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アスリートの言語化能力を古武術から考える


今回は、「古武術の発見:日本人にとって「身体」とは何か」を読んで「アスリートの言語化能力/非認知能力」について考えました。

本著は大ベストセラー「バカの壁」で一世を風靡した解剖学者、養老孟司氏と武術研究者の甲野善紀氏の共著です。

本著では日本人が「身体」をどのように捉え、考えて来たのかについて、日本人が脈々と受け継いできた「古武術」を紐解くことによって考えています。

今回はその中でもアスリートの「言語化能力/非認知能力」という点に絞って考えていきます。

古武術から「言語化能力」を考える

「言語化能力」がスポーツの上達においてで重要である。近年のスポーツ界では主流になってきている考え方です。

自身のからだの動きや身体感覚を言語化することにより、深く理解し再現性を高めたり、改善のため分析したり、他者に伝えることが出来ます。

養老氏と甲野氏は、運動の言語化を「ある程度までは可能」とし、その有用性を認めながらも

運動の解説というのは、(中略) とても言葉では十分に言いつくせないところがある。どうしても言語にならない部分がある。そういうことは、はっきり指摘しておかないといけないと思います。

とも語っています。

古武術の中には、開祖が実践していた初期のものより随分と変質して(時には劣化して)現代に伝わっているものも多くあると甲野氏は言います。

その理由は前述の通り、「運動の解説」というものは言葉では十分に言いつくせないところがあり、独自の流派を創るほど武芸者として優れていた開祖の身体感覚を弟子たちが理解できず引き継ぎきれないためです。

つまり、優れた武芸者には常人では理解できない、また自身も言語化することが出来ない非認知の身体感覚があるということです。

トップアスリートの非認知身体感覚

これは、トップアスリートにおいても同じことが言えます。
有名な言葉で
「名選手、名監督にあらず」という言葉があり、実際にそういうケースも多く見られます。

これは、トップオブトップのアスリートの身体感覚は言語化し辛く、コーチングの際に他人に伝えられないことが理由の一つだと考えられます。

アスリートが自らの身体動作を「言語化」することは上達に繋がることは事実です。
一方で言語化できない「非認知」の世界へ深く潜って行けることも一流のアスリートの条件と言えるでしょう。

★今回読んだ本

古武術の発見:日本人にとって「身体」とは何か

養老孟司 甲野善紀 共著

https://www.amazon.co.jp/古武術の発見―日本人にとって「身体」とは何か-知恵の森文庫-養老-孟司/dp/4334782035

★参考にしたブログ
読者会常連のChihiro Murasawa (@murachi1205)さんの記事
https://plaza.rakuten.co.jp/murasawa/diary/202005100000-amp/?__twitter_impression=true

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