見出し画像

日常に転がっている”顧客の声”を大切に

マーケティング施策や商品開発、サービス改善などをする場合、普段から顧客の声に対してアンテナを張っていると思わぬところでアイデアに繋がるケースもあります。今回は、日常に転がっているユーザー(顧客)の声を拾う方法について触れたいと思います。

革新的な商品・サービスは顧客の声からヒントを得ている

顧客の声がすべてとは言いませんが、少なからず顧客の声がビジネスのチャンスを大きく広げると思います。ヒット商品やSNSでバズったコンテンツなどの誕生秘話には「顧客の声」がきっかけになっていることが多いです。
最近ではVOC(Voice of customerの略)と呼ばれることが多いですね。

VOCとは… Voice of customerの略で「顧客の声」という意味です。VOCはマーケティングにおいて「顧客の声」はとても重要でビジネスを拡大するチャンスにも繋がります

珪藻土バスマット誕生秘話(ニトリホールディングス)

ヒット商品を連発しているニトリですが、代表的なヒット商品が生まれた裏側には以下のようなストーリーがあったそうです。

お風呂から上がった時に使う『珪藻土バスマット』を開発した時は、繊維素材だと足裏がべたつくのが嫌だという不満があった。

「珪藻土マットはいくらだったら買えるか」とうちの奥さんや周りに聞いたら、「5000円なら」と言う。では、もっと気軽に買える値段はいくらかと聞くと、「3000円台かなぁ」と言う。

じゃあ、そのくらいの価格にしようということで、「3000円台」に決めました。価格を決めたら、原料や製造方法をどうすれば3000円台で作れるかを徹底的に調べあげて、実現していくだけ。つまり、生活上の問題を発見したら、商品開発の8割方は終わったようなものです。

引用元:週刊現代 - 「ニトリ会長が明かす、30期連続増収増益「一人勝ち」の極意

YouTube大学のコンテンツ制作(中田敦彦)

登録者数が500万人を超えている超人気YouTubeチャンネルですが、中田敦彦さんは以前動画の中で「すべのコメントを読んでヒントを得ている」とおっしゃっていました。コメント欄から着想を得てリニューアルやコンテンツ作成を行っており、アンチコメントも含めてすべて読んでいるとのこと。

高校生によるコメント「サムネ、タイトル、ホワイトボードすべての情報量が多すぎて再生が億劫になる。」→サムネ、タイトルを短文に変更

多数からのコメント「嫌われる勇気を取り上げてほしい、時事ネタを聞きたい、ライブ配信もして欲しい。」→すべてコンテンツ化、ライブ配信開始。

スーパードライ生ジョッキ缶”誕生秘話(アサヒ飲料)

デプスインタビューを進める中で、他にも「缶ビールは手軽に飲めて良いが、お店で飲むビールとはちょっと違う。気持ちの盛り上がりに欠ける」という声もあった。これはまさに顧客のインサイトではないか。お客さまの言葉が「フルオープン蓋」と「泡立ち缶胴」の技術を組み合わせるきっかけになった。

引用元:なぜ売れた? “スーパードライ生ジョッキ缶”誕生秘話に学ぶインサイトの見つけ方

顧客の声の見つけ方

顧客の声を集めるために大手企業はさまざまな取り組みをしています。代表的なところで言えば、無印良品(株式会社良品計画)が行っている「IDEA PARK」でしょうか。顧客の声を聞くために運営するオンラインコミュニティ。そして顧客のリクエストを、実際に商品開発までつなげています。

IDEA PARK

相当な規模の会社だからこそ、多くの声が集まり多くの改善をすることができます。

では顧客を多く持っていない場合はどのように顧客の声を見つければ良いのか。ここからはお金をかけずに顧客の声を確認する方法をご紹介します。

SNSから顧客の声を拾う

いわゆる”ソーシャルリスニング”という方法です。SNS上で交わされる一般ユーザーの会話や声を収集し分析します。たとえば以下のような方法で見つけることができます。

Twitter検索

ツイッター上では匿名のユーザー(匿名じゃない場合もある)が、気軽に意見を交わせる特徴があるため、多くの声を拾うことができます。商品名や社名を入力して検索することで、リアルな意見を確認することができます。しかし認知度が低い場合は、全く出てこないので競合製品などを検索してみることでヒントを得られます。

YouTubeのコメント欄

自社でYoutube発信をしている場合は、そのコメント欄を参考にすると良いです。Twitterのようにレビューを検索することが難しいため、競合製品もしくは競合他社のコメント欄を確認しましょう。

Yahoo知恵袋

ヤフー知恵袋は、日常のあらゆる疑問をほかの利用者に向けて質問したり、それらの質問に回答することで、疑問を解決していく「知恵」の共有サービスです。Yahoo知恵袋では、検索窓にキーワードを入力することで一般の人が疑問に感じているリアルな内容を見ることができます。

クチコミサイト

どの業種業界にも口コミサイトは存在します。飲食系で言えば”食べログ”、美容系では”アットコスメ”、医療系は”カルー”などがあります。クチコミを参考にするユーザーも多くいますが、クチコミや評価を積極的に行うユーザーも多くいます。

直接顧客と接触する

アンケート調査

ハガキやウェブ上のアンケートフォーム機能を使って収集する方法もあります。なるべく多く集めたい場合は、ウェブ上でアンケートを取ることが良いです。最近ではSNSでも気軽にアンケート調査が行なえます。たとえばLINE公式アカウントのアンケート機能を使用する、Twitterのアンケート機能を使うなどして顧客の声を拾うという方法があります。

サービスを利用している顧客を観察

店舗がある場合は、店舗に足を運んでサービスを利用している顧客を見ること、会話しているシーンを見るなど自然な姿を観察することで、さまざまなヒントを得ることができます。

インタビュー調査

インタビューによって生の声を聴くことができます。1対1で行うテプスインタビューや複数人でディスカッションをするグループインタビューなどがあり、聞きたい内容に合わせてわけるのが良いでしょう。

顧客の声は”ヒント”くらいがちょうどいい

ここが難しい部分なのですが、顧客の声を聞いたからといって”顧客が求めるアイデアが生まれるとは限りません。また1人の意見でも大多数の顧客とは真逆で、顧客の声を取り入れることによりサービスが改悪してしまう可能性もあります。

そのため顧客の声はヒントにするくらいがちょうどいいと思います。真に受けすぎずに「なぜそう感じるのか?」という部分を深掘ります。たとえば「高すぎる」という声を拾った場合、安くするのではなく「なぜ高く感じるのか?」を考え深ぼることにより「値下げをせずに付加価値を上げる」ができるかもしれません。つまり声の裏にあるインサイトを見つけることで商品開発やマーケティング施策に活かせる段階になるということです。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?