、どれだけのビジネスパーソンが羨望するだろう。改めて、そんな環境に身を置いていたんだと実感しています。渇きを潤すアイデアがどんどん溢れて、それをワクワクするような言葉に乗せて耳に届けてくれる。そして、それを言った本人が一番実現させようと奔走している。日本最高クラスのスタートアップ経営者の近くで働けて幸せでした。たぶん、森本は翔子さんのようなタイプには一生なれないと思います。でも、違うアプローチで、世の中の渇きを潤していきたいと思っています。

いつも最高のバイブスを届けてくれる。まだまだこれからも飲み行きましょ。

森本の水星でのキャリアは、大籠さんと共にありました。仕事を学びたい人であり、認められたい人であり、奪いたい人であり、楽をさせたい人でした。森本は、常々業務の属人性を脱却したいと考え働いていました。でも、大いに矛盾を孕んでいますが、大籠さんでよかったとか、大籠さんじゃないとダメだったとか、そんなことを思い当たる場面がいくつもあります。組織には再現性を求めるのに、個人には依存していたなんて、ずるいですね。でも、仕方ないです。それくらい泥の中を一緒にもがきましたから。道半ばで次に行くことを許していただき、応援していただき、本当にありがとうございます。めっちゃ美味いものご馳走できるように精進しますね。

この日の涙を忘れません。

これを書き終えた今日はもう次の仕事をしています。道の見えない暗闇に入っていることだけはすでにわかっています。

でも、もう森本はどんな道でも踏みしめて歩いていくことができます。

ともに勝ちましょう!!

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